韓国語の校歌、高らかに 「誇らしい」「涙が止まらない」
第93回選抜高校野球大会に初出場した京都国際高校が24日の初戦で延長戦の末に柴田(宮城)を5‐4で破り、初出場初勝利をあげた。大会第8日の27日、2回戦で東海大菅生(東京)と対戦、4‐5で惜敗した。最後まで全力でプレーした選手を後押ししようと、3塁側アルプススタンドの応援団はメガホンをたたき続けた。悲願の甲子園で見せた京都国際ナインに在日同胞社会から「感動と元気をもらった」との声が相次いでいる。
京都国際の柴田との初戦。京都国際は初回、柴田に2点を奪われる。しかし7回、1死満塁で武田がタイムリー3塁打を放ち3‐2と逆転に成功。その裏、柴田に同点に追いつかれ延長に突入したが、10回の表、京都国際は中川のタイムリーで4‐3と勝ち越すと、辻井の2塁打で5‐3と追加点。
10回裏、1死2塁から1点差に迫られるも、2番手の右腕エース、平野が粘りの投球で5‐4と勝利した。
初戦、試合終了後、勝者、京都国際高校の栄誉を称える韓国語の校歌がスタンドに鳴り響いた。甲子園のスタンドからは同校の校歌が流れ終わると、場内から一斉に大きな拍手が沸き起こった。
2回戦の京都国際は初戦と同じように2点を追う形となった。5回、先頭打者の金田、続く後藤が連続安打、送りバントと四球で1死満塁とした後、中川がレフトへ走者一掃の2塁打、さらに、森下のタイムリーで加点し4‐2とした。
この後、両チームとも得点がなく、最終回に突入。先発した左のエース森下は丁寧な投球で要所を締めていたが、9回に制球が乱れた。甘い球を狙われて連続安打と盗塁で1死2、3塁から内野ゴロで1点を許した。
2死3塁となり、ベスト8まであとひとり。しかし、この後、四球と死球で2死満塁。次打者を2ストライクまで追い込んだが、森下が全力で投げた直球は、無情にも右翼へと打ち返され、サヨナラ負けとなった。
左腕森下と右腕平野の二枚看板で、継投してかわすのがチームのスタイルだったが、2回の攻撃で平野が右肘付近に死球を受けたため、森下が最後まで投げた。
小牧監督は「平野は腕に力が入らず、投げられない状態だった。森下は普段通りの投球をしてくれた」と残念がった。
森下は「もっと成長して夏に戻ってきたい」、平野も「もう一度、2人で競い合ってレベルアップしたい」。ともに次のステージを見据えた。
全国から応援…3塁側スタンド埋める
2試合とも、3塁側のスタンドには京都国際高校の生徒やOB、父兄をはじめ、大阪の建国高校、金剛学園高校、東京韓国学校も友情応援。関西地域と東京からの民団団員らも応援に駆けつけた。
悲願の甲子園初出場で初勝利を成し遂げ、粘り強い戦いを見せた京都国際ナインに在日同胞らからは「よく頑張った」「感動をありがとう」「コロナ禍の中、元気をもらった」など賞賛が続いた。
テレビで観戦の同胞からもSNS等を通じて、全国に鳴り響いた韓国語の校歌に「誇らしい」「涙が止まらない」との発信が相次いだ。
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