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<MINDAN文化賞>豊かな下地反映の質と量
授与式に勢ぞろいした各部門の受賞者と主催者、審査委員の皆さん
受賞のお礼を述べる入賞者
 東京・港区の韓国中央会館で26日に行われた「MINDAN文化賞」(民団中央本部主催、中央民族教育委員会主管)の授与式での主催者あいさつ(鄭進民団中央本部団長)と写真、詩歌、論文の各部門の審査委員の講評は次のとおり。

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1世の生き様残そう
写真部門 呉徳洙(映画監督)

 なにをもって審査の基準とするかというと、なかなか個人的判断とか迷うところだが、審査委員4人でいろいろ意見を交換した。やはり技術的にどうかというより、1世たちの昔の写真を、つまり二度と帰らぬ過去をきちんと残していくことは、われわれの責務ではないかと思い、そういうことを基調に選ばせてもらった。

 最優秀賞については、少年時代の写真、二度と帰らぬ在日の過去をきちんと伝えるものとして「58年前のサッカー大会」が決まりました。

 優秀賞の一つ「親善歌謡楽団」について。私の田舎は秋田ですが、在日の歌謡団というのが地方をめぐっているという話は聞いていた。大変珍しい写真です。こういう写真を一つひとつ残していかなければならない。

 そのほかの写真も、みな家庭の宝物であると同時に、在日の宝物として貴重なものです。2世から3世、3世から4世へ伝えるなかで、かつて1世や2世が、さまざまな歴史を刻んできたということを一瞬にして伝えるという意味で、写真というのは大きな意味合いをもちます。

 今回106点という大変多くの応募がありました。その中でも昔の1世たちの生きていた様子をまざまざと見せてくれたということが、私にとっても大変な体験です。

 このような写真は、在日の家庭にまだまだあると思いますので、今後も第2回、3回写真部門文化賞があるとすれば、ぜひ多くの方に応募してほしい。

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民族教育の実り見た
詩歌部門 金時鐘(詩人)

 選考する立場の私が、逆に教えられることの多かった応募作品の数だった。まずもって私は、「MINDAN文化賞」に対する認識を取り違えていた。啓蒙運動の一行事ぐらいにしか思っていなかったのだ。ところが最終選考に残った各作品の特質は、たまさか書いた程度の趣味の域のものではさらさらなかった。これだけの質と量を広く募(つの)れるだけの下地が同胞社会にあっての「文化賞」だったのだと、改めて思いを深くした。

 併せて痛く感じ入ったのは、民族教育のみずみずしい実りに出会えたことだった。維持運営が容易でないはずの民族学校で、これだけ伸びやかで心こまやかな子どもたちが育っている事実を、書かれた詩歌をとおして看て取りながらひとしお胸に沁み入るのを覚えた。

 世代を4代も継いで定住している在日同胞の日本社会への同化や、民族気風の風化が気遣われる風潮の中にあって、「第1回MINDAN文化賞」に入選した民族学校生徒の独特の表現力は、同化風化への懸念を押しのけていくだけの頼もしい兆(きざ)しともいえよう。

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学生の域超える作品
論文部門 朴一(大阪市立大大学院教授)

 全部で25人の方から応募いただいた。数としてはそれほど多くはありませんが、非常にレベルが高い論文ばかりだった。 審査の基準として、文章表現がどれだけ明晰であり、論理展開がどれだけ明晰であるか、それから文献例示がどれだけ適切に行われているのか、そして独創性および社会に対するメッセージがどれくらいあるのか。そういった点を加味して点数化して進めた。

 残念ながら最優秀作品は今回ありませんでしたが、2人の優秀作を選ばせてもらいました。その中の朴浩烈さん(一橋大学大学院生)の作品(「共時態及び通時態から考察する在日アイデンティティ論」)は、ポストコロニアルの状況のなかでのいわゆる在日のアイデンティティに関する言説を丹念に整理して、新しい在日のアイデンティティとはなにかということを模索する熱いメッセージが伝わってきました。

 そして私が今回強い感動を受けたのは、成蹊大学の学生である柳原孝彦さんの「在日韓国・朝鮮人の公務就任権について‐『当然の法理』の再検討」です。大学生としては非常にレベルが高い。これまでいろんな大学で卒業論文を見てきましたが、これほどの論文はなかなかなかった。

 彼は日本人ですが、在日の参政権の中での一つの否定論の柱となっている「当然の法理」が、歴史的に見てどれだけ矛盾に満ちたものであるかを非常に実証的に説明している。まだ学生なので論理構築の面で不十分な点もありますが、もしかしたら大学院に進まれ、立派な学者に育っていくのではないかとの期待も込めて優秀賞に選んだ。

(2008.1.30 MINDAN)
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