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在日同胞史研究の第一人者朴慶植氏の業績を顕彰…歴史資料館主催没後20周年記念 |
| テーマ講演者とコメンテーターによる総合討論(韓国中央会館)
| 『朝鮮人強制連行の記録』(未来社、1965年)をはじめとするたくさんの学術成果を通じて解放前・後の在日同胞の歴史を掘り起こしてきた朴慶植さんの没後20年企画展「ぷらすまいなす±私の青春」が10日から東京・港区の在日韓人歴史資料館(李成市館長、韓国中央会館別館)で始まった。これを記念してのシンポジウムが同日、韓国中央会館大ホールで開催され、120人が集まった。
朴さんは既存の日本近現代史から欠落していた在日朝鮮人史の必要性と重要性を訴えて76年に「在日朝鮮人運動史研究会」を組織した。同研究会は79年、関西にも拡大。韓国でも両研究会に参加していた留学生が中心となって韓日民族問題学会を設立した。
同研究会について朴さんは「植民地の時期、解放後における在日朝鮮人の日本社会に果たした役割、さらにどのような新しい関係を日本と朝鮮の間に築いてきたかということを私たちが発見しなければ、日本と朝鮮との正しいあり方もわからないし、インターナショナルなものも生まれてこないのです。同時に日本の社会なり歴史も正しく見ることはできません」と振り返っている。
晩年には「在日同胞歴史資料館」を構想し、設立に奔走していたさなか、交通事故で他界した。
テーマ講演に立った在日朝鮮人運動史研究会会員の樋口雄一さんは、朴さんから「朝鮮人の歴史を日本人・自分の歴史として学んだ」と述べた。
同じく同関西部会の設立に関わった水野直樹さん(京都大学名誉教授)は朴さんが晩年、最後の仕事として『近代日本社会運動人物大事典』(全5巻、日外アソシェーツ)のなかで朝鮮関係1251項目の編集・執筆にあたったことを「大事な業績」と指摘した。
『在日朝鮮人関係資料集成』(全5巻、三一書房)についても水野さん自身、「その後の研究に大きな手助けとなった」という。
韓国光云大学校からは金廣烈教授が登壇。韓国で「在日」研究が活性化したのは朴さんの影響が大きいと強調した。なかでも『日本帝国主義の朝鮮支配』(86年、翻訳出版)は「被植民地期を勉強する歴史学徒たちの必読書となっている」という。
総合討論で立命館大学の文京洙教授は植民地主義の克服と民族的主体性の確立という2つの課題を挙げ、「在日1世パイオニアの研究をどう継承していくのか」を自らに問うていた。水野教授も「朴慶植研究を引き継ぎ、日本の植民地支配の歴史を明らかにすること。同時に在日朝鮮人の歴史がどのように関連しているのかを調べるのがこれから取り組むテーマだ」と述べた。
■□ 滋賀県立大学に「朴慶植文庫」 資料数5万点
朴慶植さんが遺した資料は段ボール1300箱分、5万点以上。98〜01年にかけ当時の姜徳相教授の仲介で滋賀県立大学に寄贈され、一部を除いては「朴慶植文庫」として公開されている。
内訳は図書類26313点、逐次刊行物5000タイトル、ビラ・リーフレットなどの文書類、録音資料類、写真・マイクロフィルム類、書簡類。 同大の河かおるさんによれば、いまだに50箱が未処理のままだという。「できるだけ早く処理したい」と話している。
(2018.2.14 民団新聞) |
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