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36年ぶりが泣く北韓党大会…「核」「独裁」強化の儀式
朝鮮日報が北韓の朝鮮中央TVから収録し、7日付3面に掲載した写真。「6日、平壌で開かれた北韓7回労働党大会で、在日本朝鮮人総連合会代表団が金正恩第1書記に祝旗を伝達し、あいさつしている」との説明がついている。
経済再生へ計画も示せず

 平壌で6日から開催された朝鮮労働党の第7回大会は9日、第1書記の金正恩を新設された「最高職位」である「党委員長」に選出して終えた。ちなみに、祖父が67年前に就任した職位を踏襲したとの一部報道は正しくない。金日成が労働党結成時(1949年、北朝鮮労働党と南朝鮮労働党が合併)に就いたのは「党中央委員会委員長」だ。

 金正恩は「独自」の「最高職位」を手にしたことで、永遠の首領・金日成、永遠の総書記・金正日と肩を並べたことを誇示し、独裁の強化と個人崇拝キャンペーンの拡大を宣言したことになる。北韓民衆には、「70日戦闘」や「学習」への過酷な動員が待っており、暗黒の時代が続くことを意味する。

 7回大会は36年ぶりの一大イベントであったにもかかわらず、何ら新機軸を示すことはなかった。逆に浮かび上がったのは、核と弾道ミサイル以外に報告すべきものが何もない、という現実だ。

 金正恩は「事業総括」で、自らが13年に唱えた「並進路線」(核開発と経済再生を同時に推進)について、一時的なものではない「恒久的戦略路線」であることを強調した。だが、経済について具体性をもった言及はなかった。徹底遂行を呼びかけた「国家経済発展5カ年戦略」(16〜20年)も、数値目標を掲げられないがゆえに「計画」という文言を用いることができず、方向性を示すだけの「戦略」に置き換えられた。

 対照的に際立ったのは「先核政治」とも言える強硬姿勢だ。金正恩は、「共和国は責任ある核保有国」であると繰り返し強調するとともに、「核兵器を先制攻撃では使用しない」「核拡散を防止する義務を誠実に履行する」と言い、「世界の非核化のために努力していく」とも語った。

 だが、核不拡散条約(NPT)を脱退し、核開発を進めてきたのが北韓だ。「核保有国」として認めてくれればNPT復帰もあり得るというまやかしに過ぎない。金正恩が自らの口で言及したのは初めてとされる「非核化」も、対象は韓半島ではなく世界であり、全世界が核を放棄するまで、北韓が先に核を放棄することはない、という意味だ。

 金正恩は「経済部門はまだ相応の高みに達することができずにいる」と認め、「対外経済関係を拡大し、発展させなければならない」とも述べた。しかし、4回目の核実験(1月)や長距離弾道ミサイルの発射(2月)を受けて採択(3月)された国連安保理の制裁決議2570は、異次元の厳しさで北韓包囲網を狭めている。中国・ロシアまでが制裁決議の履行を公言するなか、それをかいくぐって対外経済関係を拡大するのは不可能だ。

 そこから、北韓は近く、核兵器開発が相当なレベルに達した「核保有国」であるとの名分・立場から、対話攻勢に出るとの見方も強まっている。5回目の核実験の可能性をちらつかせては見送ることを繰り返して国際社会を揺さぶり、譲歩を引き出す狙いが透けているからだ。

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揺さぶりへ対話攻勢も

 金正恩は米国に対して、6・25韓国戦争の休戦協定を平和協定に転換し、在韓米軍を撤収するなど韓半島問題から手を引くよう要求する一方、韓国には「南北関係は根本から改善されなければならない」として「まず軍事当局間の協議が必要だ」と呼びかけた。

 韓国にはさらに、拡声器による対北宣伝放送やビラ散布の中断、「南北和解の障害となる法律的、制度的な仕組み」の撤廃を求めた。これは言うまでもなく、国家保安法を廃棄させ、哨戒艦「天安」爆沈事件を受けて発動された5・24制裁措置を解除させるだけでなく、開城工業団地の操業中断措置をも撤回させようとするものだ。

 国家保安法の廃棄は、北韓の統一戦線方式による体制転覆を狙う政治工作に対し、韓国を武装解除することと同義でしかない。5・24措置は、北韓が謝罪して再発防止を約束すれば解除は可能だった。だが、決議2570の徹底履行が求められている今は、それもあり得ない。開城工団の操業中断も、決議2570に即した韓国のいわば国際公約であり、抜け駆けできる筋合いではなくなっている。

 だが、金正恩にも狙い目がないわけではない。まず韓国については、先の4・13総選挙で躍進した野党の共に民主党、国民の党のなかで、北韓に宥和的な姿勢をとるばかりか、金正恩と同じく国家保安法破棄、5・24措置撤回、開城工団操業再開を要求する勢力が力を持っているからだ。

 米国に対しては中国が、北韓の核開発凍結とNPTへの復帰を条件に、北韓が求める休戦協定の平和協定への転換を働きかけている。米国は北韓の非核化が最優先とする姿勢を変えていないものの、変数になることは間違いない。この問題について中国は、北韓とも協議していると伝えられる。

 制裁の効果は時を追って表れてくる。北韓はその制裁に苦しめば苦しむほど、来年12月の第19代大統領選挙に向け熾烈な政治攻防を繰り広げる韓国に対し、理念葛藤を増幅させるべく総力を投じるだろう。残余任期が1年9カ月となった朴槿恵政府にとって正念場が続く。

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総連に新たな重荷
個人崇拝への圧力は必至


 第7回党大会には朝鮮総連から、大阪本部の夫永旭委員長を団長とする祝賀団が参加した。一行は神奈川・愛知・兵庫の各県本部幹部と中央本部の中堅幹部ら6人で構成されたようだ。許宗萬議長の長男も含まれているという。

 総連が最近発行した「総連主要活動日誌1955‐2015」は、第6回大会時に「在日朝鮮人祝賀団」「70万在日同胞の忠誠の手紙伝達リレー団」「総連歌舞団」が平壌を訪問したこと、金日成の接見を受け、記念写真を撮ったことが記されている。一行の数はかなりの規模であり、しかも厚遇されていたことがうかがえる。

 それに比べ、今回はあまりにも貧弱であり、現地での処遇にも特筆すべきものはうかがえない。日本政府が総連の高位幹部22人に対し、訪北した場合は再入国を原則禁止する独自制裁を科していることだけでなく、総連の北韓への送金能力と日本における政治的な影響力の低下が背景にある。

 しかし、処遇は冷淡なものであっても、金正恩体制の総連への要求が軽減されることは期待できまい。

 今回の党大会で「金正恩同志を朝鮮労働党委員長に推戴することを謹んで提案」した金永南(最高人民会議常任委員長)は、「白頭で開拓され、勝利的に前進してきた主体の革命偉業を輝かしく継承、完成させておられる我が党と人民の最高領導者」と称えた。

 総連は今後、これに輪をかけるようにして金正恩に対する個人崇拝キャンペーンを展開することになろう。金正日への2代目世襲にさえ内部で強い抵抗があった。北韓に失望し、総連中央に不信感を抱く同胞はとうに離反したとはいえ、3代目への個人崇拝が本格化すればやはり反発は生まれる。

 個人崇拝キャンペーンから各級朝鮮学校の教育現場が除外されることはなく、むしろその中心となるほかない。日本当局は総連が「教育内容、人事および財政に影響を及ぼしている」朝鮮学校に対する補助金交付に厳しい姿勢を見せている。総連と朝鮮学校の保護者たちが、より苦しい立場に追いやられることは明らかだ。

(2016.5.11 民団新聞)
 
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