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<第68回定期中央委員会>2013年度活動報告(案)〈要旨〉
全国を3ブロックに分けての支団長ワークショップで成功事例や特色ある事業について活発に意見交換、「組織活性化は現場から」の気概を共有し、絆を深め合った

厳しい環境下、前進へ結束固めた

 第68回定期中央委員会(19日)に上程される「2013年度活動報告案」は要旨次の通り。

■□
はじめに
未来プロジェクト始動

 2013年度の本団は、年間を通していつになく厳しい環境にあった。一昨年から悪化した韓日関係は、両国の新政権誕生後も修復に進むことなく、国交正常化以来で最悪とも評される状況にある。

 一方、一昨年の長距離弾道ミサイル発射に続いて3回目の核実験を強行し、国際社会からの一斉糾弾に対して核戦争危機の醸成で応えた北韓は、政権中枢を揺るがす血なまぐさい粛清期にあり、大規模な軍事挑発と体制崩壊を含む急変事態への備えが喫緊の課題となった。

 しかし、韓・日・中3国の在り方は、北韓リスクに共同対処して東北アジアの平和と発展に責任を負うどころか、逆に地域の深刻な不安定要因になったとまで指摘されている。

 日本ではこれらを背景に、一部政治家やメディアによって度を越した嫌韓ムードが醸成されてきた。在日同胞を標的にしたヘイトスピーチ(憎悪表現)が勢いづいたのもこれと無縁ではない。

 昨年の本団は、厳しい見通しを織り込みつつ「民団再生」「次世代育成」「韓日友好促進」を3大重点運動に定め、そこに力量の多くを集中した。創団以来の一貫した日常課業に属する「韓日友好促進」をあえて3大運動の一つに据えたのも、関係悪化による政治・経済・社会的な弊害の広がりが予断を許さないとの危機意識からだ。

 本団は韓日関係の修復に向け、草の根レベルの交流から高度な政治レベルの接触に至るまで全力を注いできた。この運動はまだ、状況打開にどの程度寄与できたのか判断できる段階ではない。

 しかし、本団の共生理念が培った地域住民どうしの友情や信義は健在であり、困難なときほど力強く発揮されることが確認できた。また、本団の意志と働きかけが韓日の政府・政界に少なくないインパクトを与え、懸け橋としての期待が双方から高まった。

 3大運動のいずれも努力の結果がすぐ目に見える性格ではない。それでも「民団再生」と「次世代育成」の分野ではいくつかの面で手応えがあった。最大の要因は、全国の幹部・活動者が内外の制約条件と率直に向き合い、この克服を怠れば本団の未来は描けないとの意識に徹したことにある。本部・支部あるいは地方協議会単位で創意工夫に基づく自発的な事業が目立ったのはその表れだ。

 東北地方協議会が青壮年活動者を集めて全国初の次世代活動者研修会をもったことに注目したい。同胞過疎地域のハンディを克服するために、地方本部の枠を超えて域内活動者の意欲と相互連携機能を高め、オリニを対象とした次世代育成に力量の集中を試みるものだ。

 「組織再生」と「次世代育成」は、有機的な関連を強めながら好循環を生み出しつつある。こうした傾向は幹部・活動者に手応えを与え、よりいっそうの意欲を引き出す糧になっている。

 中央本部幹部による支部巡回・対話集会、全国を3ブロックに分けての支団長ワークショップなどを通じて相互に啓発し合い、問題意識を共有しながら連帯感を育んだことも3大運動の大きな推進力となった。この流れを持続させ運動体としての機能を高めるべく、中長期的な課題について提言する未来創造プロジェクトを立ち上げた。

 要路訪問代表団は昨年8月、朴槿恵大統領をはじめ政府各部署の長官や韓日議連の重鎮らを歴訪し、韓日関係の打開や本団の課題について忌憚のない意見交換を行った。朴大統領は在日社会の諸懸案、韓日関係悪化の影響などを熟知したうえで、在日同胞社会の求心体として、また、韓日の懸け橋として、本団の役割に熱い期待を表明した。本団と本国の紐帯はいつになく強固だと言えよう。

 多事多難な中にも明るさを見い出せた昨年度の諸般運動・事業について報告する。

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民団再生運動
支部巡回は半数近くに

 民団を総体として蘇らせようとする再生運動は、地域同胞と直接触れ合い、その実情がもっとも反映される支部の活性化を最優先に展開した。団長をはじめとする中央本部幹部による支部巡回・対話集会を引き続き第一の柱とした。昨年は56支部を訪問、一昨年の70支部と合わせて126支部となり、全281支部の半数近くを巡回したことになる。

 全国を3ブロック(関東・東北、九州・中国四国、近畿・中北)に分けての支団長ワークショップには支団長ら約390人が集い、成功事例の発表と討論は各支部の挑戦意欲を刺激するものとなった。また、2回にわたって実施された支部実務者研修は、実務上の隘路克服に寄与した。

 支部幹部や実務者たちが中央本部幹部と顔を見合わせ話し合う機会はまれなだけに、支部幹部らからは抱えてきた思いが率直に吐露された。当面課題を論じ合い、励まし啓発し合うことで仲間意識を強め、明日への活力を育んだ。

 支部活性化のための奨励金事業が初めて実施された。団員の親睦・文化・研修、次世代育成、韓日友好など、「同胞が集う場」をつくる各事業で支援要請のあった支部のうち164支部に給付された。117件が新規事業だ。ある程度の財源さえあれば企画が生まれ、成功させる地力が健在であることを証明した。

 在日同胞社会の統合についても、新定住者団体を当面の対象に鋭意努力した。各地の韓人会代表を中央執行委員会に招いて支援金を伝達するとともに、本団と韓人会の幹部がそれぞれの行事に相互訪問し、コリアタウンの活性化にも共同で取り組むなど一段の進展があった。民団中央団長杯争奪次世代ボウリング大会で、青年会・学生会と留学生連合会の120人が連帯感を温めた意義も大きい。

 本団のベテラン活動者や同胞有識者で構成する未来創造プロジェクトを新設し、各地の韓国会館など民族財産の活用と保全、活力を継承するための次世代育成、在日同胞の大統合と組織改革の3分野で提言を準備している。民団再生への新たなテコとなろう。

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次世代育成運動
各地での取り組み多彩

 次世代母国研修には中学・高校生と大学生合わせて約300人が参加、北韓の実情や統一問題について学び、自らのアイデンティティーについて考える貴重な機会を引き続き提供した。ただ、実施決定の遅れによって規模が縮小したのは遺憾であり、今後への教訓としなければならない。

 次世代育成運動における昨年度の特徴は、2年ごとのオリニ・ジャンボリーの狭間を埋めるように、多くの地方本部・支部が主要な課題と位置づけ、独自の取り組みを強化したことにある。大阪本部によるウリナラキャンプに近畿地方の小学5・6年生210余人が集い、千葉・長野・山梨の3本部による「合同オリニ事業」が80余人のオリニで賑わったのはその一例だ。

 恒例の親睦行事をオリニ向けにアレンジする傾向も顕著になった。「冬季・オリニの集い」が前年を大幅に上回る25地方46地域で開催された。オリニ事業を単独で行うのが困難な地域で近隣支部と合同で実施する動きが広がっている。限りある力量を次世代育成に注ぎ、民団再生への触媒にしようとの意志は強い。

 「土曜学校」をはじめオリニを対象とする文化・スポーツ活動も拡充した。中央団長杯オリニ・フットサル大会の参加チームが年々増えている。体育会中北本部は名古屋韓国学校にオリニ向けのフットサルコートを寄贈した。仁川国体の海外部門で在日同胞が2連覇を果たしたことも、体育会による次世代育成の成果として高く評価される。

青壮年活動者にも焦点

 次世代育成運動の中心をなすオリニ事業は多様化しつつ拡大しており、その親世代と本団を近づけるのに貢献し始めた。現在のオリニ事業対象者は、青年会OBの孫・子ども世代であり、組織活動の経験者が同輩世代をけん引しているほか、ジャンボリー参加者などかつてのオリニが青年会員となって、事業をサポートしていることも心強い。

 本団の組織構成における大きな弱点は、血気盛んで働き盛りの青壮年層が薄いことにある。経済活動や子育てなど実生活で最も多忙であり、本団と疎遠にならざるを得ない世代だ。この世代の組織化の成否が本団のすう勢を決するといって過言ではない。その意味でもオリニ事業を担う青壮年活動者の育成に向けた東北地協の試みに学びたい。

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韓日友好促進運動
草の根交流で本領示す

 韓日友好促進には二つの次元から取り組んだ。一つは、地域住民どうしによる草の根交流の拡大・深化であり、もう一つは、政府間・国会議員間の相互理解促進である。

 草の根交流の場は既存のものだけでも多岐にわたり、新設も相次いだ。自治体と協力しての朝鮮通信使再現行列も各縁故地でいっそう盛んになった。長野本部が運営するNPO法人民団国際協力センターは、年会費を納め韓日友好が目的の各行事に参加する250人前後の会員を擁している。各地でこれに学ぶ動きが出てきた。

 本団が運営する韓国語講座は全国で約270教室あり、約8000人が学ぶ。韓流の影響もあって韓国の舞踊、歌謡、手芸など常設の文化教室、テコンドなどのスポーツ教室は同胞過疎地域にも根を広げている。昨年、特に目立ったのはキムジャン講座や料理教室が増加したことだ。

 これらは韓日友好の志を同じくすることで成り立つ。各教室・講座の受講者のかなりを日本人が占め、韓国語講座では8割に及ぶ。恒例の新年会、春や秋の野遊会、10月のマダンなども地域の有力者や住民の参加が当たり前になった。本団はそれぞれの場で機会あるごとに、善隣友好をけん引する意志を明確にし、日本側の共感を呼んだ。

ヘイトスピーチに対応

 横行するヘイトスピーチを糾弾する日本人市民らの行動が力強く展開されている。被害をこうむった東京、大阪のコリアタウンでは、韓日住民が手を携え活性化に汗を流した。「韓日祝祭ハンマダンin東京」には前年を上回る5万人が詰めかけた。国と国の関係が悪化しても地域住民どうしの友情を揺るがせず、むしろ市民運動によって政治的な関係改善を促す草の根交流の本領が発揮された。

 青年会はヘイトスピーチに見られる極端なナショナリズムと排外主義の高まりに警鐘を鳴らしながら、人権救済機関の設置と外国人人権基本法の制定を求める「善隣友好精神5万人署名運動」を独自に展開し、要請文と署名簿を関係機関に伝達した。

 ヘイトスピーチに対して本団は、「韓国人対日本人」の構図にすることなく、まずは日本人自身の問題として対処すべきだとのスタンスをとった。各出版物を通じてキャンペーンを張り、韓日の政府・政界への働きかけを強める一方、日本人を中心とした各市民運動に物心両面で積極的な支援を行った。

 政治レベルでは、韓日両国の高位当局者や有力政治人に対する働きかけを強め、水面下の意味ある接触にも貢献した。そこでも、ヘイトスピーチへの適切な対処と永住外国人への地方参政権付与の重要性に言及したほか、双方が不必要に刺激し合うことを自制するよう苦言を呈することをいとわなかった。

 11月には韓日・日韓議連合同総会が2年ぶりに開催され、2015年の国交正常化50周年に向けて民間交流を拡大するとともに、18年平昌冬季五輪、20年東京五輪の成功へ協働することを決めた。地方参政権について韓国側が「特別な協力」を求め、日本側は実現へいっそう努力すると表明した。いくつかの面で、本団の努力が多少なりとも反映されたと受けとめたい。

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各種事業

 3大運動以外にも多様な活動が展開された。その一部を要約して報告する。

祖国平和統一

 北韓による3回目の核実験強行を受け、総連の中央・地方本部に対し一斉抗議行動を展開。天安艦爆沈3周忌、延坪島無差別砲撃から3年に際し、犠牲者を悼み北韓の戦争挑発を糾弾。「6・25戦争63周年 友情と決意」を大使館と共催した。

 民主平統諮問会議の第16期が「国民大統合と平和統一基盤構築」をスローガンに出帆。日本地域委員に417人が委嘱され、協議会ごとの講演会で統一政策への理解を深めた。統一国家建設の財源づくりに寄与する「統一ハンアリ(壺)」募金も継続中だ。

生活相談センター

 年間相談件数は856件。専門相談員を43人に増員し、内容を充実させるとともに、次世代法曹人の育成にも対応した。岡山本部、宮城本部がセンターを開設したほか、本国セミナーに地方民団の実務者が初参加、センター全国化への気運が高まった。年金や本国相続をテーマにした東京での「法律および行政説明会」には200人が詰めかけた。

脱北者支援センター

 設立10周年。韓国政府から模範事業と認定された。日本当局からの関心も高い。脱北者交流会を関東、関西で継続開催し、それぞれ45人ほどが参加した。各地民団などで脱北者による講演会も多数開催。韓国の「北送 在日僑胞脱北者連合会」とも交流した。

旅行者支援センター

 公館との緊密な連携の下に運営した。全国での対応数は1740件だった。昨年の訪日韓国人が前年比20%増の245万人になったのに伴い、前年より500件以上増えた。交通・宿泊案内、荷物保管、通訳・翻訳をはじめ人捜し、航空・船便の手配、紛争や留学についての相談まで多岐にわたる。

在日韓人歴史資料館

 設立から8年。資料整備が進んだ。「在日を知る」を一貫テーマとした土曜セミナーは9回開催。最も力点を置いたのは「関東大震災から90年、清算されない過去」と題した企画展。新理事長に前中央本部団長の鄭進常任顧問が就任。

長崎原爆犠牲者慰霊

 長崎本部団長を委員長とする建立委員会を主体に、公館の協力を得て市当局とも折衝しつつ推進した。2014年前半期には長崎市平和公園内に建立の見込み。慰霊碑様式、碑文、設置案内文を確定。正面揮毫は国務総理に依頼した。1400万円以上が募金された。

文化芸術活動助成

 在日社会の文化を振興・伝承する目的で活動する事業・団体を対象に実施。団内では43事業、団外では申請38団体(代表者もしくは構成員の多数が在日韓国人)から8団体を選抜、合わせて600万円を給付した。

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むすび

 本団が団員や財政基盤の漸減傾向に危機意識を持って久しい。これに歯止めをかけ、組織総体として活力を最大化しようとするのが民団再生運動であり、長期的な観点から将来の人材を担保しようとするのが次世代育成運動である。この二つは密接不可分の関係にあり、歯車がかみ合えば相乗効果が大きいこと、また、そのような活力が組織にあってこそ、韓日友好促進運動にも注力できることを体感させた意義は大きい。

 本団の存在意義を再確認しつつ3大運動に注力し、前進意欲を蘇らせた全国各級組織と傘下団体の幹部諸氏に対し、心から感謝したい。

(2014.2.12 民団新聞)
 

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