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<社説>民団活性化が目に見える
民団活性化が目に見える

 民団の諸活動は6月に入って一気に活発化した。すでに20地方本部が幹部研修を実施し、35本部が団員全世帯への戸別訪問を開始した。7月末までの前期集中活動期間には、研修・戸別訪問ともさらに地域を拡大する。

 傘下団体も力を漲(みなぎ)らせている。今年が中央本部結成30周年の青年会は、9月にソウルで開催する500人ジャンボリーの成功に向け、1000戸の訪問を目標に全国キャラバンを展開中だ。婦人会も全国を6ブロックに分けて、大研修会を実施している。

 民団・婦人会・青年会による大規模な集中活動の同時進行は、3者それぞれの特性を前面に出しつつ、お互いにエールを送り合い、支え合っている。その中心にあって、研修と戸別訪問をワンセットにする民団の集中活動は、共生理念を掲げる生活者団体、多文化共生社会を実現しようとする実践団体としての力量の蓄積に、効果的なシナジーを呼び込んでいる。

 民団と青年会の戸別訪問活動は、各地で感激をもって迎えられ、組織と同胞との距離をぐっと縮めた。青年会中央のある幹部は、「お互いの同胞としての心に、あちこちでぽっと火がついた感じ」と評した。先行して戸別訪問活動を進めていた民団支部からは、「行事の参加が2・3世を中心に2倍以上になった。帰化同胞が家族ぐるみで戻ってきたケースもある」との報告もあった。

 民団とは疎遠であっても、民族的な絆を求める同胞は多い。日本社会に溶け込もうとしている同胞ほど、半面では将来への不安を潜在させている。組織の中心メンバーよりむしろ、民団の周辺にある同胞こそ、絆の大切さを知っているのではないか。

 民団が力をつけるためには、結束力のある幹部活動者集団の育成と、周辺同胞を幅広く吸収し統合する能力の開発が欠かせない。今回の集中活動は、活動者と周辺同胞が啓発し合い、鍛え合うことになるはずだ。これは、全同胞の緩やかな統合にも貢献する。

 知り合い、気楽な友情を温めるだけでも、より多くの同胞の生き様のなかに、拭いきれない同質性をお互いに意識するからだ。歴史的背景を同じくする人々が、共通する目的意識を育めないわけがない。集中活動は、民団が同胞の絆を深めつつ、活性化する姿を明瞭に映し出すだろう。

譲れない共生学習の拡充

 日本は「愛国心」を盛り込んでの教育基本法改定に続き、文部科学省がこれまで以上に教育現場を統制しかねない教育関連3法を20日、成立させた。一方、沖縄県議会は22日、沖縄地上戦の際に日本軍が住民に集団自決を強制した事実が、検定によって教科書から削除されたことに対し、検定意見の撤回と記述の回復を求める意見書を全会一致で採択した。この二つは、日本の教育現場の今後を象徴する。

 日本政府当局はこの間、「新しい歴史教科書をつくる会」の活動と連動しつつ、「慰安婦」問題など都合の悪い記述を曖昧化するか、削除する流れを加速させてきた。集団自決に対する検定意見はそのひとコマであり、沖縄県議会の決議はこれに明確な異議を唱えたものである。

 日本は敗戦直後まで、35度線以南の日本人をアイヌ民族とともに「非日本人」と規定していた。強制徴用や敗戦後の送還問題でも、「琉球人」は「半島人」とほぼ同様の扱いを受けた歴史がある。日本国民も内実は多様であり、「愛国心」を軸に画一的な「規範」の植え付けに腐心する国家主義的な立場に、異論は根強い。

 まして、私たち在日同胞は日本との歴史的関係において、より特殊な立場にある。新規に定住する外国人も国籍を問わず増え続けている。地域社会では、民族文化を大切にしつつ、共生を追求する意欲はむしろ強まっている。

 民団は今月の6日、こうした現場の実態と教育行政の乖離を憂慮し、人権意識と国際理解を育み、多民族・多文化共生を促す半面で、それぞれの民族アイデンティティーを尊重する学習の保障、外国人当事者などを含む懇談会の設置などを文部科学省に要請した。

 教育の憲法と言われる基本法と関連3法は、現場にどう適用されていくのか。目を光らせ注視するとともに、民団のこれまでの取り組みにいっそう力を入れたい。

(2007.6.27 民団新聞)
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