世界に先駆け再開 注目集める 2000年
世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症によって、社会と日常生活のあり方が大きく変わってしまった昨今、スポーツ界も大きな影響を受けている。東京五輪をはじめ、2020年に予定されていたさまざまな国際大会が延期・中止となり、各国のプロスポーツやアマチュア大会も例年とは異なる運営を余儀なくされた。そうした変化に関係者たちは翻弄され、試合や大会ができても無観客や観客数が制限させるなど、韓国でも多くのスポーツ・イベントが延期や中止に追い込まれたが、世界に先駆けてスポーツを再開させたのも韓国だった。
海外でも中継、人気に…KリーグとKBOリーグ
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韓国シリーズ制覇のNCダイノス |
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4連覇したた全北現代 |
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4連覇で引退に華の李東国 |
古巣に復帰した金軟景 |
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5冠王の金孝周 |
2年連続で米賞金女王の高眞榮 |
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「メガネ先輩」率いる「チーム・キム」こと慶北体育会が3年ぶりに韓国代表に |
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FIFAプスカス賞の孫興民=FIFAホームページ |
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黄義助 |
黄喜燦 |
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劉永 |
林恩讐 |
昨年の5月5日にはプロ野球のKBOリーグ、5月8日にはプロサッカーのKリーグ、5月14日には女子プロゴルフのKLPGAツアーが世界に先駆けて開幕。いずれも徹底した感染防止対策を施した「ウィス・コロナ時代のモデルケース」として世界から関心を集め、KBOは世界的に有名なスポーツ専門チャンネルESPNで放映され、Kリーグの開幕戦は世界19カ国で中継。ライブ配信したユーチューブのツイッターの総視聴者数は363万人にも達したほどだった。
そんな取り組みもあって、スポーツが日々の憂鬱を吹き飛ばしてくれるような役割も果たした。例えばプロ野球KBOリーグではNCダイノスがレギュラーシーズンと韓国シリーズの両方を制覇。2013年からリーグ参戦するNCダイノスにとっては初の優勝だった。
全北現代が快挙…4連覇と2冠
サッカーのKリーグでは常勝軍団である全北現代が史上初の4連覇という快挙を達成。FAカップも制する二冠を成し遂げ、長らくチームのキャプテンを務めKリーグ史上最年長記録を更新し続けてきた41歳、李東国(イ・ドングッ)の引退に華を添えた。
スター帰還で盛り上がる…女子バレーとプロゴルフ
「女帝」11年ぶり
女子バレーボールのVリーグでは、日本、トルコ、中国などで活躍してきた金軟景(キム・ヨンギョン)が11年ぶりに古巣の興国生命スパイダースに復帰。韓国女子バレーは近年人気上昇中だが、「女帝」と呼ばれるスーパースターの帰還で、昨年10月に開幕した新シーズンは例年以上に盛り上がっている。
金孝周が5冠
この女子バレー以上に「スターたちの帰還」で沸いたのは女子プロゴルフの KLPGAだろう。
昨年は新型コロナの影響で金孝周(キム・ヒョジュ)や柳簫然(ユ・ソヨン)を筆頭に、高眞榮(コ・ジンヨン)、李晶恩6(イ・ジョンウン6)、裵善雨(ぺ・ソンウ)、李宝美(イ・ボミ)など、日本や米国で活躍してきた選手たちがKLPGAツアーに多数出場。なかでも金孝周は2度の優勝で最多勝、賞金女王、平均ストローク賞、人気賞、ベストプレーヤートロフィー賞の5冠を達成。昨年は渡米せず韓国でのプレーに専念することで大きな成果を得た。
また、世界ランキング1位の高眞榮は2年連続の米国女子ゴルフ賞金王に輝いている。
サッカー
最も輝いたスター孫興民…W杯予選へ代表でもリーダーシップ
「孫興民(ソン・フンミン)は来年、サッカー界を超えて全世界にその魅力をアピールするスーパースターになるだろう」。これは世界的にも有名なアメリカの経済誌『フォーブス』が昨年12月2日に報じた記事の一部を翻訳したものだ。
同誌は孫興民がサッカーのクリスティアーノ・ロナウドやジョゼ・モウリーニョ監督、テニスのノバク・ジョコビッチなどと同じ大手スポーツエージェンシーと契約したことを受けて「今後は世界でファンが増えるだろう」としたが、孫興民はすでに「SUPER SONY」の愛称でその名を轟かせている。
昨年は7月にプレミアリーグでプレーしたアジア人として初めて1シーズン10得点10アシストを記録し、年明けには達成するプレミアリーグ通算100ゴールも圧巻だ。そのうちのひとつ、2019年12月のバーンリー戦で見せた「70m7人抜きのドリブル弾」は、国際サッカー連盟(FIFA)が最優秀ゴールに送る「2020FIFAプスカシュ賞」にも選ばれた。
昨年11月のAマッチ2連戦(メキシコ戦・カータル戦)でも毎試合でアシストを記録するなど、キャプテンを務める韓国代表でも存在感は絶大。世論調査専門機関ギャラップの韓国支社が毎年発表している「今年もっとも輝いたスポーツ・スター」でも昨年まで4年連続で1位になっている。
カタールW杯へ
サッカー韓国代表は今年、新型コロナの影響で延期になっていたカタールW杯アジア2次予選(3月と6月)を戦い、それを勝ち抜けば9月から開始予定のアジア最終予選に臨むことになるが、そのキープレーヤーとなるのも孫興民だろう。韓国代表ではキャプテンも務める孫興民が、黄義助(ファン・ウィジョ=ジロルダン・ボルドー/フランス)、黄喜燦(ファン・ヒチャン=ライプチヒ/ドイツ)、李康仁(イ・ガンイン=バレンシア/スペイン)といった海外組と、日本や中国、そして韓国Kリーグで活躍する有望株たちをまとめるためにどんなリーダーシップを見せるかという点にも期待がかかるところだ。
カーリング
「メガネ先輩」復帰
また、3月には2021年世界女子カーリング選手権がスイスで開催予定。同大会には、2018年平昌冬季五厘でアジア初の銀メダルを獲得した「チーム・キム」こと慶北体育会が、3年ぶりに韓国代表として出場することが決まっている。「メガネ先輩」の愛称で日本でも知られた金恩貞(キム・ウンジョン)は結婚して一児のママにもなっても抜群の安定感と集中力を誇るだけに、「平昌の熱狂」の再現を期待したいところだ。
フィギアスケート
「キム・ヨナ後継」めざす粒ぞろいの新星たち
ただ、新しい年が明けて冬のスポーツシーズンが到来した今、何かと気になるのはウインタースポーツの「華」とも言えるフィギュアスケートではないだろうか。
韓国フィギュア界は「妖精」キム・ヨナの現役引退以降、長らくスター不在に悩まされてきたが、近年はタレントが粒ぞろい。
2018年11月のロシアGPでキム・ヨナ以降初めてシニアグランプリでのメダル獲得に成功した林恩讐(イム・ウンス)、韓国人女子で初めてトリプルアクセルを成功させた劉永(ユ・ヨン)など、ジュニア時代から「キム・ヨナの後継者」と呼ばれる逸材たちが活躍の舞台をシニアへと移ししている。
「韓国フィギュアのルネサンス時代到来」との声もあるだけに、2021年の韓国スポーツ2021年最初の快挙は氷上から生まれるかもしれない。
スポーツライター 愼武宏
(2021.01.01 民団新聞)