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裁判勝ち抜き完全正常化期す…韓商連問題洪采植会長に聞く

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「離脱」ありきの詐術
「法令」語る資格ない…重い「民団と一体の50年」

 韓商連のことで、会員や団員の皆さんにご心配をおかけしていますが、現執行部は韓商連の50周年事業が1日も早く実施できるよう、完全な正常化に向けて着々と基盤を固めています。いっそうのご理解とご支援をいただければと思います。

 皆さんには問題がなんとなく大きく複雑で、厄介に見えているかも知れません。ですがそれは、旧執行部、つまり「一般社団法人」側がなりふり構わずいくつもの裁判を仕掛けているからで、ことの本質は実に単純です。

 民団傘下の任意の経済人団体として、何不足ない条件の下にある韓商連がなぜ、「一般社団法人」を取得し、傘下団体を離脱しなければならないのか。またなぜ、民団と協議する約束を反故にするだけでなく、韓商連内部でもきちんと話し合わないまま、一部幹部が強引に突っ走ったのか。この二つにつきます。

正常化努力への嫌がらせ・妨害

 「社団」が起こしている裁判はすべて、問題の本質から離れたもので、民団の規約に基づいた正当な直轄手続きや正常化努力に対する嫌がらせ、妨害です。いや失礼。そのレベルを超えていますね。呉公太団長や私など7人を相手取って、不動産侵奪罪・威力業務妨害罪で警視庁に告訴していますから。これはもう、事件屋の手法です。

 民団は過去、内部の紛糾を自分たちで解決できなくなった地方本部を直轄し、正常化させてきました。小さな本部だけでなく、なかには3大大手に数えられる本部もあった。ですが、いずれも直轄業務に協力的でした。もちろん、今回のような裁判沙汰は一度もありません。

 民団は母体となる基本組織といくつもの傘下団体や協力団体で構成されています。韓商連に限らず、傘下団体は入るのも出るのも、団員の意思を代弁し、決定する中央委員会の承認が必須です。当該団体の、しかも一部幹部の一存で出たり入ったりできるものではありません。規約で定められているからだけではなく、モラルから考えても当然でしょう?

 62年に結成された韓商連は宣言で、「民団傘下の商工会を、全体的に統合し代表する唯一の経済組織体である」と自己規定しました。各地方にある韓商はそれぞれ、民団本部の傘下団体になっていた。今もそうです。韓商連はその連合体ですから、「統合し代表する」かたちで民団中央の傘下団体になったわけです。

 韓商連は以来、民団の規範に則って活動し、民団の最高意思決定に参与する中央委員や代議員の配定を受けてきた。そればかりか、歴代会長は民団の中央執行委員にもなっている。今は「社団」側の崔鐘太氏や朴忠弘氏も例外ではありません。

 中央執行委はわずか20数人で構成される民団組織の中枢のなかの中枢です。崔、朴両氏はまぎれもなく、全国民団を率いる指導陣の一員として、団員と組織に責任を負う立場にあった。なのに、ある日突然、民団から離脱すると一方的に宣言したわけです。

存在証明を失う本末転倒の論理

 やむにやまれぬ事情なり、あるいは韓商連や民団にとって有益だからとか、耳を傾けるだけの理由があるならまだしも、それらしきものはありませんでした。

 もしあったとすれば、まじめな話し合いができたはずです。どうして、一方的かつ強硬なやり方で既成事実化をはかる必要があるのでしょう。振りかざすだけの名分がなかったからです。

 彼らが掲げたのは、「一般社団法人在日韓国商工会議所」が民団傘下にとどまれば、コンプライアンス(法令遵守)に反する、というものだけです。

 では、コンプライアンスを唯一の名分にする彼らがなぜ、自分の属する民団のコンプライアンスは踏みにじるのでしょうか。もともと民団を軽んじていたのであれば、彼らは中央執行委員として、民団のコンプライアンスに率先する立場にあったことをどう説明するのでしょうか。

 コンプライアンスとは、一定の目的を持つ団体がそれを追求するに当たって、関係法令を遵守することです。韓商連の血肉にもなっていた民団のコンプライアンスを勝手に切り捨て、「社団」のコンプライアンスを名分に、50年の伝統を有する韓商連の存在理由そのものをくつがえすのは、本末転倒の愚拳と言うほかありません。

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実利・名分もない「社団」
真の狙いは私物化に…地方韓商の独立性も無視

 こうした大枠を確認したうえで、韓商連問題を改めて整理したいと思います。

 まずは、そもそもなぜ、「社団」にならねばならないのか、についてです。「社団」側はグレードや信用力が向上すると吹聴していますが、本当にそうでしょうか。

 ここで細かく説明するのは差し控えますが、さほどメリットがあるわけでもないうえにデメリットが少なくないのです。しかも、08年にできたばかりの簡便な制度で認知度もグレードも低く、なにがしかの信用力がつくわけではありません。

 何しろ、従来の社団法人とは違って官庁の許認可は必要なく、出資金もいらない。2人以上の設立社員がいて、必要書類が整い、6万円の登録免許税を払えば誰でも簡単に設立できる。かつての社団法人のように格の高いものは「公益社団法人」と言ってまったく別物です。

 次に、「在日韓国商工会議所」の名称を使うには商工会議所法の定めに従う必要がある、との主張についてです。これも実は、経済産業省の見解によって破綻しています。

 「在日韓国商工会」が「在日韓国商工会議所」に名称変更したのは92年です。以来20年余、内部的に不都合があったことも、監督官庁から行政指導を受けたことも一度たりとてありません。

 それもそのはずです。韓商連のような外国人の商工会議所については、名称の乱立を防ぐために「1国1会議所」の原則を適用するものの、商工会議所法の対象にはならず、定款や事業計画などの中身まで吟味するものではない、と経産省は言明しているからです。

 それと関連して「社団」側の言う「特定団体」についても、経産省の見解は明らかです。商工会議所法の第4条に「商工会議所等は、特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行ってはならない」とあって、その「特定」の「団体」に民団が該当すると「社団」側は言い張ってきた。これについても経産省は、民団がその「特定団体」かどうかを判断する立場にはない、ときっぱりしています。法の適用対象外なのですから当然でしょう。

 伝統ある韓商連の存在理由を根底からねじ曲げ、メリットも大義名分もない「社団」の取得とワンセットで傘下団体離脱を目論む。こうした所業であればこそ、韓商連内部によく知らせもせず、上部団体である民団の指導をはねつけてまで急いだのです。

 彼らは、「一般社団法人」を取得するための簡便な現行制度について、知ってか知らずか、今年13年11月までの時限立法であることを理由にしてきました。しかしそれもまた、事実ではありません。

 結論から言えば、本当の狙いは韓商連の私物化にあり、自分たちが執行部を握っている間にその基盤固めを終えることにありました。この間の流れをおさらいしておきましょう。

 崔鐘太氏が会長になってから、韓商連と民団との間でアツレキが目立つようになりました。ひどくなったのは4年前からでしょうか。

 会長選挙の後遺症もあって、韓商連内部でトラブルが多発すると崔執行部は、定款を都合のいいように変えました。韓商連は名称の通り、結成時から連合体組織であるにもかかわらず、それを直轄が容易にできる独裁型の組織に改編し、気にくわない地方韓商や会員をほしいままに排除しようとしたわけです。

 民団としては、その内容面から許せないのはもちろん、傘下団体の定款改定は中央委員会の承認を必要とする規約からも受け入れられるわけがありません。私物化しようとする意図がありありの改定定款を差し戻しました。ここらが発端だったと思います。

内外を幻惑するカモフラージュ

 崔氏らはその時点で、民団から離脱する手立てを考え始めたのでしょう。だが、離脱を正面から提起すれば反発が大きい。そこで、「社団」の取得にともなうコンプライアンス云々を全面に掲げることで、韓商連内部を幻惑し、外部へのカモフラージュにしたわけです。

 韓商連は11年の第49回定期総会で、「社団」を取得すべく決議したが、そこには民団と緊密に協議するとの付帯条項があった。しかし、その付帯条項を無視しただけでなく、傘下団体からの離脱についてまともな内部討議をしていない。だから、離脱を公言し既成事実化しようとする動きに、地方韓商が一斉に反発したわけです。

 もう一つ、別次元の重要な問題が隠されていました。繰り返しますが、韓商連はそれぞれが独立した地方韓商の連合体です。なのに、崔・朴両氏らは地方韓商をも単一の「社団」に統合しようとしたフシがある。もしそうなれば、地方韓商の独立性はなくなって、単なる支店に格下げされる。これについての論議を意図的に避けていたのは明らかです。

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傘下唯一の商工組織
「窃盗行為」から守る…経済活性化へ本分を全う

 私は「社団」側人士との付き合いも長いですし、この間のやりとりを思い起こせば、言いたいことは際限なくあります。ですが、そろそろまとめに入るべきですね。

 彼らが本心から、これまでの韓商連とは違うグレードの高い経済人団体をつくりたいのであれば、どうぞつくって下さい、可能であれば協力し合いましょう、ということで済みます。同胞社会の発展につながればいいんですから。

 改めて強調したいのは、結成宣言で「民団傘下の商工会を、全体的に統合し代表する唯一の経済組織体」と自己規定した韓商連の精神は、今も健在であり有効だということです。私たちはこの韓商連を大切にしたいと考えています。それをなぜ、ごっそりと持って出ようとしたのでしょうか。

 「社団」側は民団の直轄処置に対して「窃盗行為」だとなじりました。「窃盗行為」はどちらですか?

 韓商連は過去一貫して民団と一体です。その韓商連を自分たちの私物だと思い込んでいるからこそ、吐き出された言葉です。語るに落ちたというべきでしょう。

 私は韓商連の会長を歴任した一人として、「社団」側の考えを実に情けなく感じることがあります。その一つに、彼らの代理人が12年11月、韓商連事務所の民団との賃貸借契約は有効だと主張する警視総監に宛てた「意見書」があります。

 そこでは低廉な賃料について、韓国中央会館の建築費用が不足する事態となり、韓商連が全国の商工人に声をかけ、寄付を募り、不足を補ったという経緯があり、建築費用の一部を韓商連が負担したとの認識が双方にあるからだ、としています。

 「似て非なるもの」という言葉がありますが、この言い分はその典型ですね。韓国中央会館の建設資金は、民団地方組織を通して小口を広く集める組織募金、中央幹部らが担当する比較的大口の経済人募金によってまかなわれた。婦人会もがんばった。傘下団体ではない韓信協(在日韓国人信用組合協会)も、会員組合や経済人を動員して資金を拠出しています。

 細かい話のようで恐縮ですが、韓商連の性格を考えるうえで重要なことですので、もう少しがまんして下さい。

 韓商連の当時の会長は旧東京商銀の理事長でもあった許弼 氏で、当然ながら建設委員会の主要メンバーでした。民団の外にありながら、独自に資金を集め、資金不足を補った、というのではありません。あくまで、民団傘下団体の義務として、さらには経済人団体の本分と面子をかけ、募金の先頭に立ったのです。ですから、本来の韓商連には、韓国中央会館に持ち分があるかのような、恩着せがましい発想なぞ生まれるはずがありません。

 実際、会館が竣工して民団中央本部が入ったのが76年で、韓商連の入居は8年後の84年です。独自の事務所を持っていたにもかかわらず、テナントに恵まれなかった中央会館の助けになればと移転したのです。しかも、スペースは崔鐘太氏が会長になってからの会長室よりも狭いものでした。

 共益費なみの「低廉な賃料」は、傘下団体の「特権」であって、それ以外ではありません。「先達が建設資金集めにがんばったから」と言うのであれば、それは先達の恩恵と受けとめるべきで、特権であるかのように考えるのはお門違いであり、先達への侮辱です。

 歴代会長は韓商連の分限をきちんとわきまえていました。個人の資質の問題でしょうが、「商工会議所」は別格だ、民団なにするものぞ、という思い上がりで固まったのは崔鐘太会長になってからでしょう。韓商連はその頃から、「特定団体」ならぬ「特定個人」に利用される組織に変貌してしまった。歴代会長の一人として責任を痛感しています。

 その意味でも私は、韓商連の完全正常化、さらなる前進に向けて率先しなければならないと考えています。

「基本財政」から建て直しを急ぐ

 まず何よりも、「社団」の悪辣な企みによって仕掛けられた各裁判を、民団と協力して断固勝ち抜くことです。「社団」側が韓商連を牛耳って以来、莫大な資金が使途不明になっており、執行部から執行部へと繰り越しされてきた事実上の基金5000万円も消えています。この風前の灯火のような韓商連そのものを再建することです。そして、すべての地方韓商の結集を果たすとともに、休眠状態の地方韓商を活性化させ、未結成地域に韓商を設立することです。

 人間と人間の関係で成り立つ組織は、建造物や彫刻作品とは違って、形には残らない無形の遺産です。したがって、歴史と伝統が築いたブランド、プライドが何より大切だということを忘れてはなりません。これを守り続け、民団総体の目的を明示した6大綱領のうち、「我々は、在日同胞の経済発展を期する」ことを中心に、韓商連の本分を全うすることを改めて肝に銘じたいと思います。

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プロフィール

 洪采植会長 2012年5月から現職。民団神奈川地方本部副団長、神奈川韓商会長、在日韓国商工会議所会長、中央商銀理事長、在日韓国人信用組合協会会長、民団中央常任顧問など歴任(以上、時系列)。株式会社共立会長


(2013.5.22 民団新聞)
 

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