|
Home > ニュース > 参政権 |
平和と共生の願いこわすな！
北韓による２回目の核実験強行という暴挙に、「同族としてとうてい許せない」という怒りの声が相次いでいる。核の脅威の矢面に立つのは社会的弱者である在日同胞たちだからだ。被爆地にあって核の恐ろしさを身をもって体験した広島と長崎の両民団本部団長からは、あらためて北韓の核廃絶と平和確保を訴えるメッセージが届いた。
子らへの不安強い
金源柱さん（49、北海道・会社役員） 私には２つの切ない思いが馳せます。一つは「いつか、絹の服を着て肉の入ったスープを飲む」というお題目が未だ実現されず、北が60年間、戦時中であることを再確認させられたこと。
もう一つ、在日で体の弱い子、性格の弱い子、経済的に恵まれない子、同胞が学校に一人しかいない子に不当な差別・誤解が生じないかとの不安がよぎったこと。本名で通ってる子を持つ親として痛感します。
挑発行為の中止を
金盛義さん（67、民団岩手本部団長） ３年前にも核実験、そして今年４月にはテポドンミサイルを発射して国際社会から指弾を受けたにも関わらず、平然と２度目の核実験を行ったという報道にまず驚いた。またか！ 北韓の核実験は、世界平和はもちろん、韓半島の平和統一にひとつも役立たない。挑発的な行為を１日も早く中止するよう北韓に促求する。
むなしい首脳会談
田月仙さん（東京・声楽家） 南北の両首脳が手を取りあい、「我らの願いは統一」をみんなで歌った光景はいったいなんだったのか？
物心両面において与え続けた韓国の長年の太陽政策とは何だったのか？これが平和統一を願う国家のあり方であろうか。 苦労しながらも国を支えようと力を尽くし、統一の日を見ることなく故人となった在日一世たちの嘆きの声が聞こえてくる。
被爆者の無念思う
丁讃宇さん（59、ヴァイオリニスト） 今回の北韓による核実験は同じ民族として、とても残念であり、落胆しています。かつて、広島や長崎に落とされた原爆により、多くの日本人や、少なくないわが同胞の犠牲を思うにつけ、悲しさと、将来に対する不安でいっぱいです。
歴史の流れに逆行
陳昌鉉さん（79、東京・バイオリン製作者） オバマ政権の登場で、20世紀の戦争時代は終焉を迎えつつある。平和と繁栄、異文化と異民族共生が人類に残された生き残りの唯一の選択肢であり、念願でもある。この歴史の流れに逆らうことは人類への挑戦に過ぎない。
4000年の平和愛好の民として、我が民族は南であれ北であれ、人類滅亡の道具としての核兵器の開発・実験は民族の良心として断じて許されるべきでない。既存の保有国も人類のこの悲願に謙虚に対応し、実験を遠慮している。
この時期に独りよがりの暴走は人類とかけがえのないこの美しい地球への冒涜である。
まず食糧危機から
姜連淑さん（69、東京・韓国伝統料理研究家） 寧辺・薬山のつつじの花は、韓半島のなかで最も美しいとして知られている。その山が今や核施設の本拠地と化しており、世人をあぜんとさせ、ひんしゅくさえ買っている様は滑稽としか言いようがない。
国民の飢えを和らげるのに国際的な人道支援に頼りながら、立て続けにミサイル発射や核実験だけに血眼になっている様は、国際社会でのけ者にされて当然。三尺童子でも「国家は、国民が毎日の衣食住の生活を心配なく営むようにすること」と知っている。
メデイアよ冷静に
趙栄順さん（53、同人誌『鳳仙花』代表） 北朝鮮の核実験に対する日本メディアの反応はあまりにもヒステリックで、憲法９条を変えるチャンスをうかがっているようにも見える。
確かに金正日の暴挙は目に余るものがあるが、北朝鮮加害者、日本被害者の図式が人々のなかに浸透することで、在日コリアンはますます生きにくくなるだろう。
在日コリアンのなかには、北朝鮮に家族や親戚がいる人も少なくない。冷静で客観的な報道を望む。
南北の繁栄考えて
姜再慶さん（72、静岡・製造業） 腹立たしいことばかりで唖然としている。北韓が世界を相手にして頑張っても、どうにもならない。世界のどの国と比較しても、北ほど良識や良心に欠ける国はない。
マスコミの報道によると、朝鮮族の自治州である吉林省内の学校は核実験の影響があるようで、人々が脅えているという。あるまじき行為だ。
なぜ世界の流れに逆行した行為をするのか。同じ民族でありながら、とても残念だ。南北が共に繁栄する道を前向きに考えてほしい。
平和へ決意示そう
余玉善さん（大阪・婦人会中央本部会長） 北韓を訪問したこともある盧武鉉前大統領の国民葬の日に、核実験はもとより短距離ミサイルを発射したことにびっくりした。地方参政権獲得運動にも冷水を浴びせる行為で、とうてい許せない。
１回デモしたくらいでは手ぬるい。北韓の蛮行を絶対許さないという姿勢をもっともっと日本社会にアピールしていかなければ。
同族裏切るカード
韓在邦さん（59、大阪・印刷業） 北が核実験やミサイル発射をすればその脅威が向かうのは日本であり、朝鮮籍を含めた多数の在日同胞だ。
日本は被爆国であり、同胞の被爆者も多いことから、核実験に対しては特に敏感だ。切羽詰まった中での「カード」だろうが、同じ民族として決して許されない。
なりふり構わぬやり方は結局、不幸を招くだけで、在日の立場もつらくなるだけだ。
開かれた国になれ
金和用さん（60、大阪・鉄工所経営） なぜ核実験やミサイル発射にばかりカネを使うのかわからない。早く国際社会の一員として自立できるようになってほしいのに。一日も早く開かれた国になることを願うだけだ。
在日への影響心配
崔鐵培さん（50、大阪・白頭学院校長） 同じ民族としてただただ恥ずかしいかぎりだ。在日同胞の立場にもこれからじわり影響が出てくるだろう。特に子どもたちだ。無用な心配と不安を植え付け、在日韓国人として堂々と生きていこうという気持ちをそぐことになりはしないか。
核をなくし、全世界が平和であることが、私たち教育者の変わらぬ共通した思いでもある。
保有国は核放棄を
劉孝一さん（54、民団大阪・此花支部支団長） 大国が核を保有しているのになぜ、北が核をもってはいけないのかということをよく聞く。同じ武器を持つにしても一般の人（大国）が持つのとヤクザがもつのとでは、武器の持つ意味がまったく違ってくるということだ。
だからといって大国が持っていいというものでもない。今もっている国は実験を放棄し、核兵器を放棄するべきだ。
正面から話し合え
金孝誠さん（39、奈良県天理市立北中学校夜間学級教員） 金正日さん、もうええ加減にしてほしい。きちんと正面から向き合って話し合いをしていかなければならないのに、戦争したってなんのメリットもないよ。
■□
踏みにじられた核廃絶への祈り
計り知れない恥辱
権五源民団広島団長
この度の北韓の核実験は、被爆地「ヒロシマ」の心を逆なでる暴挙で、世界平和、核軍縮の道を願う全ての人々の思いを裏切り、失望させ、平和と安定に重大な脅威をもたらすものです。
広島では毎年、韓国人原爆犠牲者の前で「二度とあのような惨禍は繰り返してはならない。生き残ったものの責務として、そのためのあらゆる努力をしていく」と誓っています。
その私たちに冷や水を浴びせるがごときの今回の行為による韓国人犠牲者、および生存被爆者と遺族の怒りと失望は計り知れません。
また、日本での共生共栄を訴えているだけに、同じ民族が犯した暴挙に肩身の狭い思いもまた感じざるを得ません。広島の平和監視時計は、北韓の暴挙でリセットされました。これ以上の恥辱はありません。またもや平和への歩みを逆回りさせてしまいました。
北韓は一刻も早く核を放棄し、国際社会の一員たるべくすぐさま協調路線に切り替えるよう切に望みます。
国際社会への挑戦
尹明徳民団長崎団長
前回の核実験後に追加的な核実験をしないよう求めた国連安保理の制裁決議を無視した行動だ。この暴挙に対して、被爆地長崎の地域住民の立場から、本団は強い抗議の意を表明する。
今回の核実験とミサイル発射は、韓半島と東北アジアの平和と安全を脅かすものであり、「核なき世界」を追求するとしたオバマ米大統領のプラハ演説などで、国際社会は核軍縮・廃絶への機運が高まる中、国際社会に対する挑発行為であり断じて許すことはできない。
被爆地長崎において核の恐ろしさを身をもって体験し、原爆後障害に苦しみ続ける被爆者と住民の核軍縮と平和への願いを踏みにじるものであり決して容認できない。 北韓当局は、被爆地長崎・広島の怒り、核廃絶を求める世界中の人々の怒りに、真摯に耳を傾け、国連決議や６者会談共同声明などを順守し、すべての核実験関連施設を閉鎖し、韓半島の非核化に取り組み国際的な信頼を回復することに努力すべきである。
（2009.6.3 民団新聞）
|
|
|
 |
