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民団は何をめざすのか<中>

国籍は開放した

帰還から定住…そして

◆新規定住者は在日同胞ではなかった
 民団は創団50周年を迎える1996年3月27日に発した第6次宣言文の冒頭に「在日同胞社会は日帝の植民地政策と戦争遂行のための労務動員や強制連行に端を発し、解放後、帰国できなかった同胞とその子孫たちにより今日の在日同胞社会を形成するに至った」と表記している。

 民団にとっての在日同胞とは、日帝植民地時代に移住した者とその子孫という認識を持っていた。しかしこの認識が直後に崩壊することになる。この時点での在日同胞数は65万7149人である。これは新規定住者と朝鮮籍者も含まれた数であるにもかかわらず、民団はこの数字に安穏としていた。今後も十分に韓国籍を保持しながら在日同胞社会と民団を維持していけると考えていたようだ。

 この民団の認識を基準にした特別永住者の人口は2000年の時点で50万7429人(朝鮮籍者含む)で、年次の差はあるが、すでに15万人ほどの新規定住者が存在していたことになる。そして民団は当時、この新規定住者の存在を無視していた。そのことが01年の「在日韓国人連合会」(韓人会)設立の背景にあったことは否定できず、今日に禍根を残している。

 しかしこのことを契機に民団は新規定住者を積極的に勧誘していくことになり、民団運営の力となっている。社会の実態は変わり、それに伴って認識も変わるのである。

◆国籍の相対化

 周知のように在日同胞は祖国への帰還を前提にしていた。故に祖国の独立を期待し、分断後は韓半島の統一、自由民主主義を信奉する大韓民国の発展を期した。この点において在日同胞を結集するためにも韓国籍であることは決定的な意味を持っていた。しかし南北間の力関係は決定的となり、大韓民国の発展は世界に冠たるものとなった。

 一方、日本社会もベトナムをはじめとするインドシナ半島の紛争を契機に発生した、多数の難民問題への対応から難民条約の締結に踏み切らざるを得ず、在日外国人政策の見直しを迫られ、各種行政差別の改善に踏み切った。

 時を同じくして在日同胞社会も1世から2世への世代交代期にあたり、日本社会においては自らの防衛と生活安定のために奮闘し、定住化ともに権益擁護、日本社会との共存共栄、さらには共生社会の実現を目指すことになる。その結果、国籍による差別状況は相対的に改善されることとなった。

 さらには84年、日本の国籍法が「父母両系主義」に改正された。在日同胞の国際結婚、特に日本人との結婚が圧倒的多数を占めている状況と相まって、必然的に日本国籍者が多数を占めていくことになる。

 その結果、国籍は絶対的な価値から相対化されることになり、自らの出自を確認するためのシンボル的な意味を色濃く持つことになっている。

◆民団の変遷−組織の開放と大統合の歩み

 民団の存立理由、存立基盤は民族としての在日同胞の欲求実現であり、結集である。在日同胞の意識、認識、価値観の多様化、複雑化とともにその欲求も多様化、複雑化している。そして国籍のもつ意味も相対化し、結集の梃とはなり得なくなっている。民団の歩みは在日同胞の変化に対応し、改革、刷新してきたものである。新規定住者に対する認識もその具体例だ。

 民団は1945年の祖国解放後、全在日同胞の帰還支援、帰還までの保安、生活擁護を目的に結成された。その後、本国情勢の政情不安定などの理由で在留を余儀なくされ、6・25韓国戦争の勃発によって長期化することになった。

 その間1948年の大韓民国政府樹立によって、民団組織の構成員は大韓民国国民であることが要件とされることになったが、それまでは組織の構成員資格は特段していなかったし、働きかけの対象も全在日同胞であった。

 その後、韓日条約の締結を機に第4次宣言文によって永住が宣言され、70年代に至ると第2世代が台頭し、永住、定住は確定的となった。定住の確定と併せて、国際結婚、朝鮮籍から韓国籍への移籍、日本国籍取得、海外からの移住などの増加に伴い在日同胞社会は大きく変化を遂げた。この変化に対応し、民団は94年、名称を「在日本大韓民国居留民団」から「在日本大韓民国民団」と改称した。

◆資格・就任の要件から撤廃

 一方、96年の創団50周年を期して出された第6次宣言文では、「在日韓国人の総結集体として在日同胞社会の統一と繁栄を先導し、国籍、所属を超越し交流和合によって同質性を回復していく」ことを表明し、次いで12年の第7次宣言文では、「大韓民国国民として代を重ねる団員を中心に日本国籍取得者、新規定住者、総連離脱者など多様な同胞を結集」することを呼び掛けた。そして、創団70周年に発した「未来創造メッセージ」によって、国籍を大胆に開放し全在日同胞を民団に結集し、在日同胞の大統合を果たして行こうと呼び掛けたのである。

 民団70年の歴史においてその都度の変化に対応し、適格に改革、刷新を遂げてきた。そして21世紀に至り、在日同胞社会の多様化に伴い、在日同胞社会の大統合が最大の課題となり、その実現には国籍条項の撤廃が必至となった。05年には、団員の資格要件から国籍条項を撤廃した。そして12年、支部支団長の就任要件から国籍条項を外した。この時点で民団の進むべき方向性は確定したのである。
(林三鎬)
(2018.01.17 民団新聞)
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