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韓国の左派勢力は本当に「進歩」なのか？ 
柳東烈（治安政策研究所・安保対策室先任研究官）
最近、韓国社会の中で理念的な指標を示す代表的な用語で「保守」と「進歩」が使用されている。ところが問題は、我が国では社会主義志向の左派勢力が自分たちを「進歩」と称し、また、大多数のマスコミや国民も、遠慮なく左派勢力を"進歩陣営"や"進歩勢力"と呼んでいるという点だ。これは明らかに誤りだ。
過去の共産圏の国を除き、どの国で自由民主主義を否定し社会主義を志向する勢力を「進歩」と呼び、心に抱いているだろうか？我が国以外には前例がない。 進歩（Progress）とは、一般的に「ある状況や物事がよい方向に発展している状態」を意味する。したがって、進歩という言葉は一般大衆に肯定的に受け止められてしまう。 人類の歴史の思想的意味を持つ「進歩」という概念が初めて登場したのは18世紀の啓蒙主義を通じてだ。当時、啓蒙主義は、運命論と終末論的歴史観が支配的だった古代の世界観とキリスト教の宗教的観念に対抗して、人間の自由と平等性を重視し、これを社会的に普及して覚醒させた。当時、これを「進歩の思想」と呼んだ。 以来、マルクス主義（共産主義）者は、共産主義思想を科学的世界観だと強弁し、既存の資本主義理念と体制を労働者階級を抑圧、搾取する反動的体制だとして非難し、共産主義思想と共産主義運動の進歩だと力説した。 その理由は、共産主義者たちは「歴史の発展5段階説」（人類社会が原始共同社会→古代奴隷社会→中世封建社会→現代資本主義社会→共産主義社会へと発展していく歴史観）に基づき、資本主義は必然的に崩壊し、人類の最終理想社会である共産主義社会が到来すると信じ、現在の資本主義体制を固守すれば「保守・反動」となって社会主義、共産主義を志向する歴史発展の必然的法則に順応するため、「進歩」になるという論理だ。 北韓も、哲学辞典（1985年版）を使用して、マルクス・レーニン主義と金日成の革命思想である主体思想が「進歩的思想」と規定し、これを宣伝してきている。 1980年以降、国内では社会主義志向の左派勢力は、進歩という用語は進取的な意味ととらえ、一般大衆が好感を持てる用語だと見抜き、彼らが志向する社会主義（共産主義）の社会が「進歩社会」、彼らの思想を「進歩の思想」、これを信奉する勢力を「進歩の人事」、「進歩陣営」などと呼び、用語を悪用して、彼らの社会主義志向の活動を進歩改革と偽装して正当化した。 社会主義志向の国内の左派勢力は、自分たちは進歩と称して自由民主体制守護勢力が保守反動勢力、守旧反動勢力と罵倒している。左派勢力は「進歩=新しいもの=進取的なもの」、「保守=古いもの=破壊すべき」という歪曲扇動し、保守勢力打倒のために進歩改革（実際には社会主義革命）を成し遂げめべきと主張している。 本来、保守（Conservativeness）とは、一般的に「既存の理念や秩序と体制を守り、支持する傾向」を意味する。保守の反対概念は、改革と革新といえる。韓国社会での保守は資本主義を根幹とする自由民主主義体制を守り、維持する傾向を意味しており、極めて健全な概念だ。 本当の意味での進歩と保守は、大韓民国の自由民主主義の理念と憲政秩序と体制を維持、発展させる原動力であり、対立する概念ではない。したがって、私たちは従北社会主義指向の勢力を何の検証もなしに軽々しく「進歩」と呼ぶのは、明らかに現代文明史の歪曲であり、大韓民国のアイデンティティを否定する行為だ。 結論を言うと、韓国社会で真の意味での「進歩」とは、資本主義を根幹とする自由民主主義体制の発展と繁栄をめざして追求する思想と勢力（すなわち自由民主主義勢力）であり、社会主義（共産主義）を志向する思想と勢力ではない。 70年余りの間、社会主義を実験してきたソ連と東欧社会主義の崩壊が物語るように、社会主義（共産主義）は人類文明史の様々な害悪を及ぼした「歴史の後退」であって、決して「進歩」ではないことを立証している。一言で、韓国社会の進歩と称する社会主義志向の勢力は、「エセ進歩」、「偽物の進歩」勢力だ。
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