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<民論団論>総連の迷走いつまで
第21回全体大会 徐萬述報告に思う
金英寿(東京・自営業)

北追従で同胞は疲弊
「5・17」克服の民団に学べ

 民団新聞(5月16日付)で「検証‐総連の言う『わが民族同士』とは」を読み、韓民族を「金日成民族」であると呼ばわってはばからない、民族と歴史を冒涜する北韓・総連の度を超えた図々しさに赤面させられた。一方では民団の、指摘すべきは指摘する態度に心励まされ、今後とも健筆を振るわれるよう期待する気持ちが膨らんだ。

 私は民団新聞の読者ではあっても、民団の団員というわけではない。どちらかと言えば、総連と距離をおくが民団にもまだ馴染めない、といったタイプのひとりである。そうかと言って、在日同胞であることを辞めるわけでもない。いわば、在日同胞主義者だと自分では思っている。この一文は、そうした私の仲間の気持ちをも代弁して書いている。

活動家の離脱

 私たちは総連第21回全体大会の徐萬述議長の報告(要旨)を読んだ。

 その結果、私たちの民族感情、もっと正確に言えば、在日同胞主義者としての民族感情に、怒りの火がついた。在日同胞をどこまでなめれば気がすむのか。

 徐議長は報告で、あれこれと「成果」を列挙したあと、「未解決の問題も残った」として、「活動家が同胞のなかに深く、幅広く入ることができなかった」、「祖国と組織を遠ざける同胞が出てきた」、「事業と生活を面倒見なければならない責任と義務をまっとうできず、その結果、少なくない新しい世代の活動家らが専従活動を辞めた」などと、深刻な反省を表明している。

 過ちや業績不振をなかなか認めない総連にあって、こうした公の反省はあまり例がない。総連もそれだけ、活動家や一般同胞の組織離れに危機感を募らせている証だ。

 しかし、この徐報告は相変わらず、「総書記を仰ぎ、総書記だけいれば必ず勝利するという信念を生きた歴史的体験として抱くようになった」とか、「われわれは総連中央から本部と支部、団体の下部組織にいたるまで総書記の教えを一つの思想と政策、仕事ぶりで貫徹すると言う組織の上下団結をいつにもまして強固にした」などと強調している。

 深刻な反省と総書記礼賛と、何という矛盾であるか。徐議長は二重人格者であることを、自ら証明したようなものだ。

反省は芝居か

 離脱者であれ現役活動家であれ、総連に関わったものならば誰しもが、「総書記だけを仰ぎ見る」総連中央の路線・体質こそ総連を瓦解させ、在日同胞社会を疲弊させる元凶であると知っているからだ。総連中央は、「総書記だけいれば必ず勝利するという信念」と、現実とのギャップから、いつまで目をそらすのか。

 民団に対し、総連から離脱した同胞にとって魅力ある受け皿になって欲しい、と願ってきた私たちにとって、民団が総連の餌食になりかかった昨年の「5・17事態」は、民団同胞以上に大きなショックだった。しかし民団は、総連との「5・17声明」を白紙撤回させ、総連と野合した執行部を退出させた。

 私たちは民団のこの一連の動きを、韓国政府筋や大使館関係者などの圧力をはね退けてのことと理解している。したがって、民団は自分たちの政府に対しても、一定の自主性を持っていることをはっきり示したものとして、私たちはこの点については高く評価する。

不毛な打開策

 総連中央にはなぜ、これができないのか。総連中央が独裁政権と一線を画し、在日同胞の利害に忠実になれば、総連はもとより在日同胞社会にもたらす利益は計り知れない。民団との和合もそうしてこそ、初めて可能になる。総連系と民団系とを問わず、自分たち在日同胞を中心とする組織を求めていることを、総連指導部は率直に認めなければならない。

 徐報告は「総連は『総連、民団5・17共同声明』で明らかにした和解と団結の精神を変わりなく固守し、韓統連と民団をはじめとする各界各層の間で民族団結事業を幅広く成し遂げる」とも強調している。

 「総書記だけを仰ぎ見る」路線に盲従するからこそ、身内をまとめられず離脱者を大量に出している組織に、どうすれば「民族団結事業」が可能なのか。民団も昨年の事態で、総連の言う民族団結が「金日成民族」としての団結、北路線に基づいた団結に過ぎないことをしっかり学習済みである。民団も同じ失敗を繰り返すことはもはやあるまい。

 したがって、徐報告に言う打開策なるものも、何とも的外れと言うほかない。打開策の柱は、「民族圏委員会」をつくって、「同胞再発掘運動」を全国的に展開することらしい。民族圏に網羅する対象は、「総連傘下の同胞だけでなく、民団、未組織、帰化した同胞に至るまで」と幅広い設定だ。まさしく「?」である。

 離脱者が相次ぐから「新規開拓」に力を入れようと言うわけであるが、これは逆に離脱に歯止めをかける決定打がないということを、自ら証明しているようなものだ。「権兵衛が種蒔きゃカラスが穿る」‐総連にはこんな俗談がぴったりだ。

 言うまでもなく、土を耕し種を蒔くつもりなのは権兵衛こと総連中央であるが、実る前に穿ってしまうカラスは総書記にほかならない。こうした徒労は、総連中央の徒労だけでは済まず、総連同胞はもちろん在日同胞の生活全般を破壊するものだと知るべきだ。

(2007.6.6 民団新聞)
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