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<社説>問われる日本の排外的福祉政策
 国民年金制度の谷間に取り残された在日同胞高齢者6人が「老齢年金」の支給を求めて13日、大阪地裁に国家賠償請求訴訟を起こしました。

 原告たちは59年の国民年金制度発足時は外国籍を理由に排除されました。国籍要件が撤廃された82年1月1日の段階ではすでに60歳を超えていたため加入できず、86年の法改正でもなんら救済措置はとられませんでした。法改正の都度排除され、無年金のまま今日まで放置されてきたのです。

当事者の憤りと抗議示す提訴

 原告からは「このままでは死にきれない」との声さえ聞こえてきます。この憤りと抗議の声が今回の提訴につながったのです。

 厚生労働省はこれまで十分な救済措置をとってこなかったことについて、「立法と行政の裁量の問題だ」と強硬に突っぱねてきました。

 同様の行政訴訟で「在留外国人に社会保障をどのように処遇するかは特別な条約でもない限り、自国民を優先的に扱うことは許される」とした最高裁の判決にしても、渡日して間もない一般外国人ならともかく、特殊な歴史的背景を抱えて日本に永住定住するようなった在日同胞に機械的にあてはめたのは疑問です。

 民団はこれまで折に触れて経過措置を含めた国民年金法の改正を日本政府に訴えてきました。しかし、今日まで実現していません。

高齢化時代に欠かせない年金

 一方、自治体の間では「同じ地域で一緒に生活している住民を国籍で差別するのはどうかと思う」(福井市)という声が大きな比重を占めつつあります。無年金外国人高齢者に「福祉手当」や「高齢者給付金」の名目で現金を支給している自治体も静かな勢いで広がりを見せています。これは外国人高齢者救済に消極的な国への遠回しな批判とも受け取れます。日本弁護士連合会でも国の対応を「明らかに外国人差別であり、国連人権規約に反し、憲法25条(生存権など)に反する恐れがある」と主張してきました。

 こうした無年金状態の在日同胞高齢者は全国で3万5000人と推察されています。年齢はすでに77歳を超えています。これまで納税の義務も含め地域住民としての責務を忠実に果たし、少なからず日本社会の発展にも貢献してきました。にもかかわらず、日本の社会保障制度からいちばん遠いところに追いやられているのはどうしてなのでしょうか。

 「老齢年金」は、金額はわずかではあっても、病院に通ったり介護保険料を支払うためにはなくてはならないものであります。来年は5年に一度の年金制度抜本改正の年。日本政府は今回の提訴に込められた原告同胞たちの思いを重く受け止め、法制定時にさかのぼったうえで国民年金法を改正するようあらためて望みます。

(2003.11.26 民団新聞)
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