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<新刊紹介>ねこぐち村のこどもたち
「生きる」とは何か…根元的テーマに迫る

 韓国の仁川と言えば、アジアでトップクラスの空港がオープンして以来、日々発展を続ける都市である。

 しかし、脚光を浴びる都市化の一方で、世間から見捨てられた「ねこぐち村」と呼ばれる貧民街が今もあるという。この本に接するまで全く知らなかった事実だ。

 この町では、家庭崩壊は珍しいことではない。この物語に登場するのは、母親にも捨てられるような劣悪な環境の中でも、お互いに支え合いながらけなげに生きる子どもたちと、彼らを実の弟、妹のように慈しむ青年だ。非行の道から体を張って、子どもたちを守っていくだけでなく、生活そのものを共有していく。

 やがてその村の出身であることから逃れ続けてきた先生も青年の生き様に心を打たれ、共に生きる決意をする。本当の先生になろうとする。

 韓国で100万部を突破し、いまも売れ続けている大ベストセラー。近代化とともに薄れつつある人間の情をあますことなく伝えると同時に、生きるとは何かという根元的なテーマに迫っているのが、その理由だろう。現代版『ユンボギの日記』とも言えるが、かつて「朝鮮部落」と呼ばれていた在日同胞の密集地域の原風景を見る思いがした。

金重美著(廣済堂出版1600円+税)03(3538)7212

(2004.2.25 民団新聞)
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