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都内で外国人に対する取り締まりが強化され、在日外国人の人権が脅かされています。この取り締まりが在日外国人を「犯罪者」、および「犯罪予備軍」と見る治安管理的な発想から出ていることを私たちは懸念しています。
永住外国人対象は時代に逆行
きっかけとなったのは、東京都と法務省入国管理局、東京入国管理局、警視庁の4者が連携、不法に滞在している外国人の取り締まり強化をうたった昨年10月の「共同宣言」でした。
取り締まりのあおりを受けてパスポートを所持していなかった留学生や就学生が拘留され、在日同胞まで外国人登録証の不携帯を理由に警察に連行される事態が起きました。この在日同胞は新宿区内で経営する食堂を閉め、帰宅しようとしたところを数人の警察官に呼び止められたとのことです。もはや狙い打ちされたとしか言いようがありません。
そもそも永住外国人に対して外登証不携帯だけを理由に警察に連行することなど、あってはならないことです。これは私たちが長年にわたって訴えてきたことであり、91年の韓日政府間協議でもその趣旨は確認されています。今回の行為は時代に逆行したものと見なさざるをえません。
留学生・就学生についてはあたかも刑法犯が増えているかのような誤った情報が伝えられています。ところが、「03年版警察白書」や同「犯罪白書」などを見ると、検挙人員そのものはむしろ半減しているのです。その中身にしても、放置自転車の無断使用といった軽微なものが大部分を占めているのです。
官公庁から誤ったイメージが
かつて東京では警察署が「中国人を見たら通報してください」という人権をまったく無視したチラシをまいたことがありました。大阪の高槻市でもある銀行が店内に「外国人を見たら注意してください」というポスターを張り出し、在日同胞や日本人からひんしゅくを買いました。
最近も法務省入国管理局が、身の回りの外国人で「(入管法)違反者だと思われる人」に関する情報をメールという簡単な手段で送れる制度を作りました。これは一般市民に対して外国人の監視と「密告」を奨励するためのものと言わざるを得ません。外国人に対する排外主義をあおるばかりか、外国人イコール「犯罪者」と見なすという誤ったメッセージを日本人に送りつけています。
根拠のない風説を基にしたこのような動きは、私たちに関東大震災のときのいわれなき朝鮮人虐殺という悪夢を思い起こさせます。多民族・多文化共生社会の実現を望む私たちは、公の機関によって外国人に対する負のイメージが作られ、それが固定化して一人歩きしていくことをなによりも恐れています。
(2004.3.3 民団新聞)
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