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<第67回定期中央委員会>新時代に積極対応固めた結束…12年度の総括報告〈要約〉
呉公太団長をはじめ民団中央幹部は支部巡回・対話集会を精力的に展開した
第18代大統領在外国民選挙で歴史的1票を行使した

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はじめに
主要運動が相乗効果も

 本団は昨年、内外の時代的要求に対応すべく新たな出発を期した。第66回定期中央委員会・第52回定期中央大会で採択・承認された新しい宣言(第7次)と綱領で、祖国・大韓民国との紐帯をより高い次元で強固にし、居住国・日本にいっそう貢献しようとする本団の姿勢を明確にしたのである。

 まず、在外国民の2大国政選挙参与元年に臨み、新宣言は「大韓民国の憲法精神を守護し、在外国民選挙に積極的に参与するとともに、平和統一と先進祖国建設の一翼を担う」ことを謳い、その主旨を綱領の筆頭で「我々は、大韓民国の国是具現を期する」と集約した。「遵守」から「具現」へと踏み込んだのである。

 新宣言はまた、「日本自らが永住外国人の地方参政権を早期に付与するよう促す」ことを初めて明示し、「日本社会に貢献する模範的な市民たらん」とする立場をより鮮明にした。これを受け、5大綱領に「我々は、日本地域社会の発展を期する」の条を新設、6大綱領とした。

 新しい宣言・綱領のもとに新3機関体制が出帆し、第52期執行機関はいち早く、第19代国会議員選挙に向けた投票促進運動に全力を注ぎ、日本地域の投票率を世界トップ水準に押し上げた。

 以後、「在外国民選挙参与」「組織基盤強化」「次世代育成」の3大運動を相互の有機的な関連のもとに展開した。団長ら中央幹部による支部巡回と対話集会を起爆剤として組織活性化を図り、各級幹部研修を軸に決起集会と戸別訪問を並行させ、全国規模で主要課題に対する問題意識の共有を図った。

 第18代大統領選挙に100歳の1世から19歳の4世まで、国会議員選挙時の2・5倍の有権者が参加したのはその成果だ。なかでも、次世代育成事業の一環である母国研修に参加した3・4世が啓発され、その多くが民団と祖国への関心を高め、投票に参加したことは鼓舞的と言えよう。

 この国政参与運動は、大韓民国を襲う内憂外患をどう打開すべきか、深刻な危機意識をともなって推進された。

 独島問題を挟んでの韓日関係悪化、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有をめぐる日中対立の険悪化、さらには北韓による弾道ミサイルの発射が重なり、東アジアの構造的な緊張要因が一気に浮上した。しかも、6者会談の構成国すべてで政権交代もしくは新たな政権の枠組み構築があり、諸懸案にどう対処するのか、不透明なまま越年を余儀なくされている。

 内憂外患のなかで内外国民は、新大統領に豊かな政治的経験とそれが培った強靱な指導力に定評のある朴槿惠氏を選出した。その結果を受け本団は、国民大統合を第一に掲げる朴新大統領率いる大韓民国とともに、今後も一心同体であるとの思いを新たにしているところである。

 昨年は、国政選挙に始まり国政選挙に終わったといって過言ではない。しかし本団は、国政参与運動を主軸にしながらも、基本事業をおろそかにはしなかった。諸般の運動・事業を総括する。

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在外国民選挙参与運動
隘路克服 投票盛り上げ

 4月の第19代国会議員選挙(在外投票3月28日〜4月2日)における日本地域の在外選挙権者(選挙人登録・国外不在者申告)は1万8628人で、潜在的な有資格者の8・8%。実際に投票したのは9793人。投票率は52・6%だった。ともに、世界平均を上回ったとはいえ、低調であったのは否めない。

 しかし、大統領選挙に向けての関心は時を追って高まった。4月の前期全国地方団長・中央傘下団体長会議で体制を整え、大統領選挙参与運動を本格化させた。団長をはじめとする中央本部幹部は、直ちに支部巡回活動に入り、10月初旬までに延べ84支部を対象に対話集会をもった。

 選挙人登録開始日の7月22日、「我々皆が1票を!」の合い言葉のもと、全国10カ所の公館所在地で一斉に開催された決起集会には1574人の各級幹部が結集した。9月の後期全国団長・中央傘下団体長会議で追い込みを確認、本団が要望してきた制度の改善(代理申請や巡回領事が可能に)もあいまって、在外選挙権者は国会議員選挙時のほぼ2倍にあたる3万7342人に達した。

 在外国民投票開始日(12月5日)を前にした11月、公館管内別および地方本部単位で各級幹部会議を開き、選挙権者に多様な手法で働きかけることを確認、投票率を最大限に高めるべく万全を期した。結果として、投票者は2万5312人、国会議員選挙時の2・5倍超を記録した。

 投票率は67・8%と世界平均をやや下回ったものの、日本地域は他地域とは違って国政に疎遠なうえ旅券を所持しない永住権者が多いことを考えれば、自負できる数値と言えよう。公職選挙法の知識を深めつつ制度上の隘路を克服し、登録率と投票率を押し上げた各級組織幹部諸氏の健闘を称えたい。

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組織基盤強化運動
支部巡回で絆を一段と

 組織基盤強化運動の柱となったのは、団長ら中央本部幹部による支部巡回・対話集会である。多様なテーマに即して団員の生の声と中央本部の考えが双方向で行き交い、現状認識を深め合う場となった。

 中央団長らによる支部巡回は、草創期を除けば70年代中盤のセ(新しい)民団運動時に行われたに過ぎない。それもモデル支部など一部に限られた。昨年のように、大がかりかつ集中的に実施されたのは創団以来のことである。

 団員数と団費収入の漸減や熱心な団員の高齢化などにより、組織の基礎体力の低落傾向は否めないものの、地域団員と密着した支部を守り抜こうとする支部幹部の意思は衰えていない。東日本大震災で倒壊した宮城・仙北支部会館が再建されたことはその端的な表れと言える。

 支部会館を有効活用しての韓国語講習をはじめ文化教室やオリニ教室の拡充、親睦事業のほか団員が必要とする各種サービスの無料提供などを通じて、「人が集まる支部」をつくろうとする意欲には強いものがあった。また、団長らとの意見交換を通じてやる気を蘇らせた支部も少なくない。

 支部巡回ではまた、7月から施行された新たな外国人在留制度に関する注意を喚起することにも力点をおいた。自治体の広報だけでは不安な同胞が多く、本団を通じて理解を深め、手助けを受けることで、生活を守る組織としての存在感を高めることにつながった。

 本団の力量が国政参与運動に集中するなかでも、在日同胞社会の展望と本団の役割などをテーマに地方幹部研修を18本部で開催したほか、中央組織学院を2期実施し、合わせて67人の修了者を送り出した。

 昨年の組織強化運動は国政参与運動と不可分であった。総括的に見て、国政参与運動は多くの団員に本国への関心と国民としての自覚を高め、祖国と本団、さらには団員間の絆を強め、組織の有用性を再認識することで本団の将来を担保する一群の堅固な団員層を形成したと評価できよう。

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地方参政権獲得運動
早期付与を促し水面下で再構築

 「はじめに」で言及したように本団は昨年、新宣言で「(各種差別を解消しつつ日本発展に寄与してきた)地域住民団体」であると初めて言明し、「(日本社会のさらなる国際化と多文化共生社会の実現に貢献するために)日本自らが永住外国人の地方参政権を早期に付与するよう強く促す」との文言を追加した。新綱領には「我々は、日本地域社会の発展を期する」の条を新設した。

 言うまでもなく、地方参政権が付与されるまで不退転の姿勢で臨む決意を内外に明らかにしたものだ。事実、国会議員、政府担当者、言論人と不断に接触し、理解を求める努力を怠ることはなかった。だが、与党・民主党が昨年5月に「在日韓国人をはじめとする永住外国人住民の法的地位向上を推進する議員連盟」の総会を開き、同連盟が7月に勉強会を持った以外、日本側には格別な動きはなかった。

 むしろ、政局が解散・総選挙に向かって動き、なおかつ、独島問題をめぐって韓日関係が急速に悪化したことで、運動は水面下のものに限定されざるを得なかった。だが、与党となった公明党のほか複数の野党でも付与推進の方針に変化はなく、引き続き連携を図りながら運動の再構築を模索しつつ満を持す1年となった。

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次世代育成運動
好循環づくりへ意識化

 2011年度の「次世代育成1000人プロジェクト」に続き、昨年も次世代母国研修を実施した。中学生から大学生、さらには青年商工人と若手組織幹部までの5コースに計738人が参加、同世代としての仲間意識を育み、本国の発展した姿と安保問題に対する認識を深めた。

 第7回目となったオリニ・ジャンボリーには313人が参加した。主人公であるオリニたちが感動を共有しただけでなく、スタッフとして協力した青年会・学生会・母国修学生会の会員たちの連帯強化にもつながった。開催にあたって在日同胞の篤志家や本国の各協力機関の支援が大きな力になったことを申し添えたい。

 オリニ土曜学校は10年以降、着実にその数を増やし、昨年は23地方本部35カ所で運営、1000人以上が学んだ。夏季林間・臨海学校やクリスマス会だけでなく、光復節や10月のマダン、各親睦行事でもオリニの参加しやすい場づくりが全国に広がっている。

 第93回韓国国体大邱大会で、在日同胞選手団は2年ぶりに総合優勝を果たした。これもまた、次世代育成と若手選手発掘に力を入れてきた体育会の成果だ。60周年を迎えた体育会がその独自の強みを活かし、サッカーやフットサル、ボウリングなど各競技で次世代の基盤を育んでいるのは心強い。

 昨年は青年会中央の結成35周年であり、青年会育成3カ年計画の最終年であった。全団的な次世代育成の流れの上に昨年、4地方本部が再建され青年会は21地方本部体制になった。

 中学・高校生世代に対する事業はこの間、オリニ事業から学生会・青年会に至る狭間で空白状態にあった。だが、中高生を対象にした母国研修が2年連続で実施されたことにより、オリニ、中高生、大学生、青年へと連なる次世代育成事業の体系が不十分ながらも整備された。

 ジャンボリーなどに参加したオリニが中高生や大学生となって母国研修で再会し、青年会や学生会に参与するようになり、ジャンボリーのリーダーとなって恩返しをするなど、好循環がつくり出されていることは刮目に値する。

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各種事業

 4大運動のほかにも多様な活動を展開した。主要事業を要約して報告する。

祖国平和統一

 民主平統諮問会議海外地域会議(ソウル・5月)に209人が参加。平統東部協議会が「北韓人権問題特別講演会」を東京で、統一部が講演「政府の対北政策と統一準備努力」を東京・京都で、時局講演「従北勢力の実態」を東京・愛知・大阪で開催した。

 北韓の2度にわたる弾道ミサイル発射や延坪島砲撃2周年に際し、全国一斉に糾弾行動を展開、総連の中央・地方本部に対して軍事挑発を許さないとの決意を込めてデモを行い、抗議文を伝達、総連同胞に決起を呼びかけた。

 勿忘草バッジ運動で集まった誠金3500万ウォンを「6・25戦争拉北人士家族協議会」と「統営の娘送還対策委員会」に伝達する一方、統一祖国建設のための財源づくりの一環として、7月から「統一ハンアリ(壺)」募金運動を開始した。

脱北者支援センター

 在日出身で日本に入国した脱北者約200人中約150人に対し、就業・住居・学校の斡旋や公共機関での各種手続きなど定着化支援を継続。関東地区では交流会(44人参加)も開催した。また、脱北者を招請しての講演会を3地方本部で行った。

生活相談センター

 生活上の難問や法的問題の解決のため、在日同胞専門家を中心とする相談員(弁護士17、行政書士9、税理士10、司法書士1)を構成、918件の相談に対応した。同センターもはや6周年。こうした活動の積み重ねの上に11月、在日同胞の人権擁護や民団の諮問に応えることを目的に、「在日法曹フォーラム」が発足した。

旅行者支援センター

 韓国人旅行者の事故や疾病など困難な事態に対する支援や各種便宜提供のため、駐日公館と緊密な連携の下に運営してきた。観光案内や荷物保管から事件処理、留学相談まで多様な1213案件に対応した(1月1日〜11月30日)。

在日韓人歴史資料館

 開館7年目を迎えた歴史資料館は、土曜セミナーなど着実な文化活動のほか、在日同胞の苦難の歴史を本国市民に広く知らせるべく「在日100年―列島の中のアリラン」と題してソウル特別展を開催した。好評のため会期を延長し、8月10日から53日間、ソウル歴史博物館には約16万3000人が訪れた。

先烈有功者顕彰

 抗日独立運動の闘士であり、初代団長である朴烈義士が昨年、生誕110年を迎えたのに合わせ、故郷の慶北聞慶市に記念館がオープンした。本団は7000万ウォンの誠金を拠出、伝達式には3機関長と歴代団長が参席した。12月には、石川本部が主催した独立運動家、尹奉吉義士の80回忌追悼式の挙行を全面支援。また、ベルリン五輪マラソンの覇者、故孫基禎氏の生誕100周年記念シンポを本団と母校の明治大学が共催した。

韓日祝祭とマダン

 独島問題で韓日関係が冷え込んだにもかかわらず、本団が支援する「韓日祝祭ハンマダン」が東京の韓国文化院など複数の会場で多彩に催された。本団恒例の「10月マダン」も21地方本部25カ所の会場で行われ、韓日共生へのメッセージを発信した。

麗水博覧会参観

 麗水世界博覧会(5月12日〜8月12日)の成功に向け、広報活動に力を入れた結果、韓国語講座の受講者など関心の高い日本人らとともに、27地方本部、2中央傘下団体などから計1070人が参観した。

東日本被災者支援

 本団に寄せられた義捐金から、同胞被災者に対して第4・5・6次分の慰労金を支給し、要望のあった一部の被災学校に対しても支援金を伝達した。一昨年来からの支援活動に対して、茨城県知事など各自治体の首長から昨年、感謝状が授与された。

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むすび
本国と紐帯強め存在感

 昨年は2大国政選挙が同一年に行われる20年に一度の年であり、なおかつ、憲政史上初めて在外国民選挙が実施された年であった。国政参与運動は、67年周年を迎える本団の歴史にあっても初めての体験であり、制度上の隘路も重なって試行錯誤の連続だった。

 だが、在日同胞の本国発展に寄せる思いと本団の存在意義を示すべく、地方本部・支部の幹部をはじめとする熱誠的な団員たちの努力によって、大きな成果を収めた。祖国との紐帯を確認することで本団団員の結束を固め、本団と祖国の共同発展への決意を新たにすることができた。

 国政参与運動を中心に多忙な1年であったにもかかわらず、本団はやるべき運動・事業のすべてに最善を尽くすべく努力したと言える。全国の各級組織幹部と傘下団体の幹部諸氏の奮闘に対して、深甚なる感謝の意を表したい。

(2013.2.19 民団新聞)
 

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