五輪イヤー 新たな力で勇気と感動を
新型コロナによって、例年とは異なる変化や我慢を強いられた韓国スポーツ界とアスリートたちだが、それにめげず屈することなく、むしろ「コロナ疲れ」で閉塞感が漂っていた日常に、楽しみと驚き、勇気と感動をもたらしてくれた。それだけに2021年も韓国人アスリートたちの活躍を期待せずにはいられない。2020年から2021年へ。その活躍を通じて人々に勇気と感動を届けてくれる韓国人アスリートたちを紹介する。
◆メジャーリーグ
柳賢振、金廣鉉に続け…秋信守らも本場に挑戦
|
|
柳賢振 |
金廣鉉 |
野球の本場アメリカで活躍する韓国人メジャーリーガーたちにも注目だ。昨年は柳賢振(リュ・ヒョンジン=トロント・ブルージェイズ)がアメリカン・リーグのサイ・ヤング賞投票で3位になり、タンパベイ・レイズの崔志萬(チェ・ジマン)は韓国人野手として初めてワールドシリーズの舞台に立った。
30歳を超えてのメジャー初挑戦となった金廣鉉(キム・グァンヒョン=セントルイス・カージナルス)も好調。新型コロナの影響で60試合制となっても韓国人メジャーリーガーたちは存在感を示した。今季は彼らだけではなく、7年契約を終えてフリーエージェント(FA)になった秋信守(チュ・シンス)や、万能内野手、金河成(キム・ハソン=キウム・ヒーローズ)、技術とパワーを兼備した外野手、羅成範(ナ・ソンボム=NCダイノス)そして左腕、梁玹種(ヤン・ヒョンジョン=KIAタイガース)など、メジャー進出を目指す3人にも注目だ。
◆男子ゴルフ
メジャー制覇も夢ではない…
|
任成宰 |
また、米国で活躍する韓国人アスリートと言えば、今やLPGAツアーで一台勢力となった韓国人女子プロゴルファーたちたちが有名だが、男子では今年、PGAツアーで活躍する任成宰(イム・ソンジェ)にも期待したい。昨年は3月の「ザ・ホンダクラシック」で悲願の初優勝、11月にはマスターズで2位に食い込んだ。一昨年はアジア人初のPGAツアー新人王、昨年はアジア勢初のマスターズ制覇まであと一歩まで迫っているだけに、今年はメジャー制覇も夢ではないかもしれない。
◆卓球
「神童」申裕斌に期待…男子も若手が台頭
|
|
申裕斌 |
安宰賢 |
卓球も新星が続出している。男子はエースの張禹珍(チャン・ウジン)だけではなく、日本の卓球リーグであるノジマTリーグの岡山リベッツに所属する趙大成(チョ・デソン)、前回の世界選手権・シングルス・ベスト16戦で日本の張本智和を破った安宰賢(アン・ジェヒョン)など若手も台頭しているが、女子では卓球神童、申裕斌(シン・ユビン)に注目したい。
彼女は5歳だった2009年にテレビで〝卓球神童〟として出演し、小学3年生で臨んだ2013年総合選手権大会では大学生を圧倒。2018年には14歳にして代表に選ばれるなど、さまざまな最年少記録を塗り替えてきた。
昨年1月の2020年東京五輪の卓球団体戦・世界最終予選では勝負どころで毎回結果を残し、女子卓球韓国代表に東京五輪への出場切符をもたした。
高校に進学せず実業団の大韓航空で腕を磨き続けている「卓球神童」は、オリンピックが無事に開催されれば東京でも「韓国の期待の星」になるだろう。
3月に釜山で開催予定だった世界卓球選手権(団体戦)が昨年末に中止となったのは残念だが、東京五輪をはじめ今後の韓国卓球界を背負うニュースターの活躍を期待したい。
◆自転車
世界ランク1位サイクルの女王
|
李恵珍 |
アジア大会はもちろん、2012年ロンドン大会と2016年リオデジャネイロ大会と2度の五輪を経験して韓国サイクル競技の担い手、李恵珍(イ・ヘジン)にも注目だ。昨年3月の世界トラックサイクル選手権・女子ケイリンでは韓国女子選手として初めて銀メダルも獲得。UCI(国際自転車競技連合)の女子ケイリン世界ランキング1位にもなった。東京五輪でもメダル獲得が期待されている。
◆水泳
朴泰桓の記録を塗り替えた…急成長、17歳の黄善宇
|
黄善宇 |
申裕斌だけではない。例えば男子水泳の黄善宇(ファン・ソヌ)も「韓国の期待の星」だ。2003年生まれでソウル体育高校在学中の17歳は昨年11月、代表選抜大会男子自由形100mで48秒25をマーク。北京五輪で韓国競泳初の金メダルに輝いた朴泰桓(パク・テファン)の記録(48秒42)を塗り替え、韓国新記録をマークした。
200mでは1分45秒92を記録、韓国新記録更新にはならなかったが、中学3年生だった2018年の記録は1分52秒13。わずか2年間で6秒あまり記録を縮める急成長ぶりを見せており、東京五輪でもその活躍が期待されている。
東京での目標は金メダル7個
「孝子種目」のほか球技も有望 総合10位を
大韓体育会が掲げている東京五輪の目標は「金メダル7個で総合10位以内」だ。韓国にメダルをもたらすことから「孝子(ヒョジャ)種目」と呼ばれるアーチェリー、射撃、テコンドーらお家芸はもちろん、男子野球、男子サッカー、女子バレーボールといった球技でもメダル獲得が期待できそうな種目は多い。
女子バスケットボールもアジア最終予選を勝ち抜いて12年ぶりに五輪切符を手にした。女子サッカー韓国代表も2月に中国とのプレーオフを勝ち抜いて、悲願の五輪初出場をかなえたいところだろう。
いずれにしても新型コロナの防疫対策などまだまだ解決すべき問題は多い東京五輪だが、無事に開催となれば韓国スポーツ界にとっても晴れ舞台となるだけに、国民の期待と関心集めるに違いない。
スポーツライター 愼武宏
(2021.01.01 民団新聞)