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「チャングムの誓い」出演
朝鮮朝時代の衣装で歌やトーク
1世に少年時代の辛苦を見る
人気歴史ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」に監察内侍の役で出演した韓国人俳優の李京源さん(42)。「カリスマ内侍」「死に神」といったニックネームがつくなど、強烈な個性を発揮した演技は視聴者から注目された。現在、日本での活動も視野に入れる李さんが俳優業の傍ら、継続していきたいと話すのが、在日1世を対象にしたボランティア活動だ。昨年12月に川崎で、また今年4月は東京で同胞高齢者たちと交流した。今後、出会いの場を広げていきたいと話す。
涙する人たちも
川崎区内の在日同胞高齢者サークル「トラヂの会」と、東京・豊島区内の同胞デイサービスセンター「東京トラジ会」で行った交流会では、ドラマで着用した朝鮮朝時代の役人の衣装で韓国の歌や話などを披露しながらひと時を過ごした。
同胞高齢者のなかには李さんの姿を通して離れた故郷に思いをはせるのか、車椅子やソファに座ったまま涙する人たちもいたという。李さんは一緒に触れあいながら「喜んで元気になってほしい」と願いながらも、「複雑な感情があった。触れたハルモニの手から人生が見える。これまでどんな人生を歩んできたか体温から伝わってきた」と静かな口調で語る。
李さんはこの間、1人の俳優としてボランティアの必要性を感じてきた。「韓国のスターはファンから愛情をもらって生きていける。その恩返しをしなくてはいけないが、時間的にできない。ならば無名の俳優である私がスターのできないボランティアをやろうと思った」
実は李さんは母方の祖母が日本人で、母親は6歳まで日本で育っていることから、日本に対する親しみは深い。日本語も独学で勉強したほどの努力家でもある。そんな李さんがずっと関心を寄せてきたというのが在日同胞たちだ。特に1世に対する思いは、日本に暮らす同胞たちと何ら変わらない。
「在日1世のお年寄りたちは、一番差別の厳しかった時代に日本で住んでいた。本当に苦労をした韓国人です。今の同胞社会はその1世たちの苦労の上にある。そんな彼らに対して私は何かをやりたかった」
少年時代から「仕事で成功したら自分のような環境に恵まれない子どもや、お年寄りたちを何かのかたちで助けてあげたい」という気持ちを持ち続けてきた。李さんは7歳のときに父親が病死。8歳ときに母親と離れて叔父の元で小学校卒業まで過ごした。以来、誰にも頼ることなく「生活費も学費も自分で働いて得てきた」という苦労を重ねてきた。
少年のころに志した思いは今、在日1世のハラボジ、ハルモニたちに向けられ現実のものとなった。「20代から憧れていた日本でこれから、俳優としてチャレンジし、またボランティアも続けていきたい」と抱負を語る。
(2007.6.13 民団新聞)
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