| | 上映終了後のトークイベント。北朝鮮難民救援基金の加藤博理事長(左)が北韓の人権侵害について語る |
北韓から逃れ、韓国で暮らす申東赫さんの告白をもとにしたドキュメンタリー映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」(マルク・ヴィーゼ監督、ドイツ映画)が日本で公開され、北韓で日常的に繰り返されている人権侵害への関心が高まっている。同映画の公式サイトに寄せられたツイートを見ると、「動物以下の扱い」を受けたために対人感情をいびつにされた申さんの姿に、「衝撃を受けた」という声が多く寄せられた。 映画は現在、東京・渋谷のユーロスペースと名古屋のシネマスコーレで上映中。ユーロスペースでは公開初日の1日、劇場前に行列ができ、「クロッシング」の公開時を思わせる超満員の盛況となった。ユーロスペース劇場関係者は、「観客層は20〜70代ととても幅広い。わからない国への関心が高いようだ」と話す。シネマスコーレも15、16の土・日曜日は満席完売だった。 おりしも、国連北韓人権調査委員会が2月17日、政治犯収容所での処刑や飢餓など組織的で広範囲な人権侵害を認め、「人道に対する罪」にあたると判断した報告書を発表したばかり。こうしたことも劇場に足を運ぶ動機付けになったようだ。 観客に大きな衝撃を与えたのは、申さん自ら告白した「親が死んでも、泣くようには教えられなかった」という言葉。脱走を企てたことで、母が絞首刑に、兄が銃殺刑に処されるのを目のあたりにしても、悲しみではなく二人への「怒り」が支配した。「(密告したことで拷問など)ひどいめにあった」「罪を犯したのだから、死ぬのは当然だと思っていた」。申さんは当時まだ14歳だった。 公式サイトには「脱北者の証言が淡々と語られていくドキュメンタリー。うまく言えないんだけど、収容所で生まれ育った彼の心が、自分の身に起こったことの受け止め方が、私たちが当たり前のように感じている感情とはあまりに遠くて衝撃を受けた」「とっても近い国のことだし、現在も続いていることなのだろうけれど、どうしたら良いのかわからなくて混乱する」といった書き込みが見られた。 19日はユーロスペースでの上映後、北朝鮮難民救援基金の加藤博理事長をゲストに招いてのトークイベント第2弾が行われた。平日にもかかわらず、会場は満員となった。 加藤理事長はタレントの麻木久仁子さんの質問に答える形で北韓の人権状況に言及。「先日の国連人権理事会でも、北朝鮮の人権侵害についてホロコーストに匹敵するものとして勧告が出た。国際社会は北朝鮮の最高指導者を裁くべきだとも訴えている。みなさんも排外的なヘイトスピーチを許すことなく、他人を尊重し、思いやる心を育ててください」と述べた。 脱獄者が語る過酷な暮らし マルク・ヴィーゼ監督が申東赫さんにインタビューすることで、外からうかがい知れない収容所での過酷な暮らしぶりを描く。申さんが生まれたのは14号管理所と呼ばれる強制収容所。死ぬまで出ることを許されない「完全統制区域」だ。両親は模範的な収容者だったため「表彰結婚」が許された。さらに加害の側にいた2人の元管理者からも裏付け証言をとった。一部、CGIアニメーションと実写入り。106分。 上映館 東京から全国に拡大 映画は今後、北海道から九州にかけて全国各地でロードショー上映される。▽29日〜大阪・シネヌーヴォ▽30日、別府日韓次世代映画祭で上映▽4月5日〜岡山・シネマクレール/福岡KBCシネマ▽4月6日〜仙台・桜井薬局セントラルホール▽5月17日〜京都・みなみ会館。初夏には神戸の元町映画館と静岡シネマe-raでも。時期未定ながら今後、上映が予定されているのは札幌市のシアターキノ、石川県の金沢シネモンド、新潟のシネ・ウインド。 (2014.3.26 民団新聞) |