掲載日 : [20-03-05] 照会数 : 9720
新型コロナ、民団や在日同胞社会にも大きな影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散を防ぐために、民団社会や在日同胞社会、駐日韓国機関でも行事の延期や中止など影響が出ている。
民団中央本部では3月1日に開催予定だった「3・1節」式典と関連行事を全国地方本部に延期するよう示達したほか、傘下団体の在日韓国学生会では1日から3泊4日間で開催予定だったKSJW(冬季在日大学生ジャンボリー)を中止した。同イベントは夏のジャンボリーKSJと合わせて、1年間の締めくくりとして、愛知、大阪の執行部とともに準備を進めてきた集大成的なイベントだっただけに、執行部のメンバーをはじめ参加予定者だった学生らは落胆の色を浮かべていた。学生会中央本部の李裕海会長は「卒業を控えたメンバーも多く、最後にみんなで集まる場だっただけに悲しいの一言。でも致し方ないですよね」と声を詰まらせていた。
また、在日韓人歴史資料館でも毎月開催している「土曜セミナー」の3月開催を中止した。民団大阪本部では7日に予定していた議決機関研修をやむなく延期したほか、韓国語教室の修了式も延期した。
◆地方委員会・大会も
一方で規約上、3月中に開催が義務づけられている地方本部委員会・総会・大会についても延期を示達を出した。
中央本部では4日に緊急3機関役員会議と常任委員会を持ち、非常事態であることを勘案し、感染予防措置の観点から延期することを決めた。4月以降の開催時期については事態の状況を考慮しながら追って示達する。あわせて4月開催が義務づけられている支部総会・大会についても感染の推移を注視し判断する。
3月に開催を準備していた傘下団体の大会も延期となった。新会長を選出する婦人会中央大会や青年会各地方本部の大会も4月以降に延期となった。合わせて学生会も中央、愛知、大阪の各大会も延期となる。このため、4月16日に予定していた全国地方団長・中央傘下団体長会議および17日の全国事務局長会議も延期となる。
合わせて各地方本部や支部で予定していたイベントも自粛し、原則延期または中止を示達した。
◆民族学校も休校
新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、民族学校もすべて休校している。
大阪市の金剛学園は、1月末から登校してきた児童・生徒の罹患リスクを回避するため手指のアルコール消毒を徹底し、手洗いとうがいも奨励。下校時刻を変更するなどの対策をとってきたが、2月29日から臨時休校に入った。3月16日は登校日とした。同じく白頭学院も2日から臨時休校に入った。13日までは自宅学習としている。
東京韓国学校(新宿区)は2月28日に予定していた、毎年恒例の「3・1記念マラソン大会」を中止にしたほか、2日から19日まで初・中・高等部すべてを休校にした。20日からの春休みを含むと事実上4月7日まで休校となる。ただ、中・高等部の期末試験は16日に、予定通り実施する。
夫婦共稼ぎをしながら初等部1年生の子を通わせている金倫勁さん(44・新宿区)は、韓国文化院内にあるaTセンター(韓国農水産食品流通公社)に勤務しているが、2日から欠勤をしながら子どもの面倒を見ている。子どもが1カ月以上の休みとなることに対して、「主人が会社を休むわけにもいかないので、合間を見ながら私が休む形になるが、近所の学童クラブに通うなども考えている」と嘆いていた。
京都市の京都国際学園は5日から4月6日まで臨時休校に入った。
各校とも休校期間中、不要不急の外出を避け、家庭にて自習に励むよう呼びかけている。
◆卒業式中止
一方で卒業式にも影響が出ている。東京韓国学校は2月28日の理事会で13日の小・中学校卒業式の式場行事をとりやめ、教室で各自に卒業証書を手渡す予定だったが、3日付けで完全中止とし、卒業証書は郵送で送ることにした。4月7日に予定していた入学式も教室行事として簡素に行う。
金剛学園は14日に予定している小・中学校の卒業式を簡略化して行う。式典に出席できるのは卒業生とその保護者、および教職員のみ。白頭学院も14日、「卒業証書授与式」だけ行い、謝恩会は中止にした。在校生は休校となる。
京都国際学園は7日の京都国際中学校卒業証書授与式を短縮実施した。
◆国際学級でも
また、大阪府内小・中学校付設の民族学級(国際学級)も休校状態のため変更を余儀なくした。
同胞が多く住む生野区にある北鶴橋小の国際クラブは5日に予定していた修了式を中止、同じく同区にある大池中学の民族学級と中川小学の民族学級(国際クラブ)は5、6日に予定していた修了式を2月28日に繰り上げ、簡素化して実施した。
平野区にある加美小学校の国際クラブは登校再開予定の16日に変更。ただし、来賓などを招かず縮小して実施の予定だ。
東成区の北中道小学校の「国際クラブ(民族学級)」は6日に予定していた卒業式を16日に簡略して実施する。6日に予定していた守口市立樟風中学の民族学級修了式も延期の予定だ。
◆文化イベント
東京・新宿の韓国文化院は2月29日から当分間、休館となった。ギャラリーMI、ハンマダンホールにおける今月のイベントは全て中止。図書映像資料室については、図書の返却は郵便または宅配を利用するか、平日9~17時に限り1階の受け付けでの返却になっている。
また世宗学堂の講座(韓国語、文化講座、子供文化教室、中高生の韓国語講座)をはじめ、テコンド教室などは休講しており、サランバン、ハヌル庭園も利用できない。さらに韓流エンタメショールームも休館となった。
4月については状況を見ながらホームページに随時更新していくという。 大阪韓国文化院(北区)は、今月の行事である「2020韓日学生美術交流展」を延期、「話してみよう韓国語全国大会」「第1回韓国映画上映会」の中止が決まった。
全施設(ギャラリー、図書室、ヌリホールなど)は貸館及び利用はできない。ただし、世宗学堂(韓国語講座)については、受講生の判断によって通常通り受講を行っている。
参加者は各自で手洗い、うがい、マスク着用など対策をお願いしている。
東京・新宿の韓国観光公社は、開館しているものの、資料などを探しにくる人は減っているという。
福岡・博多区の韓国観光文化センターコリアプラザ福岡は、定期文化講座は、今月の定期文化講座について全講座を休講にした。4月からの定期文化講座については、検討しながら告知をする予定だ。ただし、情報資料を求める人には個人的に対応している。
◆傘下団体のスポーツイベントも
在日本大韓体育会傘下の在日本大韓ボウリング協会では、3月中に予定していた同協会の公式試合、プロ・アマ選手による第3回KBCJ杯オープントーナメント大会を中止にしたほか、ゴールデンウイークに予定していた「オリニ・ボウリング教室」もいち早く中止を決めた。