地方本部 HP 記事検索
特集 | 社会・地域 | 同胞生活 | 本国関係 | スポーツ | 韓国エンタメ | 文化・芸能 | 生活相談Q&A | 本部・支部
Home > ニュース > 特集
<民団新年会>小異で大同を損なうな…韓日連携、会場の期待
民団新年会に参集した韓日政界の要人(9日)

共益優先 決意を
一歩後退も二歩前進の気概で

 今から5年前の08年、民団中央本部の新年会会場には「韓日共生の新時代を築こう」の横断幕があった。険悪だった両国関係を未来志向で修復することを願い、合わせて、民団が宿願とする永住外国人への地方参政権付与でも進一歩を期したいとの思いを込めたものだ。

感情対立まで

 盧武鉉大統領(03年2月〜08年2月)と小泉純一郎首相(01年4月〜06年9月)、その後の安部晋三首相(06年9月〜07年9月)の時代、韓日関係はぎすぎすした。小泉首相の靖国神社参拝など歴史認識で背を向け合っただけではない。北韓による日本人拉致事件や核実験の強行に対して制裁を強化した小泉政権と、北韓に対する融和政策にこだわった盧政権との隔たりは大きく、両首脳には感情的なアツレキまであったとされる。

 07年の9月には福田康夫首相が誕生し、12月には第17代大統領に李明博氏が選出された。これで局面が一気に好転する。08年に入ってすぐ、福田首相の親書を携えた森嘉郎元首相が訪韓して李明博当選人らと要談、李当選人の特使として来日した李相得国会副議長が福田首相ら政財界要人と会談した。

 一連のやり取りで両首脳は、北韓の核開発問題の解決、東北アジアの平和と安定、そして経済的な発展のために、韓日関係の成熟化が欠かせないとする立場を確認し合った。その後、両首脳は順調にシャトル外交をこなした。

 しかし、昨年8月に李明博大統領が独島に上陸したことで日本側が猛反発、韓日関係は一挙に冷え込んだ。加えて、尖閣諸島(中国名=釣魚島)の領有をめぐって日中対立が激化した。安全保障システムのない東アジア地域の不安定構造をさらけ出し、韓日中3国が抱えてきた緊張が一挙に顕在化した。

足並みそろい

 そして今年。韓日関係は再び改善に向け動き出した。昨年12月に就任した安部晋三首相の特使として今月4日、自民党の額賀福志郎衆議院議員(日韓議員連盟幹事長)が訪韓し、第18代大統領となる朴槿惠当選人と会談、9日には韓日議員連盟の会長である黄祐呂セヌリ党代表らが安部首相を表敬訪問し、懇談した。

 日本首相の特使がまず訪韓、韓国側重鎮が訪日するという関係修復への動きは、5年前とほぼ同じ経緯を踏んでいる。韓国側の代表団が民団中央の新年会に合わせて来日し、日本側の重鎮と会場で顔を合わせ、その後、韓国側が日本の首相らと会談するというパターンも同様だ。

 聯合通信は新年会当日の9日、自民党が党代表団を3年ぶりに参加させたことに注目。また、新年会会場の正面に民団旗をはさんで太極旗と日章旗が掲げられたことに触れ、「民団中央本部の公式行事で日本国旗を掲げたのは初めて」と指摘し、これは民団が昨年、新綱領で「日本地域社会の発展を期する」と明示したことを受け、その意思をより明確にするものだと伝えた。民団中央新年会が韓日関係改善に重要な意味を持つとして注視してきた韓国の主要各紙は、この聯合通信の配信記事を一斉に掲載した。

 今年の新年会で民団が掲げたスローガンは「未来に架けよう韓日の絆」だった。過去よりは未来、小さな国益よりも大きな共同利益を見つめながら両国関係を考え、人と人のつながりを大切に善隣友好の土台をいっそう固めようとの呼びかけである。

 団員たちは新年会の会場で、民団が重要な外交舞台を提供していることに自尊心を抱きつつ、韓日関係の修復と安定の持続を異口同音に求めることを忘れなかった。

5年前と違う

 約4年半の間、良好に推移してきた韓日関係が突然暗転した現実に、団員たちの多くは戸惑い、小異が大同を損なう現実に「やはり」「またか」というあきらめに似た思いを抱かされた。だが、5年前とでは成熟度が違うと感じてもいる。

 韓日は交易など基本経済で密接な関係にあるだけでなく、資源開発などの大規模な海外事業でも手を組むケースが相次いでいる。アフリカ、中南米、アラブ諸国、インドネシアやモンゴルなど舞台も広域に及ぶ。

進む防衛交流

 もっとも敏感な防衛面も論外ではなくなった。GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の締結は延期されたものの、防衛協力も少しずつ着実な進展を見せている。

 とくに注目すべきは、日本側が反発した李大統領の独島上陸後の11月、海上自衛隊幹部学校の上級指揮官養成課程の隊員約40人が防衛交流のために訪韓したことだ。一行は国立大田顕忠院で天安艦撃沈事件の犠牲者46人の墓前に参拝するなど、政治は冷え込んでも防衛交流は粛々と続ける姿勢を示した。

 韓日両国は各分野で「片方の手では殴り合い、もう片方では握手する」関係にある。それでも、殴り合う手より握手する手が増えているのは明らかだろう。ただ、中国が大きな変数として浮上していることに注意を怠れない。

 尖閣諸島を火種とする日中の対立は早期に沈静化する展望にはなく、韓国を自国に引き寄せようとする両国の綱引きがある。韓国の外交が難しい局面に立たされるのは間違いない。韓国にとって米日との関係強化は基本の中の基本政策だ。しかし中国も、韓国にとって最大の交易国であり、なおかつ、北韓問題に対応する上で欠かせない戦略的な存在である。

 ここで前例を押さえておく必要があろう。金大中大統領(98年2月〜03年2月)と小渕恵三首相(98年7月〜00年4月)の時代のことだ。両首脳は98年10月、韓日共同宣言(21世紀に向けた新たな韓日パートナーシップ)を採択し、個人的にも信頼を深めた。

 小渕首相のもとで、ASEAN(東南アジア諸国連合)+3首脳会談の延長線上に、韓日中3国首脳会談の定例化が論議された。だが、日本から中国へは提議しにくい。そこで小渕首相は金大中大統領に密かに相談し、金大統領が江沢民国家主席に提唱、江主席が賛成したことを小渕首相に伝えて実現したという。

 日本と中国の対立は、韓国にとっても大きなマイナス要素になる。朴槿惠当選人は、トップの習近平氏ら中国要人との人脈は厚く、中国語にも堪能だ。金大統領と小渕首相並みの信頼関係を安倍首相との間で築ければ、金大統領以上の役割を果たせるはずであり、韓国の国益にもつながる。

責務重い民団

 韓日関係の不透明感はやや改善されたとはいえ、決して盤石な状態とは言えないだけに、両国の懸け橋役を担おうとする民団の役回りは重要度を増す。中央政治レベルでの橋渡しはもちろん、地方自治体や市民間の草の根交流に力を注ぐことになるだろう。

 団員らが懸念するのは、国と国の政治次元で協調関係が持続するとしても、日本社会が同胞社会にたやすく恩恵を行き渡らせない状況にあることだ。

 一昨年、群馬県高崎市が「まちづくり基本条例案」を議会に提出しようとした。だが、条例案にある「市民」の提議をめぐって論議になり、インターネットで「外国人の地方参政権付与につながる」と糾弾され、断念したことがあった。理不尽な攻撃によって、自治体がいとも簡単に膝を屈する事例が増えている。

 そうした現象を封じ込め、少なくしていくためには、日本の多数世論を味方にしなければならない。韓日善隣友好の潮流を大きく、確かなものにする努力を、頓挫してもそれにめげず、継続する以外にないことを改めて覚悟すべきだろう。

(2013.1.16 民団新聞)
 

最も多く読まれているニュース
差別禁止条例制定をめざす…在日...
 在日韓国人法曹フォーラム(李宇海会長)は7日、都内のホテルで第6回定時会員総会を開いた。会員21人の出席で成立。17年度の報告があ...
偏見と蔑視に抗って…高麗博物館...
 韓日交流史をテーマとする高麗博物館(東京・新宿区大久保)で企画展「在日韓国・朝鮮人の戦後」が始まった。厳しい偏見と蔑視に負けず、今...
韓商連統合2年、安定軌道に…新...
金光一氏は名誉会長に 一般社団法人在日韓国商工会議所(金光一会長)の第56期定期総会が13日、都内で開かれた。定数156人全員(委任...
その他の特集ニュース
21地方本部団長決まる…1...
神奈川・李順載氏 大阪は呉龍浩氏 民団の地方大会・委員会・総会が3月26日までに48地方本部のうち44本部で終了した。任期改選は...
<平昌パラ五輪>アイスホッ...
映画「私たちはソリに乗る」選手たちが「鑑賞」をアピール 平昌冬季パラリンピックの期間中、韓国情報の発信や選手支援の拠点として運営...
<平昌パラ五輪>脱北者の韓...
アイスホッケーの崔グァンヒョク選手アイス売り、列車転落、片足切断…悲惨な北韓逃れ夢果たす 平昌冬季パラリンピックに...

MINDAN All Rights Reserved.