| | 家原寺境内に建つ行基菩薩の銅像 | | | 家原寺を視察する李賢主総領事(左)と呉時宗支団長(右) |
行基上人もカミングアウト 【大阪】古代から韓半島と豊かな交流があったことで知られる堺市。市内には歴史的な関わりを示す重要な史跡も多い。こうした「堺の中の韓国」を内外に発信していこうと、市は3月末までに市内4カ所の施設案内版の記述内容に書き加え、韓国語表記も入れた。これは民団大阪・堺支部(呉時宗支団長)からの6年越しの呼びかけに応えたもの。8日には駐大阪総領事館から李賢主総領事らが視察に訪れた。 施設案内版4カ所に加筆 家原寺は行基上人の生家跡。境内には行基菩薩の銅像が建つ。境内の施設案内版には行基の社会文化事業における幾多の業績についての記述に先だって、百済につながる行基上人の出自が韓国語と日本語、英語、中国語の4カ国語で次のように書き加えられた。 「飛鳥・奈良時代の高僧行基(668〜749)は、この地で生まれ、父の高志才智は、百済から渡来した王仁を祖先とする一族で、母は蜂田首虎身の娘の古爾比売とされています(『大僧正舎利瓶記』より)」。同様の記述の加筆は、行基上人が創建に関わった大野寺や土塔の案内版でも確認できた。 また、古代の窯跡「陶邑窯即跡群」(泉北地域)の施設案内版には、新たに「この須恵器は朝鮮半島から伝わった最新技術によって製作されたもの」という一文が加わった。 市内には行基の業績を顕彰するための「堺行基の会」という市民の会もあるほど「堺市の人気者」だ。しかし、その出自にまで関心を持つ人は少ないという。 民団堺支部の呉支団長は、「明治時代から続く韓国隠しの影響で、ほんとうの事実から目をそらしているのでは」と考えた。それならばと取り組んだのが、市民啓発のための歴史講座「堺と韓半島のつながり」だった。「堺の魅力づくり」と銘打ったこの市民自主事業は民団支部が主催。市も年間100万円近い財政支援で後押しした。 歴史講座は07年度から10年度まで計10回にわたって続き、好評を博した。取り上げたテーマは堺と縁の深い王仁博士、行基上人といった渡来人、須恵器と古墳、朝鮮通信使など。10年6月には締めくくりとなる「古代遺跡と日韓文化交流」と題した大がかりな特別講演会も共催した。 一方で毎年、市長と教育長には文書で施設案内版の書き換えを求めてきた。ようやく、市は13年度要望書への回答のなかで「施設案内版の記述内容の見直しを検討する」と表明するに至った。 呉支団長はこれらの成果を活かし、韓日間の青少年交流を活性化させていきたい考えだ。「行基さんもカミングアウトできて喜んでいるだろう。これから堺に残る歴史文化遺産をテコに韓国から多くの観光客を呼びたい」と話している。 韓国にアピール 李総領事は8日、堺市庁舎に竹山修身市長を表敬訪問した。民団堺支部から呉支団長をはじめとする役員多数が同席した。 李総領事は、「韓国と日本が草の根レベルで交流しあえる土台ができたことはうれしい。韓国と日本の関係がもめているなか、市と民団はよく頑張った」と称えた。 これに対して、竹山市長は「呉支団長という強力なパートナーがいてくれたことが大きい。これを機会に堺市を韓国にアピールしていきたい」と抱負を述べた。 (2014.5.14 民団新聞) |