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北韓との国交正常化交渉を加速化しようと、小泉首相が平壌を訪問し金正日国防委員長と会談してから17日でまる1年になります。
当初目指した正常化交渉は完全に暗礁に乗り上げ再開のめどすら立っていませんが、その原因が北韓の核開発と日本人拉致問題にあることは周知のところです。
在日同胞社会に激震
金正日国防委員長は小泉首相との会談で、「対南革命のため日本人を拉致した」と事実を認め謝罪しました。この発言は日本社会だけでなく、在日同胞社会にも激震をもたらしました。
総連中央は拉致問題についてこの間、その存在を一貫して否定してきただけでなく、日本当局の陰謀だとまで言ってきたのですから組織内に動揺が走るのも当然のことでしょう。
韓国に対する「革命のため」だったとはいえ、拉致行為は明らかに理不尽な犯罪行為なのですから。
日本社会のいわゆる「右傾化」と排外主義的な風潮に絶好の口実を与えているのが北韓の核開発であり、この拉致問題であるというのは衆目の一致するところです。
総連系民族学校に通う子弟や総連施設に対する心ないいやがらせが、いつ同胞全体に及ぶかも知れない状況にあるのです。
総連内部では、「謝罪」をすべきだとの意見が沸き起こり組織に激しい動揺が走る一方、総連同胞の韓国籍への変更がそれ以前の2倍から3倍にも達しています。
本質を摩り替えるな
総連中央は「840万人の朝鮮人拉致、強制連行、従軍慰安婦」云々と問題の本質を摩り替えようとするだけでなく、根拠の乏しい数字を持ち出しながら拉致事件を正当化しようとしています。
このような主張に対し良識ある在日同胞は、総連から率直な反省の一言もないこととあわせ、失望の色を隠せないでいます。
いかなる名目を掲げようと北韓という国家が他の主権国家の国民である日本人を拉致したという事実は、明らかに日本に対する主権侵害であり、当の拉致被害者に対する人権蹂躙であって、言い訳の余地のない国家的犯罪行為なのです。
これを「植民地時代の強制連行も拉致だ」などと、次元の違う問題を持ち出して論理を摩り替えようとすべきではありません。
拉致問題という犯罪行為を強制連行という全民族が受けた受難と同列に置き帳消しにしようとするのは、恥ずべき行為といわざるを得ません。
在日同胞全体に大きな影響を与えている拉致問題について、総連中央は事実歪曲を即刻やめ、自らの態度を明確にし、北韓政府と日本政府に対し早期解決を働きかけるべきであります。
(2003.9.17 mindan新聞)
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