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北韓の携帯電話は常時盗聴・監視のアイテムに
柳東烈（治安政策研究所・安保対策室選任研究官
北韓北の携帯電話加入者が100万人を突破したことが分かった。北の携帯電話が最初に導入されたのは2002年11月だ。北韓は、GSM（GroupeSp�cialMobile）方式を導入し、羅津−先鋒経済特区で最初に使用し、北の党核心部、軍、セキュリティ部門、警察（人民保安部）、秘密警察（国家安全保衛部）および上級管理職に限って携帯電話を使用した。 一般住民に携帯電話（北の用語では「ソンヂョナ」＝手の電話）が本格的に開通したのは2008年12月だが、当時、エジプトのオラスコムテレコムが75％、北韓当局が25％を投資して設立された「高麗リンク」が移動体通信事業を独占的施行しながら、WCDMA（第三世代携帯電話＝3G）方式ネットワークが開通した。北から携帯電話事業を主導するエジプトのオラスコムテレコムが発表した北韓の携帯電話加入者は2009年末9万1000人、2010年末43万人、2011年9月末80万9000人と急増し、2012年1月にはついに100万人を突破した。 北韓の携帯電話加入者が100万人が突破すると、一部のメディアと学者たちが先を争って「システムの脅威のツールとして活用が可能だ」、「中東のジャスミン革命の流入の導火線になる」、「平壌の春も遠くない」などと、北韓民主化の希望的な分析を出しているが、これは北韓権力体制のプロパティを見逃した非現実的主張であり肯定できない。 まず、北韓指導部は携帯電話の一般的な使用を可能にしたのは、体制維持に強い自信を持っているからだ。首領唯一暴圧体制の北が、中東のジャスミン革命波及の結果を見ても、3G方式携帯電話の使用を許可したのは、携帯電話の常時盗聴技術を確保しており、いつでも電波を遮断できる電波統制を保持しているという自信を示している。北韓政権は指導層と富裕層の携帯電話使用を許可することで、逆に常時盗聴するシステム防衛に活用していることを知っておくべきである。 第2に、北韓で個人用携帯電話を所持できる部類は、政府・与党の高位層とその家族、セキュリティ部門関係者、外貨稼ぎの仕事に従事する商人と管理、野外市場で富を得たた新興商人グループなど、全人口の5％に過ぎない。これらは、既得権層であり、首領様に忠誠を尽くしさえすれば永続して既得権を享受できるため、命をかけて北韓首領独裁体制に抵抗する意志がない層である。 北韓で携帯電話を購入するには、350ドル程度必要だが、労働者の平均月収が15ドルに過ぎない一般的な住民には手の届かぬ夢のような話である。一日の食事さえ心配しなければならない大多数の一般住民にはあまりにも贅沢な品物だ。一部の西側メディアは、「レストランの女性従業員も携帯電話を持っている」と報じているが、これは北韓の実情を全く知らずに述べている声だ。平壌など大都市のデパート、レストランなどに従事する従業員は、西側世界のように低所得層ではなく、上層部、中間層以上の家の子弟であり、他の労働者に比べて処遇や社会的地位の高い職業であることを知っておくべきである。 第3に、北は移動通信事業を実質的には国が運営しているため、体制の脅威があった場合、いつでも携帯電話網を遮断することができる。したがって、中東のジャスミン革命のように携帯電話をデモ情報や独裁政権倒壊を流す手段として活用することができない。このような情報発信は常時盗聴システムを使って基本的に封鎖されている。 実際に北当局は、2004年に北韓龍泉鉄道駅爆破事件直後、一方的に携帯電話の使用を停止させ、携帯電話ユーザーの端末機を強制的に押収したこともあった。この4年後の2008年にようやく一般住民に再開通した。 第4に、北韓はインターネット自体が運営されていない。チュニジア、エジプトなど中東のジャスミン革命のように、TwitterやFacebookなどのソーシャルネットワークサービス（SNS）を携帯電話と連携して使用することができない。また、携帯電話が通じる地域も10％前後で、主に平壌など大都市に限定されており、国際電話は基本的に封鎖しており、携帯電話による情報波及力は非常に弱い。 北韓の携帯電話ユーザーが100万人を突破したからといって、北韓の体制がすぐに崩壊し中東のような市民革命が発生する、との楽観的な分析を出すことは「錯覚」であり、北韓に対する誤った認識を蔓延させ、結果的に韓半島の安定と平和統一に逆行することを知るべきである。北韓社会の正しい理解を通じて北韓の実情を正確に把握する必要があり、効率的な統一戦略を立てることができる。
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