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<11・7決起大会特集>心ひとつに「必ず獲得」
シュプレヒコールも高々に整然と都心をデモ行進
ふくらむ勇気と確信
運動再出発の起爆剤に

 「日本政府と国会はいつまで、私たちの基本的な人権を黙殺し、付与法案を先送りするのか」「永住外国人地方参政権の早期立法化を! 11・7全国決起大会」に結集した5000人は心を一つに、不退転の決意をみなぎらせた。参加者の数、熱気とも予想以上だったこの日、お互いに元気を分け合い、参政権獲得への勇気と確信、そして連帯感を増幅させた。それだけではない。各地域で日本社会の支持世論を高め、国会議員一人ひとりへの働きかけを積極化する決意を固めさせ、「決起大会後」を見据えた動きを早くも始動させた。

いざ東京・日比谷へ

 「まさかこんなに集まるとは。鳥肌が立った」(石川)「人数と迫力に刺激とパワーをもらった」(宮城)「盛り上がりがすごい。必ず勝ち取っていけると確信した」(福島)。参加者の多くが目を見張り、頬を紅潮させた。大集会に場馴れもし、ふだんは民団に手厳しい在日言論も「民団はたいしたもの」と驚く。

 会場の東京・日比谷野外音楽堂までの移動手段がバスの地方本部では、愛知が午前4時、宮城が5時半の集合。滋賀は一部の高齢者を除く全員が当日の午前零時の出発だ。奈良は県内数カ所で参加者を拾い、計11時間をかけての来場である。最遠隔地の場合、航空便となるが事情は似たり寄ったり。千歳空港に9時半集合の北海道は、車で3時間、4時間かけて合流する同胞もいた。

 遠隔地からの参加には経費・時間がかかるだけでなく、身体的な負担も大きい。集会とデモを終えての帰路を考えればどうしても二の足を踏む。今回はしかし、参加目標のオーバーが続出した。熊本は「6年前の前回は2、3人だけ。目標20人の今回は県から20人、東京で2人合流した」と胸を張った。

 遠隔地の負担軽減もさることながら、大会を成功させる鍵は何よりも、最大の同胞集住地区である近畿と、地元・首都圏の踏ん張りだ。

 前回はバスだった大阪は、思い切って新幹線利用に切り替えた。300人の目標を早めにクリアし、中央本部から「もう100人を!」との檄を受けて追い込みをかけ、最終的には350人を上回る規模となった。

 東京も地元開催のメンツをかけた。団長が5日間で全21支部を巡回してハッパをかけ、関係機関にも熱心に足を運んだ。約1650人の参加は、土・日開催の10月マダンの最高実績を400人以上も凌駕する。

 同胞社会には零細業者が多く、勤め人も増えた。平日真ん中の水曜日の大会参加には生活上の支障も無視できない。だが、「娘は大学を休み、私たちは仕事を休んだ。調整が大変だったが総出の5人で参加した」(福島県)という家族は多い。「6年ぶりの大会に仕事を休んで参加するのは当然と思いながらも、うちは零細業者が多い。参加者には何度も頭を下げた」(東京)と語った支団長も。

 参加する側も動員する側も懸命だった。しかし、それぞれの苦労は報われた。「会場の座席が足りず、職員らは立ちっぱなしだった。でも、政党代表の激励辞に大阪の話が2回も出た。『やっぱ大阪がやらにゃあかんで』と燃えた」(大阪)。「帰りのバスでも盛り上がった。参加者の8割が初の全国大会だったが、口をそろえて『すごかった』と会場の熱気に当てられていた」(岐阜)。

 真夜中や日付が替わっての帰宅も多かったはず。だが、各地同胞は充実感と大会の熱気をそのまま持ち帰った。

熱意結集の渇望強く

 中央執行委員会が11・7全国決起を決めたのは8月。しかし、一部の大手地方本部団長や支団長たちの間には、「雰囲気が高まっていない」「時期を見極めるべきだ」などの慎重論がくすぶった。運動がここ数年停滞するなかでの、6年半ぶりの全国決起だけに不安がつきまとい、失敗すれば萎縮させかねないとのプレッシャーがあった。

 東京のある大手支部は大会10日前の時点で、「現状ではバス1台(45人前後)くらい。もっと頑張って見るが」という状態だった。しかし結果は160人。猛然と追い込んだ理由について支団長は語る。「当初は気持ちが緩んでいて、顧問にも叱られた。動員過程で逆に大会意義への認識が深まった。日本社会に対しても恥はかけない」。

 10月と大会直前にかけて全国民団は、「10月マダン」の行事が相次ぎ、愛知など創団60周年の記念事業を開催した本部も少なくない。動員疲れ、参加疲れも懸念された。しかし逆に、これらの場が大会の意義を宣伝、浸透させる絶好の機会になった。

 民団中央のある顧問は「指導部が考えている以上に、一般同胞は参政権に真剣だ。積年の思いに応え、運動を再び盛り上げるには主体側の結束が前提になる。まず大規模行動があるべきだ。団員たちがそう考えていたからこそ、今大会の成功があった」と指摘した。

 「政治に関して疎外されている。子どもや孫、次世代のためにも一日も早く実現を」(和歌山県・62)、「参政権がないのはおかしい。参政権を持てば在日は、日本でもっともっと貢献する」(岩手県・40)、「日本政府が憎らしい。税金など義務は同じでも参政権をまだ認めない。親たちの苦しみと若者の将来を考えれば、一日も早く認めるべきだ」(三重県・72)。

 「何年運動しても認められず、悔しくて涙が出たこともある。日本に暮らす住民として、同じ人間だということを認めてほしい」(鳥取県・61)、「遅すぎる。あっさり認めるべきだ。私の寿命はあと4、5年だ。それまでに実現しなかったら、もう恨みしか残らない」(神奈川県・77)、「子どもたちのためにも頑張りたい。とにかく決着をつけよう」(岡山県・59)。

 自らを励ますような参加者たちの声は確かに、慎重論を唱えた一部指導部を叱咤激励せずにはおかないものがあった。

全国でシンポや公開講座
世論喚起へ動きは急

 永住外国人への参政権付与法案は、各政党がまじめに取り組めばいつ成立してもおかしくない。大会での各党代表の前向き発言に、参加者は「今度こそは」と期待を寄せ、各代表にも会場の熱意は十二分に伝わった。来年の通常国会が勝負と衆目が一致する。

 だが、国会の動きは鈍く、先行きも不透明とあれば、いっそうのプッシュが必要だ。まず、来月19日の大統領選挙を経て、来年2月25日に誕生する韓国新大統領と来年早々にも開催される韓日首脳会談が好機になる。これをにらみながら、より重要な日本社会の世論については、一時期ほどの関心を示していないことを踏まえ、局面打開を図る動きが急だ。

 大会終了後、都内で開かれた民団権益擁護委員会、婦人会中央本部役員と賛同市民団体代表らとの会合では、日本政府と韓国政府にアピールするあらゆる活動を展開することで一致した。具体的には各政党へのロビー活動をはじめ、世論喚起のためのシンポジウムを実行委員会形式で全国展開する。そこには地方議員も呼び、各党本部への波及効果を狙っていく。この方式はさる3日、民団鳥取本部と市民団体が実行委を構成し、300人規模の「第1回永住外国人地方参政権シンポジウムin鳥取」をサンプルにした。

 大会翌日の8日に開かれた関東地方協議会でもやはり、賛同市民団体と提携して有識者や国会議員、地方議員を巻き込んでのシンポを各地で開催する一方、政党への直接的な働きかけと同時に無理解もしくは反対の立場に立つ国会議員を特定し、中央あるいは選挙区単位で個別折衝する方向でも意見を集約した。来年春に総選挙がある場合でも、有力候補者には個別工作も辞さないとの意見も強く打ち出された。 03年から市民公開講座「在日から見える社会」を連続開催してきた青年会も、12月6日の東京を皮切りに、「教えて! 在日外国人の地方参政権〜現状と展望」と題した講座を来年1月にかけて全国4カ所で開く計画だ。

 決起大会はまさしく、パワーの好循環を生み、これまでの実績を土台に運動を組み立て直し、より多角的にアプローチする跳躍台を準備することにもなった。

(2007.11.14 民団新聞)
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