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<民論団論>11・7決起大会に見た底力
11・7全国決起大会会場の東京・日比谷公園は同胞の熱気に包まれた
フリーライター 朴景久

五感に響く熱気
このエネルギーの伝播を

 「永住外国人に地方参政権を! 11・7全国決起大会」の熱気には心の底から驚かされた。この運動をここ数年の停滞から反転させ、再び燃え上がらせるには周到な下準備と大量の燃料が必要だと思っていたからだ。

 しかし、住民の一員としての基本権を求める熱望は決して湿っていたわけではなく、むしろ自然発火するほどに煮詰まっていたことを大会が証明することになった。ジャーナリストの端くれとして、己の不明を恥じ入った次第である。

 11月14日付民団新聞は、全国各地から決起大会に駆けつけた同胞たちの声を拾っていたが、参加者それぞれに小さくとも尊い物語があったことを知った。参加する側、動員する側の懸命さにうなり、参政権獲得への思いの強さ、真剣さに打たれもした。

 決起大会にさほど関心がなかったくせに、いずれ何かのネタになるだろうという軽いジャーナリスト根性で足を運んだ私さえ、会場の熱気に否応もなく感化されていく自分を認めないわけにはいかなかった。5000人という参加規模もさることながら、参加者一人ひとりの顔つき、目つきさえが違うのだ。民団周辺に身を置いて30年以上になるが、参加人数も真剣さからも、かつての如何なる大集会とも異質なものが五感に響いてきたのである。

強制きかぬ独特の強さ

 民団という組織に強制は似合わない。統制も利きにくい。弱体化した現在の総連に比べても、動員力が上回ることはまずない。そんなイメージがついて回っていた。私自身、民団への期待が裏切られ、失望したことが一度や二度ではない。

 しかし、ルーズな組織と言われる民団には独特の強さがある。団員個々人の意志が強い分、上からの指示や強制だけでは簡単に動かないが、目的・目標が明確であり、それが自身の意志と噛み合った場合の底力とでも言おうか。それを目の当たりにした思いである。

 当日の会場は、9人がけの座席を12人が分け合い、それでも足らずに通路が埋まり、座席スペース後方の立見席もほぼ埋まった。遠方からの参加者も長旅の疲れを見せなかった。主催者あいさつや来賓の激励辞では、視線を演壇にまっすぐ向け、ここぞというタイミングでは必ず一斉に拍手と声援をおくった。見事な集中力であった。

 熱気の伝播、相乗効果、増幅を肌で感じたのは、一般参加者だけではない。壇上の来賓たちも例外ではなかったはずだ。前回の決起大会では、各党を代表して参席した国会議員らは、自身の激励辞がすむとそそくさと退席した。しかし今回、全員が大会終了まで残ったのはその証だろう。

 会場で知り合いの新聞記者や公安関係者などから、「いや〜盛況ですね」、「たいした迫力ですよ」、「民団も侮れませんね」などと話しかけられた。なかには「おめでとうございます」と言ってきた人もいる。

 外交辞令とは思えない、緊張と戸惑いを含んだ眼差しでの語りかけに、観察者に過ぎない私までが誇らしい気分にさせられた。参加者や主催者たちの奮起のほどが知れよう。

一堂に会しヤル気熟成

 ある地方本部の事務局長がこう語っていたのが印象に残った。

 「意見書採択は市レベルでは順調に進んだが、県議会のガードは固い。いまだに北韓のテポドン・核・拉致を持ち出してくる。だけど、めげずに何度でも足を運んで要望する。そうしなければ気が済まないほどのエネルギーを、今日の大会でもらった」

 「体」と「心」の関係を研究する学者たちの間では最近、こういうことが言われている。人はともすると、ある感情がまず自分の心に生まれて、それによって意志や行動が決定されるかのように思いがちだ。だが実際には、体の態勢や顔の表情によって感情は支配されやすい。心から体ではなく、体から心なのだ、と。

 11・7全国決起大会はまさしく、地方参政権を獲得せずにはおかないという、運動主体にふさわしい意志や行動を導き出すべく、体の態勢や顔の表情を備えていた。

 もっとはっきり言えば、それらは一堂に会することによって備わったのだ。全国から集まった「体」と「体」が一体化して熱核融合をもたらし、ヤル気をみなぎらせたのである。

宿願成就へ気は抜けぬ

 不発に終わったとすれば、徒労感だけが残って次への展望を語る気力は萎えたかも知れない。主催者にとっては大きな賭けだったに違いない。しかし、大会の成功は参加者一人ひとりの大会に向けた小さな物語を、参加者全員が共有できる大きな物語に変えた。

 その分、運動指導部への期待は膨らんでおり、宿願成就へ気は抜けない。大会の成功によって逆に、指導部にはいっそうのプレッシャーがかかるはずだ。だとすればこのプレッシャーをエネルギー源に転換させ、勝負どころとなる来年の通常国会に向け力量を集中したいものである。

(2007.11.28 民団新聞)
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