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最初からボタンを掛け違った北韓政権 
高英煥（国家安保戦略研究所・戦略情報室長）
1945年8月9日、ソ連軍は、日本に宣戦布告をした直後、破竹の勢いで満州にいた日本の百万人の関東軍を撃破しながら北に侵入した。ソ連軍は日本軍の武装を解除して、北韓地域を占領した。ソ連は、軍隊だけ北に送ったのではなかった。 ソ連は北韓地域を占領した赤軍第25軍団に武器などの軍需品や食料、そして今後の北側地域におけるソビエト社会主義政治体制構築のため、ソ連人顧問ら、技術者、赤軍で服務した朝鮮人の幹部も列車に同乗させた。列車だけでなく、ソ連軍は羅津と元山など、北の港に軍用貨物船を送った。 解放後、一カ月余りが過ぎた9月19日、ソ連軍の貨物船「プガチョフ号」は88旅団所属の朝鮮人部隊70人余りを元山港に送った。その中に、金成柱がいた。金日成の本名は金成柱だ。彼は、かつて東北抗日連軍に所属、所属していた抗日連軍の小部隊は日帝の討伐強化により、ソ連の沿海州、ハバロフスク付近の野営地にいたソ連の極東軍司令部直属の88旅団に送られた。この88旅団で金成柱は、赤軍大尉の軍事称号を受ける。 当時、88旅団の司令官は、周保中という中国人で、ソ連軍（第88独立狙撃旅団）中佐の称号を持ち、まさにその部下、崔庸健は少佐だった。北韓政権、後の最高人民会議常任委員長を務めた崔庸健という上級者がいたにもかかわらず、ソ連は自主的であり親中国派だった彼らではなく、ソ連のスターリンに最も忠実だった金成柱を北韓政権の第一人者に仕立てた。 当時、北駐屯軍司令官兼、赤軍25軍団の司令官であったスチャコワと政治扇動と、宣伝の鬼才たちであるソ連軍政治部の上級将校たちは、自分の言葉で最もよく聴いた金成柱大尉を伝説的な抗日英雄である「金日成将軍」に仕立て、北の人民の前に立てた。 金成柱のようにソ連軍の列車と貨物船に乗って北に入ってきたソ連軍の顧問とソ連共産党と政府、そしてソ連軍で働いていた朝鮮人たちが中心となって1946年2月16日、北朝鮮臨時人民委員会が樹立された。これを母体に、1948年9月9日、朝鮮民主主義人民共和国を創立した。名称こそ「人民民主主義共和国」であるが、実際は北朝鮮のソビエト社会主義共和国が創建されたのだ。当時、朝鮮民主主義人民共和国の政府、党、軍、治安機関の各部署にソ連人顧問が腰を据え、北韓を統治した。 ソ連と北が"人民"や"民主主義"など、いろいろな種類の聞こえのよい言葉を付け、国を創ったが、この共和国は、ソ連がソビエト体制を列車に乗せて北韓地域に置いた、ソ連の衛星国に過ぎなかった。 36歳で内閣首相になった金日成はソ連の操り人形に過ぎなかった。親ソ傀儡政権の樹立から2年もたたずに、金日成はスターリンと毛沢東の支援と承認を受け、韓国戦争を挑発した。 ソ連製のＴ34型戦車や自走砲の戦闘機で武装すると同時に、毛沢東が派遣してくれた中国の国共内戦で鍛えられた朝鮮人部隊は北韓軍の主力となった。これらは、戦争挑発の3日間で韓国の首都ソウルを占領して破竹の勢いで南下した。もし米軍と国連軍が参戦していなければ、今日の繁栄する大韓民国もなく、韓半島全体がソビエト化されていた。 ６・２５韓国戦争に敗れた金日成は南労働党派、沿岸派、ソ連派、国内派を次々と粛清しながら、北韓で独裁体制を確立していった。彼は世界史的潮流に反して、閉鎖経済を建設し、改革と開放を拒否した。彼の意地によって今日の北韓はアフリカの国よりも貧く、人権が無視されている国に転落した。 これだけて足りず、金日成は他の社会主義国家でさえ行わなかった父子世襲を断行し、長男、金正日に権力を委譲した。 金正日は金日成の死後、軍事第一主義で、軍部の独裁、いわゆる「先軍思想」を掲げ、体制を強化して、１人独裁を公告化した。彼は限られた資源で核兵器と長距離ミサイルを開発したが、その代償は大きかった。200万人が犠牲になったのだ。さらに韓国の領海で天安艦を爆沈、乗っていた46人の若い兵士の命を奪い、韓国の領土である延坪島に放射砲射撃を加えるなど、「7.27停戦」以来、最大の軍事的挑発を起こした。 核実験などの軍事挑発によって国際社会からの制裁が強化されると、金正日は鉱山など、北の地下資源と各種の利権を中国に不当な安値で売り外貨を稼いでいる。 彼は北韓の各地に別荘、狩り場、官邸を建てながら、「喜び組」と一緒に贅沢で腐敗した生活をしている。ちなみに、金正日は26歳の末っ子、正恩に2009年に権力を渡した。 世界に類のない3代世襲が敢行されているのだ。後継者、金正恩は最初の政策で通貨改革を断行し、北韓の中産階級を崩壊させた。彼は現在、1700億ウォンの大邸宅を平壌に建設している。このように、北韓政権は、最初のボタンからかけ間違いだらけで、世界で最も特異な独裁国家として名をはせている。 今年の初めに中東のチュニジアで始まったジャスミンの革命によって、中東で北韓と同様の体制を持ち北韓と緊密な関係を維持していたチュニジア、エジプト、リビアなどが順に崩壊している。 民主化革命は、シリアやイランなどにも波及している。金正日は現在、中東のジャスミン革命の炎が北に移らないために、あらゆる権力機構を総動員して住民たちを抑え込んでいる。しかし、自由と人権という人間の最も基本的な欲望を永遠に押さえることはできないだろう。
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