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<新年辞>平昌・東京の成功へ韓日協働急ごう…中央団長 呉公太

修交50周年も見すえ市民連帯の多角化に全力
民団力 再生へ弾みつけ

 多事多難な癸巳年を送り、希望に満ちた甲午新年を迎えました。団員をはじめとする在日同胞の皆さんにとって本年がいつにも増して良き年となるよう願いながら、謹んで新春のごあいさつを申し上げます。

まずアジア大会

 国際スポーツ年とも言える今年、2月にはフィギュアスケートの金妍児選手や浅田真央選手、スピードスケートの李相花選手、スキージャンプの高梨沙羅選手らの活躍が期待されるソチ冬季オリンピックが開催されます。6月にはブラジルで、洪明甫監督率いる太極戦士とザック・ジャパンが満を持すFIFAワールドカップが始まります。そして9月には仁川広域市で、第17回アジア競技大会が開幕します。

 アジア大会は域内新興諸国の勢いを反映し、回を重ねるごとに規模を拡大しながらも、メダル争いとなればいまだに中国、韓国、日本の3強体制が動きません。しかし、その3強は東アジアの政治的安定と経済的発展を担う立場にありながら、この地域の不安定要因とされるまでに関係が悪化しています。仁川大会は政治的にも注目されるでしょう。3強が正々堂々と戦い、健闘を称え合うスポーツ人精神を発揮し、大会を成功に導くよう願わずにはいられません。

 スポーツの祭典は時にとてつもない力を発揮します。仁川大会がそうなるには、関係国が政治を一切持ち込まず、険悪な空気を和らげ、関係改善へ下地を整えようとする強い意志があってこそ可能です。いくつもの政治的な悪材料を好材料に変換させた88ソウル五輪が思い起こされます。

 80年のモスクワ五輪は、ソ連によるアフガニスタン侵攻に反発した多くの西側諸国がそっぽを向き、84年のロサンゼルス大会は、米国のグレナダ侵攻を非難する東側諸国がボイコットしました。東西両陣営が散らした火花の余熱が残るなかで、その最前線にある分断国の韓国が大会を成功させられるのか、そんな安危がついて回りました。事実、北韓は開幕まで1年を切った87年11月、大韓航空機爆破事件(乗客・乗員115人全員死亡と認定)を起こし、国際社会の不安をあおる暴挙に出ました。

 しかし、大会は過去最多の国・地域が集う見事な祭典となったのです。ソウル五輪はむしろ、連続2回も片肺にした東西対立を融和に導き、さらには、もう一つの懸案であった豊かな北半球と貧しい南半球とのあつれきを協調へと転換させる画期ともなりました。仁川大会が東アジアに対立緩和の転機をもたらすよう期待してやみません。

手堅い共生基盤

 親愛なる団員の皆さん。

 今何より求められるのは、韓日両国の真摯な対話です。アジア大会のために限ってのことではありません。ソチ大会が閉幕すれば冬季五輪は2018年の平昌へと引き継がれ、その2年後の2020年には東京夏季オリンピックが開催されます。

 昨年9月、東京招致が決まったのを受けた両国オリンピック委員会の会長会談で、関係が不調なときこそスポーツを通じて理解を深め、状況の好転を導こうとの認識を一致させ、両大会の成功へ協力し合うことを確認しました。韓日・日韓議員連盟も11月に開催された2年ぶりの合同総会で、平昌冬季五輪と東京夏季五輪をともに成功させるために、共同で青少年ボランティア組織を結成するほか文化、観光、スポーツ、メディアの各分野で交流を深めることに合意しました。

 韓日関係が良好ではないと言っても、人的な往来は昨年も年間で推定550万人を数え、経済界においても貿易や投資の増大、韓日企業による第3国への共同進出が続くなど緊密化への流れは変わりません。

 こうした揺るぎない実績を土台に、連続する二つのオリンピックを準備段階から共鳴させることで、政治的・経済的な効果の最大化を期そうとの気運が高まってきました。そこには、来年の国交正常化50周年を機に両国の信義を確固とし、いっそうの協働・繁栄につなげたいとの思いが込められています。

 韓日両国はFIFAワールドカップ2002年大会の招致をめぐって激しく争いながらも、韓日・日韓議連がパイプ役となって前例のない共催にこぎ着けました。善隣友好を優先した大いなる知恵のたまものです。W杯共催時に劣らない英知を集め、国交正常化50周年はもとより平昌・東京の両大会で韓日関係の成熟した姿を世界に見せたいものです。

草の根交流拡大

 親愛なる団員の皆さん。

 本団は昨年、3大運動として「組織再生」「次世代育成」とともに、創団以来の課業である「韓日友好増進」をあえて掲げました。厳しい関係を目の当たりにし、その影響をもろに受ける私たちこそそれに歯止めをかけ、関係修復への先頭に立つべきだとの決意からです。

 昨年8月の本国要路訪問で民団代表団は、朴槿恵大統領をはじめ政府各部署の長官や国会および韓日議連の重鎮らを歴訪し、韓日関係に苦慮する本団の立場を率直に伝え、かなり踏み込んだ論議を交わしました。

 異口同音に語られたのは民団の橋渡し役への期待でした。なかでも朴大統領は「歴史認識は正されるべきだが、共同利益の追求も忘れてはならない」とし、「韓日関係はいずれ回復に向かう。民団の役割はこれまで以上に大きい」と表明しました。在日同胞の境遇への配慮をともなう強い意志を感じました。

 私たちは、両国の有力政治人らによる有意義な接触に貢献する一方、本分とも言うべき草の根レベルの交流に力を注ぎました。各地民団は自治体との共同イベントや10月のマダンをはじめ韓国語や料理・文化・芸術の講座など地域住民とともに学び、楽しむ場を拡充・新設しました。

 また、東京・大阪のコリアタウンでは地域活性化に取り組み、「韓日祝祭ハンマダンin東京」は前年を上回る5万人で賑わいました。朝鮮通信使を韓日が連携してユネスコ世界記憶遺産に登録する運動、ヘイトスピーチ(憎悪表現)へのカウンター行動、さらには長野を起点とする平昌冬季五輪への支援活動も本格化しつつあります。

 善隣友好を促進させようとする韓日両市民の足取りには確かなものがあります。嫌韓風潮が広がっても、長年にわたって築かれた地域住民どうしの友情や信義はたやすく崩れるものではありません。むしろ、困難な時にこそ力強く発揮されることを再認識させてくれました。

次代育成へ着々

 親愛なる団員の皆さん。

 東アジアには中国が日本による尖閣諸島国有化に対抗するかのように防空識別圏を一方的に拡大したことで、新たな火種が投じられました。国交正常化以来で最悪と評される韓日関係も、打開への道筋がまだ明確ではありません。北韓は血なまぐさい粛清の過程にあり、体制崩壊への遠心力と独裁強化の求心力のぶつかり合いは、大規模な軍事挑発など周辺国を脅かす冒険行為に走らせかねません。

 不安定な東アジアのなかできしみ続けてきた韓日関係は、日本社会を苛立たせ、メディアによる度を超した韓国叩きを常態化させました。在日同胞を直接の標的としたヘイトスピーチもそこから派生しています。韓日離間を煽る言動に対しては、過去いく度も政治的な葛藤を和らげてきた市民間の連帯をより多角・多層化して対抗しなければなりません。

 私はこの間、在日同胞が自らの生活と矜持を守り、韓日の善隣友好を堅固にするには不断の努力が必須であること、同時に、それを可能にするには本団の現有力量を最大化する「組織再生」と未来を担保する「次世代育成」が不可欠であることを改めて確信しました。

 中央本部の団長に就任して以来、私は同胞と直に接する支部の活性化を最優先してきました。その柱が中央本部幹部による支部巡回・対話集会です。初年度の一昨年は70支部、昨年は54支部を回りました。全281支部の4割超で実施したことになります。全国を3ブロックに分けての支団長ワークショップや全国の支部実務者を対象にした研修会も開催しました。

 中央本部の幹部と現場に精通した支部幹部らが対面して率直な意見交換を行い、問題意識を同じくしながら励まし啓発し合うことで絆を固め、明日への活力を生み出そうとするものでした。何より私自身、支部を守り抜こうとする意志の強さに感銘を受け、勇気を持って前に進めと叱咤激励された思いです。

 熱心な活動者の高齢化が進むなかで、東北地方協議会が青壮年層の活動者47人を集めて全国初の次世代活動者研修会を持ったのは特筆されます。同胞過疎地域のハンディを克服して組織活性化を図るために、地協のネットワーク拡大と合同イベントの開催を決めました。その第一弾がオリニ・サマージャンボリーであることは、今の民団を象徴するものです。

 次世代母国研修は昨年も実施され、全国の中・高生と大学生300人近くが参加しました。この次世代育成でも刮目すべき試みが相次ぎました。2年ごとのオリニ・ジャンボリーの狭間を埋めるように、大阪本部は近畿地方の小学5・6年生210余人を集めてウリナラキャンプを実施し、九十九里浜でもたれた千葉本部の光復節式典に、海のない長野や山梨からの招待者を含め80余人のオリニたちが集ったのはその一例です。

 同胞集住地域と過疎地域とを問わず地域を越えた連携が盛んになり、しかも、その主な対象が次世代育成であることは評価すべき新たな現象です。それらをいっときの事業で終わらせず、3世や4世たちが母国にルーツを覚え、同年代の仲間意識を温める場をつねに提供しましょう。私は今年、子弟たちが小学校高学年、中学生、高校生の年代別に集い、次世代が系統的に育っていくシステムづくりに着手するつもりです。

創団70年にらみ

 親愛なる団員の皆さん。

 韓日間には悪材料がある一方で、好材料も目白押しです。であれば、好材料を最大限に活用するに限ります。

 平昌冬季五輪と東京夏季五輪を成功させ、来年の国交正常化50周年を意義あらしめるために、本団は早期に特別プロジェクトを始動させねばなりません。まずは、両国の心と力を合わせた協働が広がり、好循環が生み出される途上で国交50周年を迎えましょう。そして、その先にある2016年の創団70周年記念事業を成功させましょう。

 本団の歴史と未来は、韓日関係の歴史と未来を映すといっても過言ではありません。祖国・韓国とは紐帯を、居住国・日本とは共生を追求してきた本団には、両国の架橋となってきた自負があります。今こそ、これに恥じない働きをする時です。

 本団は「苦難克服の歴史が育んだ生活共同体であり、さらなる未来を切り開く運動体」です。絆を求め同胞が集う組織。その同胞のために働く組織。昨年は、そのような存在になるための自発的な動きが目立った1年でした。底力を見た思いです。私はこの基調をいっそう力強いものにするために全力を注ぎます。

 本団は昨年、ベテラン活動者や識者で構成する「未来創造プロジェクト」を立ち上げました。各地の韓国会館など民族財産の保全と活用、活力を途切れさせないための人材育成、新旧在日同胞の大統合と組織改革の3分野での提言が待たれます。基本課業の効率的推進を後押しするものとなるでしょう。

 終わりに今一度、全国の団員・同胞の皆さんにとって本年が幸多く、充実した1年になることを祈念します。

(2014.1.1 民団新聞)
 

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