掲載日 : [21-02-26] 照会数 : 12233
在日社会の基盤強固に…2021年度活動方針(基調)
2021年活動方針基調
◆はじめに
内外情勢と民団の役割
昨年来、新型コロナウイルスの感染が世界の至る処に拡散し、人類社会に未曽有の危機をもたらしています。コロナ感染の甚大な影響で、私たちの生活、経済・社会活動が大きく制限されています。私たちはワクチンができるまで当分間、コロナ・リスクと共存しながら、経済・社会活動を両立させて行く道を取らざるを得ないように思われます。
世界はコロナ危機に加えて、経済格差、難民・人種問題、食糧危機、気候変動などを抱え不安定化しており、先行きの不透明な状況にあります。また米中の貿易摩擦による対立が安全保障や他の領域まで波及し深刻化しております。今後、持続可能な世界の再構築に向けて、一刻も早く国際社会の協調と新たな秩序が求められています。
今年は民団が創団されて75年目にあたります。厳しい1年になることが想定されます。民団としてこれから何をすべきか、何ができるのか、民団の役割と使命が問われています。民団75年の歴史、6大綱領、第7次宣言に立ち返り、最も望まれている諸事業を果敢に進めていく必要があります。
何よりも私たちは、コロナ禍にあって、感染症の防止に努めながら、同胞社会の活力が失われないよう、暮らしを守り、同胞の経済や社会活動を支えていくために全力を尽くしていかなければなりません。共に力を合わせこの危機を乗り越え、在日同胞社会が発展し、祖国と日本社会に寄与できる基盤を確固なものにしていきましょう。そのためにも、各地域における人材育成、後継者養成、財政の確保が急務であります。
◆コロナ対策との両立
◇コロナ時代に対応した民団活動・諸事業の推進
ワクチンがゆきわたるまでコロナは長期化することが予想されます。コロナを正しく怖れ予防しながら、民団活動を両立させていく必要があります。
日本政府はコロナ感染拡大の第3波の対応に苦慮していますが、新政権の発足以後、経済再生を重視する姿勢を鮮明にし、コロナ感染防止対策と経済活動の両立を進めています。社会的責任を負う民団も、日本政府の指針に沿って諸事業を進めざるを得ません。
継続は力なりといいます。民団の諸事業は、創団以来75年間、同胞の生活を守るための継続事業であるといっても過言ではありません。
民団は、人が集まることからすべてが始まります。人が集い合い、心を通わせることが民団の基本活動です。コロナという困難がありますが、知恵を出し合い工夫して、民団活動の維持と発展に力を尽くしていきましょう。
【3大重点課業】
◆韓日友好親善
◇韓日関係の改善に力を注ぐ
私たちの重点課業の一つは、『韓日関係の改善に力を注ぐ』ことです。韓日友好は私たち在日が最も切実に願っていることであります。私たちにとっては韓国も故郷、日本も故郷です。表層的で政治的意図の見え隠れした反日・反韓には同調しません。何があろうとも、粘り強く友好の交流を続けること、「仲良くしよう」が民団のモットーです。本年は関係改善につながるセミナーを早期に開催し、懸け橋としての役割を一層果たしてまいります。
◇各種韓日交流事業と「10月のマダン」
民団は1946年の創団以来、地域社会で韓日友好親善の架橋として多くの交流事業を積み上げ、地域の自治体、町内会、市民団体と信頼関係を築いてきました。各種の「日韓まつり」や民団独自の「10月のマダン」も定着しています。
今の韓日関係の悪化は双方の政治が引き起こしたものです。過去の歴史問題で頑なにならず、民間のこと、経済のこと、両国の利益のことを優先して考えるなら、解決できるはずです。1998年の金大中・小渕宣言がそのことを証明しています。一日も早く首脳会談を開き、解決策を私たちに示して安心させてほしいと念じています。
◇地域草の根交流の地道な継続
私たちがやることは、地域で草の根交流を地道に継続することです。おたがいに「仲良くしよう」と声をかけ、善隣友好を実践していきましょう。
また、地域住民として東京五輪・パラリンピックの成功に寄与しましょう。
◆同胞の生活と権益守護
◇同胞の生活と権益を守ることに力を注ぐ
私たちの重点課業の二つ目は、『同胞の生活と権益を守ることに力を注ぐ』ことです。韓国政府の対応は在日同胞の死活問題に直結しています。私たちの生活は、韓日関係が良好であってはじめて安心できるものになります。日本では第4次韓流ブームです。「愛の不時着」が昨年の日本の流行語の上位に入っています。政治の遅れを韓流ブームが補っているのが現実です。日本には日本国籍者も含めると100万人以上の同胞が住んでいます。民団が先頭に立って同胞の生活と権益を守っていきましょう。同時に関係改善に向けて両国政府、各政党に継続して要望活動を進めていきます。
◇ヘイトスピーチ根絶活動継続
ヘイトスピーチがあるのも韓日関係が良くないからです。良くなればなるほど、ヘイトも、差別も偏見も減っていくものと信じています。昨年7月、全国で初めて、川崎市でヘイトスピーチに対する罰則条例が施行されました。他の都市部においても川崎をモデルとした条例の制定に力を入れていきましょう。またネット上の人権侵害に対処する法の整備を各政党に求める活動も進め、ヘイトスピーチ根絶活動に注力していきます。
◇地方参政権獲得活動
地方参政権は市民の権利として必要です。長年積み上げてきた運動の成果の上に、これからも付与を求める運動が不可欠です。そのためにも対内学習会や対外活動を進めて行く予定です。
◇「みんだん相談センター」の充実と拡張
民団は生活者団体です。コロナ禍の中で、不安を抱えたまま生活している団員・同胞の拠り所として民団が存在します。電話相談、生活相談の窓口を置き、広報し、生活相談センターとしての民団の役割を発揮していきましょう。
◆次世代育成
私たちの重点課業の三つ目は、『次世代の育成に力を注ぐ』ことです。
次世代の育成にも韓日関係は影響しています。近代以降の両国の関係史、在日の歴史、現在の情況など、次世代が健全な歴史観を持つことは、健全な未来観を持つことに直結します。次世代が母国韓国に夢を託し、日本に期待できる、そのような韓日関係をつくってこそ、次世代の育成に資するものです。
今年の次世代交流事業、オリニ事業はコロナの影響の推移をみながら、規模を縮小し、実施しやすい地域分散型の事業を進めて行きます。コロナが沈静化すれば、韓国での各種体験セミナーも実施していきたいと思います。
◇2021オリニジャンボリー
昨年中止されたオリニジャンボリーは、コロナの影響により国際便の運航等が懸念されます。今年は日本国内で東日本と西日本に分けて夏休みに開催する方向で調整します。
◇各種次世代・オリニ事業
コロナ対策を充分に取りながら、延期や中止を回避するため、規模を小さくし、地域分散型で推進するよう工夫して進めましょう。また、言葉・歴史・文化を教える「土曜学校」や各種「交流会」を定例化し、オリニたちに「学ぶ」機会と場をつくりましょう。
◆組織基盤強化と同胞社会の和合
◇コロナに負けるな!団員・同胞家庭訪問
三つの重点課業を進める上で基本になる活動は、団員・同胞の『家庭訪問』です。コロナで孤立した同胞の安否を確認し、慰労し、励まし、連帯し、私たちが願っていることを共有することです。マスクや消毒液、韓国食品、民団の情報誌などを持参し、少しの時間でも語らうことです。
私たちは、家庭訪問の意識を変える必要があります。一部の専従者だけが負担を負って戸別訪問するのではなく、支部・地方本部・傘下団体・中央が一緒に分かち合い、助け合い、共有する新たな形の家庭訪問を進めることです。
すでにいくつもの地方で成功事例が出ています。中央本部はいつでも地方・支部・傘下団体と家庭訪問をする準備ができています。コロナ禍の時だから避けるのではなく、こういう時だからこそ家庭訪問をすることです。そうすることで喜ばれ、つながりあうことができます。民団の存在意義も高まります。
◆組織力量の強化
後継者養成のため、地域別に各種セミナーの実施を徹底しましょう。1世からバトンタッチされた民団の有形無形の財産を枯渇させてはなりません。過疎化する地方の組織維持と強化のため、統括局長の派遣も準備しています。また、地域の民団組織、同胞社会を守るため、実務者の養成も急務です。
◇創団75周年記念行事
今年は創団75周年です。記念行事として10月~11月に150人規模で、記念特別講演会と懇親会を開催し、民団の位相と役割をアピールする予定です。
◆韓半島の平和寄与
韓半島で二度と戦争があってはならない。平和があってこそ私たちは存在できるというのが民団の基本立場です。北韓は一日も早く核兵器を放棄し、韓半島の平和体制の構築に参与すべきであります。国際社会と協調し、住民の人権と自由を保障する方向に転換していかなければなりません。また、北送同胞と日本人妻、その家族の生活と人権の保障、日本への一時帰国と帰還を重ねて求めていきます。
◇第20代大統領選挙積極参与
2022年3月9日に、韓国では第20代大統領選挙が行われます。民団は、今年は在外選挙への積極的参与を広報していくとともに、母国韓国の更なる発展と韓半島の平和定着のために積極的に寄与して参ります。