掲載日 : [20-03-28] 照会数 : 14905
コロナ禍吹っ飛ばせ!ランチを無償提供…岡崎市の焼肉店が地域の子育て世帯応援
[ おにぎりと牛肉カレーライスを配る金伸行さん(右) ]
【愛知】岡崎市内で焼肉レストランを経営する在日韓国人3世の金伸行さん(48)が、新型コロナウイルスの感染予防対策による休校措置で負担が増えた市内の子育て世帯を対象に、ランチとマスクを無償で配布した。マスクは毎日100枚、ランチは2種類を準備。19日までのボランティア期間中、会場を提供した近隣のスーパー銭湯「葵湯」前には整理券を求める保護者と子どもたちの行列ができた。
ランチは塩やごま油で味付けし、韓国のりをまいたおにぎり2個セットと、子ども向けに辛さを抑えた牛肉カレーライスのいずれか。いずれも持ち帰り用で毎日、100食程度を準備。マスクは調理スタッフ用の在庫分を回した。
整理券は午前11時から配布。15分前には50~60人が並んだ。3歳、小学3年、6年の子ども3人と訪れたある保護者は、子ども会のSNSで知った。3人とも好き嫌いがあるだけに、臨時休校中の昼食準備は大変だという。「本当に助かる」と喜んでいた。
ランチとマスクの無償提供が始まったのは、市内の小・中・高が臨時休校になった直後の9日から。社内では子どもを世話するために勤務時間を短縮して帰宅を急ぐパート従業員も見られた。
スタッフから「働くお母さんが大変困っている」という話を聞いた金さんは「よしやろう!」と即決した。その日のうちにコシヒカリやカレー用牛肉などを提供してくれる協賛企業8社を集め、決断から6日後には開催にこぎつけた。
金さんは岡崎市と安城市で韓国焼肉店を4店舗経営している。先代の勲さんが創業してから20年。「なにか地域に恩返ししたいとぼんやり考えていたとき」のコロナ禍騒ぎ。3月に入ってからそれまで好調に推移してきた店の売上が半減したときだったが、「消費が落ちこめば、社会を構成する人々の体温が非常に低くなり、免疫力が落ちる。社会のテンションと世の中の体温をあげてコロナウイルスに立ち向かう必要がある」と考えた。
金さんは保護者からの喜びと感謝の声に対して「今回の活動は私ども株式会社ファーマーズキッチンジャパン1社でできたことではありません。この辛い時期に無償で200㌔グラムのコシヒカリを提供してくれた農家さんやお肉を提供してくれた会社の方々の優しさと温かさを代わりに受け取り、お伝えしています」と話した。
先代の勲さんは生前、民団岡崎支部の支団長(1999年5月~02年5月)を歴任した。母の文順子さんは婦人会岡崎支部の現役会長。
(2020.03.27 民団新聞)