団員の声を幅広く聞き「あるべき姿」を創る
民団中央本部議長 朴安淳
輝かしい新年を迎え皆様のご多幸とご繁栄を心よりお祈り申し上げます。在日同胞の為、そして地域社会の発展に日々貢献している皆様に心から敬意を表します。
私たち在日同胞は100年以上の歴史を持っています。私たちの願いは日本社会で生活と権利が守られ、地域社会に貢献する一員として、堂々と生きていけることです。
その為には韓国と日本がそれぞれの国と国民を尊敬し、信頼しあう関係でなければなりません。しかしこの数年間は韓日関係が良好とは言えず、多くの困難が在日同胞の生活に影響を及ぼしております。
そうした中でも、日本の若者がK‐POPを愛し、ご婦人たちが韓流ドラマに夢中になり、韓国カルチャーが世界中で高い評価を受けているのは嬉しい限りです。
思い出しましょう。今からおよそ20年前、韓日共催サッカーワールドップの後、韓国と日本が一つになった夢のような友好親善の10年間を。
民団は同胞の尊厳と権利を守る為に3機関制度のシステムと理論的、精神的に支える宣言・規約を作り、独断を許さず、民主的な運営を行い、公正性を守ってきました。
その結果として多くの問題と困難を乗り越えて創団から75年という長い歴史を維持してきました。現在の民団は特別永住者が減少し、日本国籍同胞や新規定住者が増加して構成員が大きく変わり、3世、4世の台頭で思考の重点・優先順位が大きく変化しています。
また、同胞が居住する地域、同胞家族の構成によっても考え方、生き方が多様です。その大きな変化の中で次世代育成、組織幹部養成、自立財源確立と、取り組むべき課題は少なくありません。
議決機関は今後も、団員の皆様の声を幅広く聞き取り、民団のあるべき姿を皆様と共に創っていきます。
在日同胞が、これからも日本で居住し地域社会と共に歩む為にも韓日両国の関係改善を一日も早く望むものであります。
韓日友好親善へ邁進…重点事業を推し進める
民団中央本部監察委員長 梁東一
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は、世界中が年初めからコロナ禍に翻弄されましたが、今も猛威を振るっています。
感染が拡大するとともに、計り知れないほどに深刻な社会・経済的影響をおよぼしています。
私たち在日同胞社会にとっても、これまで経験したことのない厳しい1年でした。その中で、本団は何よりもまず、団員の生命と生活を守ることを最優先に取り組んできました。
私たちは日本の地域社会の防疫対策にも積極的に取り組んでいます。日本政府の支援策が定住外国人にも適用されるよう要望活動を展開した結果、給付金や融資制度の対象となりました。
また、第74回定期中央委員会は対面による会議を開催できましたが、その後の地方委員会・大会・総会及び支部大会・総会、一部傘下団体の大会・総会などは「書面決議」をもって代えました。一連の活動が遂行できたのは、ひとえに各級組織幹部と団員の皆様の努力と協力の賜物であり、心より感謝と敬意を表する次第であります。
今、世界は大変革期にあります。私たち在日同胞社会と民団は、時代の変化をしっかりと分析しつつ基本的理念を踏まえながら新たな船出をしていくべきだと思います。
何よりも大切なことは、自由と民主主義の精神を守り、具現することであります。核のない韓半島の平和的統一、自由と民主主義が確立された社会を構築するために寄与しましょう。
民団組織においてもこの原則の下に、監察機関として不羈独立、厳正中立、公明正大を基本理念として任務を遂行しております。在日同胞社会の統合、在日同胞の権益擁護、生活支援、次世代育成など、重点事業を積極的に推進していかねばなりません。
また、韓日友好と多文化共生社会の実現は喫緊の課題であります。新しい年がすばらしい1年になりますよう祈念し新年辞といたします。
「集まる価値」再確認
在日韓国婦人会中央本部会長 劉代永
昨年は婦人会にとって波乱万丈の年でした。
本来、開催すべき定期大会の日時が新型コロナウイルス感染により大幅に遅れ、その間様々な問題が起こり最終的(8月7日)に民団直轄下に置かれる事態にもなりました。漸く10月16日に第27期中央定期大会が開催され、新執行部発足の運びとなりました。
私は婦人会の正常化を一番に掲げました。大会から40日という短い期間で開催した第269回全国大研修会に、北は青森から南は熊本までコロナ渦という状況下にも拘らず180余人が参加して下さった事に心より感謝と敬意を表します。「集まることの価値、会うことの価値」を今一度考えさせられる意義深い研修会になりました。
今年も民団と歩調を合わせ、皆様の声を聞き、手を携え、ゆっくりと確実に前に進みたいと思います。今なお我々在日を取り巻く問題は山積しておりますが、力を合わせて立ち向かいます。新たな婦人会創造の為、婦人会組織発展に向けて頑張ってまいります。
地方韓商再建が急務
在日韓国商工会議所会長 趙成允
全国の在日同胞の皆様におかれましては、地域社会の経済発展と在日同胞社会との関係強化、韓日関係の発展にご尽力を賜り、年頭に当たり厚く御礼申しあげます。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響により多くの皆様の経済活動が停滞し、人が集まる機会も極端に制限され、祖国との往来すらままならない状態です。しかしながらこのような状況にこそ、創設当初の精神に立ち返り、力を尽くさなければいけないと考えます。先人たちの崇高な精神を胸に、皆様と共に考え共に行動し現状を打開していかなければなりません。皆様と手を携えながら、経済環境の再生に向けて韓商活動を推進いたします。
当会議所は本年も、地方韓商の再建、そして会員企業の事業の持続的な発展に貢献できるよう尽力いたします。会員企業の発展は在日同胞社会の力となり、地域社会の発展、韓国と日本の関係強化に寄与できと信じております。皆様にとって幸多き年となりますようお祈り申し上げます。
「ワンチーム」で応援
在日本大韓体育会会長 崔相英
新型コロナウイルスの感染拡大がなければ、昨年は東京五輪・パラリンピックが開催され、今頃、日本をはじめ世界中が余韻に浸り、盛り上がっていたことでしょう。
平和の祭典と言われるオリンピックは、人類が戦争なく安心して暮らせる状況を前提として成り立つもので、1年前には想像もできなかった事態に見舞われました。
東京五輪を目指す在日アスリートたちも、練習環境の確保はもちろん経済悪化に伴い活動資金に窮するなど大きな試練にさらされています。
いつの世もスポーツは人々に夢と希望、そして感動を与え、地域を結び、活気をもたらしてくれる存在です。
今は大きな変化の過程ですが、こうした状況であるからこそ考え抜き、知恵を出し、今年開催予定の東京五輪で在日アスリートが活躍できるようサポートに全力を尽くす所存でございます。「ONE TEAM」となってこの危機を共に乗り越えましょう。本年も皆さまのご支援ご声援を宜しくお願い申し上げます。
学んで考えて、発信
在日韓国青年会中央本部会長 鄭昇栄
平素は青年会中央本部に対し格別なるご支援とご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。
新型コロナウイルスの猛威により、在日同胞社会の皆様におかれましても、大変苦労なさっているかと思います。
この苦しい状況下の中で、青年会として何ができるのか。青年会のモットーは青年のための青年会です。青年たちの心のよりどころになれることを目指し、この苦しい時代を共に乗り越え、在日青年コミュニティーをより強固にしていきます。
青年一人ひとりが何事にも自主的に取り組める環境、「民族=国籍」という概念を捨て、多種多様な同胞人材を青年会に取りこんでいきます。そして、青年一人ひとりが自信を持って活躍できる、そんな会になることを心から願っています。
この苦しい時代はまだ続きます。責任世代を担う私たちが積極的に学び、考え、発信し新時代を築いていきます。共に協力し、共に乗り越えていきましょう。そして、未来を私たちの手でつなげていきましょう。
愛国精神いつまでも
在日学徒義勇軍同志会会長 王正男
1950年6月25日、北韓軍の奇襲により勃発した韓国戦争で首都ソウルが陥落し、釜山近くの洛東江戦線まで後退し、危機に瀕した祖国を救う一心で青年・学徒642人が自願参戦し、135人が犠牲となりました。
仁川上陸作戦及び中西部戦線で戦死した52人の遺骨は1963年にソウル国立墓地に移葬されました。しかし、国連軍と中国人民志願軍が初めて交戦した「長津湖戦闘」に参戦した学徒義勇軍同志の中で戦死した83人は残念ながら遺骨さえ発見出来ませんでした。そして92年に韓国陸軍本部が戦死者と確定し、93年3月24日付で83位の戦死者位牌がソウル国立顕忠院に安置されました。
本会は長津湖戦闘で戦死した83人を含む135人の英霊を弔うため、2015年から毎年11月11日に民団中央本部の後援の下、韓国大使館と共に追念式を営んでいます。祖国があってこそ自分も存在するという一念で共産主義と戦った在日学徒義勇軍の愛国精神と護国精神は永遠に不滅であり自由民主主義の大切さを代弁していると信じています。今の時代を生きる私たちは、この崇高な愛国精神を後世にしっかり伝えていきましょう。
「新たな可能性」に挑戦
在日韓国学生会中央本部会長 郭玹瑀
昨年は学生会のみならず社会全体にとって変化の一年だったと思います。新規執行部の発足の延期を始めとして、例年とは異なる形でのイベントの開催やオフラインでの打ち合わせ、感染予防対策など、既存の形での実行が困難であったり、変更を余儀無くされることが多くありました。
私たち学生会はこのような状況をみんなで考えながら、今までのものを見直し、改善していく契機と捉え、積極的に「新しい可能性」に挑戦しました。
在日韓国人学生のネットワークを絶やさないこと、日本社会で孤立している在日韓国人学生に新たに手を差し伸べることを第一とし、会員に学生会が発信するメッセージも、自分と自分を取り巻く環境について考え直し、見つめ直すことを重視して参りました。
私たち学生会が在日同胞の歴史と次世代を繋ぐ立場にあると認識し、参加者に学生会で何を考え、何を吸収して欲しいのか問い直し、会員にとって意義深い活動を展開して参ります。
科学の役割、今こそ
在日韓国科学技術者協会会長 朴載源
コロナ禍の2020年、コロナ後の新常態の2021年ともに科学の役割が再認識され、科学者に対する期待が高まっています。
感染症は生物の歴史とともに出現し有史以前から人類を悩ませてきました。しかし近代西洋科学の発展の中で顕微鏡や近代的実験の発明と進歩、DNA解析などに伴い細菌からウイルスへと感染症の病原体と仕組みが究明され、ワクチンや治療薬が開発されました。人類は科学の力で試練を克服してきたのです。
今日の新型コロナウイルスに対しても世界中の科学者が最先端の科学知識と技術を駆使して挑んでいます。人類は、天然痘撲滅やポリオ激減のように今回の新興感染症にも打ち勝つに違いありません。そして迎える新常態で、コロナ前にはなかなか進まなかったことや、近く予想されていたことなどが加速度的に実現されることでしょう。
科技協は科学力が牽引する新常態の中でも在日同胞科学者の求心体としての役割を果たし、同胞社会繁栄に貢献します。
同胞の人権守るため
在日韓国人法曹フォーラム会長 李宇海
全国の同胞の皆様、明けましておめでとうございます。昨年は新型コロナウイルスの脅威に明け暮れた感がありますが、アメリカでのアフリカ系住民への暴力に端を発したBLM運動の盛り上がりという、歴史に残る出来事もありました。これは日本にも波及し、少数者の人権擁護を訴える、世界的な広告映像に繋がっていきました。
主にソーシャルメディアを通じて、フェイクニュースと呼ばれる陰謀論や人種的偏見が易々と拡散していき、これらが民族的・性的・宗教的少数者への圧迫を伴う中で、理性と事実をもってこれに抗していく世界的な動きが出ていることは着目されるべきでしょう。
法曹フォーラムが人権擁護委員会と共催で昨年12月に開催した人権セミナーも、関東大震災時の同胞虐殺という歴史的事実を歪曲する動きに理性と事実で対抗することを訴えるものでした。
今年も、民団が日本における有数のマイノリティ団体としてその役割を果たせるよう、私たち弁護士も尽くす所存です。