掲載日 : [20-04-27] 照会数 : 13909
共生社会実現へ在日が一翼…呉龍浩さんが16年振り返る
[ 呉龍浩座長(民団大阪本部で) ]
東大阪市外国籍住民施策懇話会、公募委員から座長就任まで
呉龍浩さん(民団大阪本部団長)が東大阪市外国籍住民施策懇話会第7期座長に選ばれ、野田義和市長から委嘱状を受けた。呉さんは2004年に第1期公募委員、4期は副座長、5期から在日としては初の座長を務めており、これでかつてない3期連続となる。委員就任からの16年間を呉さんに振り返ってもらった。
懇話会は多様な民族と文化が共生できるまちづくりを目指し、外国籍住民からも意見を求めて今後の施策に役立てるというもの。市民6人と学者や有識者6人の計12人で構成している。
◆市長の後押し
座長就任は委員からの推薦もあったが、「この人なら」という市長の後押しもあったようだ。
「座長は4期まで大学の教授や専門知識を持ったその道のエキスパートが歴任してきた。一方、自分は支部から民団に携わってきたいわゆる現場の人間だ。現場にいる呉さんにぜひ座長を引き受けていただきたいという声もあった。また、民団は、在日であるという強みとして、日本と韓国の両方に属するマイノリティーの代表的な団体でもあると思っている。そういう点が3選につながったのではと思う」
◆現職の戸惑いも
一方で現職団長としての戸惑いもあった。「(これ以上)こちらの仕事の都合で時間を合わせてもらうのも悪いと思い、気持ちとしては半々。見送りたいとも思っていた」。それでも1期から政策提言してきただけに「その仕上げをしたい」と就任を引き受けた。
座長としての謙虚な心配りと、事前に資料を読み込み、実務者とも徹底的に意見を交換してから会議に臨む熱心さは委員の誰もが認めるところ。 「意見を述べやすい雰囲気をつくり、発言を途中で遮らない。そうしてさまざまな意見を一つの方向に誘導していくことが座長としての役割だと思っている」
ときには座長として難しい判断を迫られるときもある。一つのテーマで委員の意見が分かれた時だ。「それぞれの意見についてさまざまな資料を見ながら研究し、どちらかの意見に最終決断する。取り上げられなかった意見についてはじっくり委員を説得し、理解を求める」
委員になるきっかけは「民団が在日社会だけでなく地域に認められる組織でなければ行き詰まってしまう」と思ったから。「行政とのパイプをつくることで団員に何かあったときに話をスムーズに進めることができる」
◆多くの提言反映
6期までの提言では市政に反映されたものも多い。呉さんが成果を振り返った。
「やはり市政の案内に韓国語の案内ができたこと。また、外国籍住民のための情報プラザができたこともこれまでの委員との地道な努力が実った結果だと思う。その背景には毎年11月に開催している東大阪国際交流フェスティバルの開催も少なからず影響があると思う。民団はフェスティバル開催当初から関わり、25年にものぼる」
行政とのパイプもさらに太くなった。「団員が困っているとき、行政に掛け合うと真剣に話を聞いてくれる。これが民団としての発言力にもつながってくる」
「東大阪市が目指す多文化共生社会の実現は、地域のイベントを一緒になってしていくなど、街の発展のために在日が地域の担い手になること。それは民団をグローバル社会にしっかり残していくことにもつながる。権利と責任をもって参画できる社会の構築のためにも、文化を基本にした交流を進めることでお互い受け入れやすくなると思う」