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| 「あなた、その川を渡らないで」から。いつも韓服のふたり
C2014 ALGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED. | | チン・モヨン監督 |
韓国、江原道横城郡古時里の小さな村で暮らす結婚76年目、98歳のハラボジと89歳のハルモニ。二人の愛情あふれる日常生活を追ったチン・モヨン監督(46)のドキュメンタリー映画「あなた、その川を渡らないで」(配給=アンプラグド)が、7月30日から東京のシネスイッチ銀座ほか全国で順次公開される。韓国ではドキュメンタリー映画史上最高の480万人を動員、幅広い世代の人たちに大きな感動を与えた。チン監督は2人の姿を通して「愛するとはどういうことなのかを感じてほしい」と話す。
結婚76年目の老夫婦を追い「愛の真の姿」知る 7月末公開
ドキュメンタリー映画の素材を探すためにネット検索をしていたとき、チョ・ビョンマンさん、カン・ゲヨルさんご夫婦の映像をみつけました。その10カ月前に韓国国営放送(KBS)のドキュメンタリー番組「人間劇場」に出演されていました。30分の作品がすでに5本作られていましたけれども、夢中になってすべてを見ました。
見終わったとき、これは撮らないといけないと思いました。韓国だけではなく世界中の人たちに見てもらいたいと真剣に考えたのです。
おふたりに感じたのは、「愛するというのはどういうことか」を明確に表現していたことです。
韓服を普段から着ていて、質素ななかにも、とても品がありました。お互いを尊重しあい、愛し合っている姿を見て、これは普通の人ではないと思いました。おふたりが私に与えた強烈なイメージ、そこから私は抜け出せなかったのです。
夫婦の日々の営みというのは何か大きなイベントではなく、日常の一つひとつの積み重ねだと思います。高価なプレゼントを贈るとか、そのような特別なものではなくて一緒にご飯を食べ、一緒に寝て、一緒に毎日を過ごす、そのなかでお互いを尊重しあうことが何よりも重要だということを、教えてくれたと思います。
私は愛は偉大なものだと考えています。偉大な愛を小さなことの積み重ねによって続けてきたのが、このご夫婦だったのだと感じています。
すべての撮影が終わって、ご家族の方々にこの作品を見ていただいたとき、お子さんたちが、私たちが聞いたことがない話が出て来る、と驚いていました。その言葉を聞いて、15カ月間撮影してきた甲斐があったと思いました。
素晴らしい姿を見せてくれたおふたりに恩返しをする意味でも、素晴らしい作品に仕上げて発表しなくてはいけないと思いました。
これからいい伴侶を見つけたいと思っている若い人たちにも伝えたいのですが、この映画を見たからと言ってすべての答えが見つかるというものではありません。
初めて会ったときに相手に対して持った感情、愛情を悪い方向ではなくていい方向に変えていくには小さな行い、小さな実践を続けていく力が必要になってくるでしょう。そのいい方向に変えたいという意思があって、方向を見失わなければ最後までいい形で愛を貫き通すことができるでしょう。
夫婦として過ごす長い人生の時間を最後までお互い愛し合って過ごすことができるなら、それは素晴らしい人生です。
それを、このご夫婦は私たちに見せてくれています。おふたりが下さった素朴ではあるけれども非常に大きなプレゼント、愛するというのはどういうことかということを皆さんにもぜひ、感じてほしいと思います。
(2016.6.22 民団新聞) |
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