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王仁博士が縁結び役
市民団体の草の根交流で
【大阪】日本に論語と千字文を伝えたといわれる王仁博士が取り持つ縁で大阪府枚方市は1日、韓国の全羅南道霊岩郡との間で友好都市提携を結んだ。調印式は枚方市市制施行60周年を記念して枚方市民大ホールで行われ、市民1200人が見守った。
式典に合わせ霊岩郡から金逸太郡守と申樂鉉議長ら自治体関係者14人が訪日し、枚方市側から竹内脩市長と大隈恭隆同市議会議長らが迎えた。金郡守と竹内市長がそれぞれ提携文書に調印し、郡旗・市旗を交換すると、会場からは大きな拍手が送られた。
霊岩郡は王仁博士の生誕地。一方、枚方市は王仁博士が没した地とされる。両自治体の間を取り持ち、友好親善の絆を育んできたのは、20年以上にわたって王仁博士の墓を守ってきた「王仁塚の環境を守る会」(事務局長、吉留一夫さん)だ。式典の席で枚方市は同会のこれまでの貢献と功績に対し表彰状を贈った。 4月5日には霊岩郡が枚方市の関係者を招いて「友好都市調印式」を行う。
「王仁塚の環境を守る会」は84年、「伝王仁墓」の清掃奉仕を目的に結成された。吉留さんによれば当時、塚の周囲は廃材が投棄されるなどして荒れ果てていた。塚は枚方市にありながら、大阪府の指定史跡のため、本来は府が管理すべきだった。
吉留さんは地域住民12人で会を立ち上げ、史跡の清掃奉仕を務めながら周囲にたくさんの無窮花を植えてきた。霊岩郡とも地道に手弁当で民間交流を続けてきた。
守る会の地道な努力で史跡の存在は全国的に知れわたり、韓国からの観光客や修学旅行団が訪れるようになった。06年には史跡の入り口に韓国伝統建築「百済門」が建てられた。
吉留さんは「韓国建国60周年と、王仁墓史跡指定70周年の記念すべき年に調印できたことは幸せです。私の本来の仕事は写真家なので、生きている間に王仁墓に関係する写真集を出版し、私の遺言として残そうと思っています」と話している。
(2008.3.12 民団新聞)
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