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東京・大田区「名物グルメ」認定 李致鎬さん 板門店での南北首脳会談後、メーンの夕食料理として供された平壌冷麺がソウル市内の専門店で人気だ。日本でも冷麺をメニューに入れている韓国料理店は珍しくないが、平壌冷麺ののれんを掲げているところは意外と少ないようだ。東京・大田区の平壌冷麺食道園は、北韓の咸興をルーツとする在日1世が独自に開発した故郷の味「平壌冷麺」ののれんを、在日2世が引き継いだもの。在日1世の味を守り、間もなく半世紀を迎える。
平壌冷麺食道園は東京・大田区のJR蒲田駅近くにある。大田区観光推進連絡協議会発行の情報誌『#haneota‐羽田空港周辺で楽しむ3時間』(2017年3月1日発行、日・中・英3カ国語版)でも羽根付き餃子とともに「自慢の名物グルメ」として紹介された。
カクテキと牛チャーシュー、湯ぬき玉子にりんごときゅうりの彩りが涼しげ。北海道産の馬鈴薯の澱粉を主材料に小麦粉をつなぎに使った白い麺は太く、コシの強さとぷるんとした喉ごしが楽しめる。スープは酸味と辛み、甘みが三位一体となった絶妙なバランスがウリだ。
代表者の在日2世、李致鎬さん(73)によれば南北首脳会談以降、平壌冷麺の売上げは2〜3割アップしたという。
日本で初めて平壌冷麺を「故郷の味」として紹介したのは54年に盛岡市で食道園を開業した在日1世の楊龍哲さんだった。李さん(当時27歳)は花巻市で楊さんから「平壌冷麺」ののれんを譲り受け、試行錯誤しながら独自の工夫で味を発展させてきた。一時は東北一帯で多店舗展開し、仙台では1日に1万食を売りあげたこともある。
蒲田で開業したのは10年のこと。「平壌冷麺」ののれんが災いしてか、北韓がミサイルを放つたびに店先に嫌がらせの投石を受けたり、「のれんを下ろせ」と迫られたこともあった。その都度、体を張ってけんかしてきた。
当初の1年はまったくの赤字経営だった。しかし、李さんにも在日1世から受け継いできた意地があった。「平壌冷麺ののれんを守らなければ」との一心でじっくり構えたという。周囲から「蒲田冷麺」でもいいじゃないかと勧められたが、楊さんとの約束を守り、「おれの目の黒いうちは」と突っぱねてきた。
それだけに南北首脳会談を知らせるテレビ中継には釘付けになり、「平壌冷麺の商いをして50年。こんな平和ムードは初めて」と人に言えないくらいの感動に浸った。
蒲田店にはかつて花巻や仙台で李さんの「平壌冷麺」に親しんだお客さんが子どもや孫を連れて訪ねてくる。李さんは「うちには3代のお客さんがついている」と胸を張った。近い将来、関東一円で「平壌冷麺」のチェーン店を展開しようと着々準備を進めている。
(2018.05.16 民団新聞) |
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