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| 映画「ヒマラヤ」のモデル…8000メートル峰16座完登の厳弘吉さん |
| | 「ヒマラヤ〜地上8000メートルの絆〜」のワンシーン
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友との絆 失えぬ…過酷な遺体収容に一丸で
今月末から順次公開
2005年、エベレストで遭難した後輩隊員の遺体を回収するために現地に向かった登山家、厳弘吉（オム・ホンギル、57）さん率いる「ヒューマン遠征隊」。この実話を基にした、イ・ソクフン監督の映画「ヒマラヤ〜地上8000メートルの絆〜」（配給＝CJ Entertainment Japan）が今月30日から、東京のヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国で順次公開される。主な舞台はデスゾーンと呼ばれる標高8750メートルの地。過酷な遠征に挑んだ厳さんに聞いた。
04年、後輩隊員のパク・ムテクさんは初の隊長として、母校の登山チームを率いてエベレスト登頂成功後、下山途中に2人の隊員とともに遭難した。
8750メートルのところにぶら下がっているムテクさんの写真を目にした厳さんは「凍った状態で彼をこのまま放っておくわけにはいかない、彼と私と心のなかで必ず解決すると約束した」。そしてムテクさんの妻に会ったとき、泣きながら「遺体を降ろしてあげてほしい」と懇願されたのも理由のひとつだった。
8000メートル峰に挑戦するというのは、一歩一歩が生死を往き来するようなもの。隊長に求められるのは、豊富な経験を元にさまざまな危機に対処する能力だ。
ムテクさんは厳さんとともにヒマラヤ4座を登頂した。カンチェンジュンガでは約8500メートルの地点でビバーグ（露営）し、生死の境を経験した。厳さんは「彼にはリーダーになる資質があると思ったので、隊長としてチームを作ってやってみろと言った」
2人は単純な岳人の先輩、後輩、あるいは隊長と隊員という関係ではなく、兄弟や家族よりももっと深い友情でつながっていた。厳さんがムテクさんと関わってきた往年のメンバーを集め、遺体の収容に向かったのは「当然」とも言えた。
山頂付近の氷壁でムテクさんを発見、下山を試みるが、氷に覆われた遺体は100キロに達していた。下山は困難を極め、メンバーは石積みの墓をつくり、ムテクさんを埋葬するほかなかった。残る2人の隊員は発見されていない。
山麓の村々に学校16校建設の夢
厳さんは85年冬、25歳のときに最高峰であるエベレストに初挑戦するも失敗。86年に再度、同じルートで挑むが失敗。このとき、シェルパが滑落して亡くなった。成功したのは88年、3回目のチャレンジだった。
以降、数々の登頂に成功し、00年にはアジア初、世界で8人目になるヒマラヤ14座を制覇。さらに07年には世界初となるヒマラヤ8000メートル峰16座を完登した。
これまで何人もの同僚を亡くした。その都度自責の念にかられる。一方で、厳さんが成し遂げなければならないものがある。「同僚の死というのは頂上を目指していて亡くなったわけです。夢や目標は私一人のものではなく、それは同僚も一緒。だから僕は諦めてはいけない、必ずや登頂に成功しなければいけないと覚悟を決める」
16座のなかで最も印象深いのは4回失敗し、5回目で登頂に成功したアンナプルナ（8091メートル）だ。登頂過程で3人の仲間を失った。7600メートル地点のとき、滑って落ちたシェルパを助けようとしたがロープが足にからまり足首を骨折、足が180度回転したような状態になった。
そこから2泊3日かけて4500メートル地点まで片足で降りた。カトマンズの病院では手がつけられず、韓国で大手術を受ける。リハビリとトレーニングを重ね、重傷を負ってから10カ月後、アンナプルナの登頂に成功した。07年5月、4度の挑戦の末成功したローツェシャールを最後に、8000メートル峰のチャレンジは終わった。47歳だった。
厳さんは08年5月28日に厳弘吉ヒューマン財団を設立。10年に、エベレストの4060メートルにあるパンボチェという村に第1号の学校を建設した。ここは86年のエベレスト登山のときに亡くなったシェルパの故郷だ。これまで11校を建設。「16座の登頂に成功したので、16の学校を作るのが私の人生の挑戦であり目標、夢です」
（2016.7.13 民団新聞）
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