掲載日 : [20-02-20] 照会数 : 8843
「国際水準の人権保障システムの実現を」日弁連が院内集会

[ ヘイトスピーチとヘイトクライムの現状と課題を報告する師岡康子弁護士(右から2人目) ]
日本弁護士連合会は個人通報制度の導入と政府から独立した国内人権機関の設置を求めて19日、衆議院第2議員会館で院内集会を開いた。これは昨年10月の第62回人権擁護大会での決議に基づく。衆参から国会議員11人が参席し、それぞれの立場から連帯のあいさつをした。
個別人権課題では師岡康子弁護士が「ヘイトスピーチとヘイトクライムの現状と課題」と題して報告した。
報告によれば2016年5月に「ヘイトスピーチ対策法」が成立して以来、ヘイトデモは14年の120件から19年は21件とかなり減少し、一定の効果はあった。ただし、ネット上での差別書き込みは止まらない。削除のために発信者情報を開示させるためには裁判を最低2回以上やらざるを得ず、被害者には大きな負担となっている。
師岡弁護士は「裁判所は通常の救済機関としてはハードルが高すぎる。被害者救済のための個人通報制度と政府から独立した国内人権機関が必要だ」と強調した。
個人通報制度と国内人権機関は、国際人権条約で保障された権利を侵害された者が人権救済を図る手段となる。日本は「あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約」など個人通報制度が付帯された計8つの国際人権条約を批准しているが、いずれの個人通報制度も導入していない。また、世界120カ国に広がる国内人権機関もいまだに設置していない。