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薩摩焼…伝統の技と心 受け継いで
薩摩透蓋六角香爐
黒薩摩茶
薩摩焼15代・沈壽官さんに聞く

 薩摩焼当主15代目の沈壽官氏(45・鹿児島県東市来町美山)。1999年、一子相伝で薩摩焼400年の技法を守り抜いてきた沈家の15代沈壽官を襲名してから今年で6年。今月18日から24日まで、日本橋高島屋(東京・中央区)の美術画廊で開催された、千家10職竹細工師13代の黒田正玄氏との2人展で、薩摩焼の逸品約75点を展示した。「日々、勉強」と語るその顔から、祖先の作陶の技をよりよく伝えようとする気迫が伝わってきた。

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祖先に思い馳せ修練

「韓国の種が日本で開花」

 沈氏は「白薩摩は作意的な仕事で、優秀な技術を結集して練度の高いものを作っていく喜びがあり、黒薩摩は唯一無二の窯変を楽しむもの」と、全く異なる性質を持つ両薩摩の説明をしてくれた。
 白薩摩は象牙色の地に、細かいひびが現れているのが特徴だ。作品は豊かな自然性をおびた朝鮮白磁と違って、豪華で気品を備えたなかにも温もりがある。精巧な透かし彫りや華やかな絵付け、そしてセミやカニの細工も目を引く。一方の黒薩摩は重厚なたたずまいで光沢を持つが、釉色や釉相の変色によって色彩に違いが見られるのが興味深い。

 大学卒業後、本格的な修行に入った。当初、家を継ぐことは、単に家業を継ぐことだと理解していた。だがそれは、祖先たちが守ってきた歴史など様々なことを引き継ぐことを意味した。

 「そこに自分が入っていくことに対しての、重さや憂鬱はあった」。壁が立ちふさがるたびに、何度もそしゃくして解決の糸口を探った。当時の心境を「大きな岩をひとかけらずつ、粉にしていったように思う」と語った。

 種類の多様さで知られる薩摩焼は、薩摩三伝ともいわれている。その意味は、「作りは高麗伝、窯は肥前伝、絵付けは京伝」というほど、いろいろなものを吸収しながら変化し、成長を遂げてきたからだ。

 初代沈当吉は1598年、仁辰倭乱で出陣していた鹿児島の藩主・島津義弘によって陶工、医者、養蜂家、瓦職人などとともに強制連行され、後に陶工の一人、朴平意とともに白土を発見し、薩摩焼を創製した。

 沈当吉の名器「火計り」は、あまりにも有名だ。薩摩焼の根底にあるのは「火計り」だが、現在の薩摩焼とは明らかな違いがあると話す。

 「現在のさまざまな技術とか錬磨、評価、マーケットは日本で作られたもの。そういう意味では『種は父なる韓国、それを大きくしてくれた大地は母なる日本』というとらえかたをしている」

 取材中、沈氏は何度も祖先に思いを馳せた。異国の地で肩を寄せ合って生きてきた祖先たち。明治維新までの270年ほどの間は、薩摩藩の庇護を受けてきた。だが、廃藩置県で薩摩藩からの支援はなくなり、その後に起きた西南戦争では手榴弾を作らされたこともある。そして軍に志願した陶工たちの多くの命が奪われた。

 「祖先は本当に頑張ってくれたと思う。死なずに生き抜いてくれたから伝統も残った」。そして、その子孫であることに対して、誇りを持っているときっぱりと言い切った。

 薩摩焼が名実ともに世界に名をとどろかせたのは、12代沈寿官が1873年のウィーン万国博覧会に「大花瓶一対」を出品したことによるという。薩摩焼のいい仕事を残していくことは、韓国と日本のためになり、そのことで祖先たちの苦労も報われると確信している。

 以前、14代目の父から竹藪の中でたった一人になっても焼き物を作り続けていく、それを寂しいと思わなくなったときが一人前だということを聞かされた。今はもうあまりばたばたしなくなった。「親父は僕より腹が据わっている」と微笑みながら話す沈氏だが、今その父の心境に近づきつつあるようだ。

 「この場所で焼き物を作って、自分たちの子どもにこの技を伝えられたらそれで十分。それが僕たちの生きる意味です。首尾一貫して言えることは、お祖父さんたちのように、誠実に真面目に仕事をしていく。それしか人の心に訴えないだろうと思う」と語る沈氏の言葉に、仕事に対する真摯な姿勢がうかがえる。連綿と受け継がれてきた技術と、色あせることのない輝きを放つ薩摩焼の「心」をしっかり受け止めている15代目だ。

(2005.05.25 民団新聞)
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