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韓国の魅力ラジオで伝え6年 室田智美パーソナリティー |
深く「心」に迫りたい
「国境を超える音楽の魅力を通して、近くて遠い国ではなく、近くて近い国になってほしかった」。北海道のSTVラジオ(道内で唯一のAMラジオ単営局)で、今年6年目になる音楽番組「韓国の音楽が熱い!」のパーソナリティーを務める室田智美さん(41)。音楽を中心に映画・ドラマなど、ホットな情報を取り上げながら、韓国の魅力を紹介している。10月からはリスナーの要望に応え、月1回から週1回に拡大した。「よりきちんと韓国のことを学んで、みなさんに伝えていきたい」と張り切る。
目線は在日史にも
「もっと教えて」リスナーはどん欲
同番組は6年前、10月9日の「ハングルの日」に月1回の番組としてスタートした。「何かの縁を感じる」と室田さん。企画・構成も一人でこなす。
04年の夏。前身となる特別番組を放送したときのこと。「冬のソナタ」の主題歌を歌い、作詞も手がけた歌手のRyuさんがキャンペーンで同局を訪ね、インタビューすることになった。
「皆が『冬のソナタ』に熱中していたとき私は正直、面白いのかなと少し、疑心暗鬼だった」。だが、そこはプロ。ゲストを迎える際に、ドラマの内容も知らず、どんな思いで作詞したかも分からないのは失礼に当たると、DVDを借りた。
「韓国語の歌詞は分からないけど、映画やドラマのなかで使われている音楽に国境はないと改めて実感した。日本では忘れてしまったような懐かしさや、目上を敬ったり、胸をきゅんとくすぐるような部分が残っていてすっかりはまった」
Ryuさんが出演したことで、大きな反響があった。「もっと知りたい、もっと教えてほしいという声に、一緒に番組を作っていけたらという思いで始めた」。当初は映画やドラマの主題歌がリクエストの中心だった。今は少女時代やKARAなど、幅広いジャンルで紹介している。
STVラジオは北海道で1年に2回行われる聴取率の調査で、26年間連続ナンバー1の記録を更新し続けている。現在、「韓国の音楽が熱い!」のリスナーは約180万人とも。
このブームが終わらぬよう
ブームで終わらせたくないという気持ちがある。番組を通していろいろな人と出会った。韓国人は心が温かいなと思った。北海道に多くの在日が暮らしていることも知った。
「それまで私も本当に関心を持ってこなかった。在日の人たちが日本でどんな思いで生き、悲しみをこえてきたのか。それは歴史的な背景を知らない日本人から受けている寂しさだったり、辛さだったりというのもあると思う。でもいろいろな形で韓国と関わって好きになり、自分も懸け橋になりたいと思う多くの方たちに、エネルギーを伝えられたら」
今は韓国の旬な情報を届ける「リアルタイムソウル」、最新映画・ドラマ情報、役立つ韓国語など幅広く韓国の文化を紹介している。
今年2月、ツアーでDMZ(非武装地帯)に行った。「警備に当たる若い兵士たちがいて、韓半島は休戦状態にあるんだ、韓国と北朝鮮は近いのに遠いと思った。知らなかったことを知って今逆に、こんなに知らない私が番組でお届けしているのが恥ずかしいと思っている」
道内で暮らす在日を明るく
番組がリスナーから支持されるようになり、放送枠も増えた。その責任も感じている。きちんと韓国のことを学ぶことの大切さも。
「今まではコンサートの情報などをお伝えしてきたが、G20サミット(主要20カ国・地域首脳会議)が開催されたとか、APEC(アジア太平洋経済協力会議)で韓国はこういう発言をしたとか、今まであまり関心のなかったようなニュースにも目や耳を傾けるように皆がなっていくと、今後の両国間の付き合いも変わっていくと思うし、道内で暮らしている在日の方の心持ちももっと明るく、楽しくなっていくのでは」
これから歴史についても触れていく。「コアな人のためにやる韓国情報番組ではないのが、一番のメリット。何でもできる番組だと思っているし、何でもありにしておきたい」
今後はリスナーたちと「私たちならではのツアーを企画して、韓国に行く」のが夢。
「それとライブも見たいし、韓国の放送局の収録現場も見られたらいいな」。今年18年になるベテランアナウンサーの目が輝く。
(2010.11.17 民団新聞)
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