◇人影消えた空港国際線ターミナル
8日午後、南部・釜山の金海空港国際線ターミナルは日本線を含む全ての国際線が事実上運航を停止し、人影が消えた。
同空港の国際線は、1年前まで年間利用客が1000万人に迫るほど需要が多かった。2015年に595万人だった国際線利用客は、18年には986万人と急増し、年間1000万人突破を目前にしていた。
金海空港は地理的特性から国際線の中でも日本線の割合が最も高い。
日本の対韓国輸出規制強化による日本製品の不買運動が広がった昨年、日本線の運航が縮小したことで、金海空港国際線の利用客は年間956万人と10年ぶりに減少に転じた。
◇国際線運休で航空業界に危機
釜山を拠点とする格安航空会社(LCC)エアプサンも、日本が韓国からの入国制限措置を取った先月9日から全ての日本線の運航が途絶えた状態だ。
昨年の不買運動の際も福岡、大阪、名古屋、東京などの中核路線は40~50%の搭乗率を記録して命脈を保ってきたが、新型コロナウイルスの影響で全ての日本線が運航を停止した。
売り上げ全体に占める日本線の割合が20%を超えるエアプサンは、国際線のみでは30%に達する日本の入国制限措置が経営危機の直接的な原因になった。
日本路線の運休以降、先月16日から今月末まで全社員の70%が有給休職に入った。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で韓日両国の入国制限措置が長引き、中国など他の国際線の路線も止まっていることから、有給休職は5月末まで1カ月間さらに延長された。
同社の関係者は「休職が終了する5月末以降に日本線から国際線の運航を再開する計画だが、このような状況がどれだけ長引くか分からず、これすらも不透明な状態だ」と懸念を示した。
◇春の観光需要も低迷
韓日間の入国制限措置は、両国間の観光需要とビジネス需要にも影響を及ぼした。
3月と4月は、釜山と九州を行き来する春の観光需要が集中する時期だ。毎年この時期には数万人の観光客が航空便と船便を利用して両国を訪れるが、今年は客足が完全に途絶えた。
今年2月に釜山を訪れた外国人観光客は前年同月比40.2%減の10万3214人で、入国制限が本格化した3月以降は減少幅がさらに拡大すると見込まれる。
地元の旅行会社やホテルなど、観光関連業界も存亡の危機に追い込まれた。パッケージツアーを扱う大手旅行会社はほとんどが無給、または有給休職に入り、地域の小規模な旅行会社は先の見えない休業を続けている。
◇ビジネスも「オールストップ」
地元企業でも、海外営業などのビジネス活動に支障が出ている。
釜山のある鉄鋼線メーカーは、日本出張ができなくなったことで新型コロナウイルスの感染拡大以降は事実上、新規取引がストップした。既存の取引先は書類での貿易手続きを進めているが、新規取引先の開拓や管理はできずにいる。
別の繊維化学メーカーは日本とベトナムが主力市場だが、海外出張の代わりにテレビ会議システムで業務を行っている。この会社の関係者は「新型コロナウイルス問題で海外出張は自粛し、外国のバイヤーの入国も全て中止になった」とし、「テレビ会議以外にメールや電話などでやりとりしているが、業務への支障が大きい」とこぼす。
釜山商工会議所の関係者は「釜山は地理的にも経済的にも日本と関連性が高い都市だ」とし、「新型コロナウイルスによるやむを得ない決定だが、入国制限措置が長引くほど地域社会全般に及ぼす影響は大きい」と話している。
【聯合ニュース】