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私は本国で生まれ本国で育った韓国人です。このたび韓国で就職が決まりましたが、本社の発令を受け、日本にある子会社で働くことになりました。いずれまた韓国に戻ることになりますが、当面日本で生活するにあたり、私は日本の社会保障制度に加入することになるのでしょうか。また、その間、韓国の社会保険料も払わなければならないのでしょうか。
【回答】
国境を越えた人の移動が活発化する中で、海外で就労するケースもいまでは決して珍しくなくなりました。海外で働く場合は、働いている国の社会保障制度に加入する必要があります。しかし、自国の社会保険制度に加入したまま、あらたに日本で社会保障制度に加入するならば、制度への二重加入、保険料の二重負担が生じてしまいます。また年金に関していえば、そもそも短期滞在の場合など、その間いくら相手国で保険料を納めても、日本の年金受給資格が定める支払期間を満たすことはできないでしょう。
このような事態、すなわち保険料の掛け捨てを解消するため、それぞれの国では社会保障協定を結び、「二重加入の防止」「年金加入期間の通算」などの相互調整を図っています。2014年10月現在、日本は18カ国と協定の署名が済んでおり、そのうち15カ国間で既に発効しています。日本は韓国ともこの協定が発効済みです。
韓国から日本の関係事業所に一時的(原則5年以内)に出向する人は、韓国の社会保障機関から公的な「適用証明書」などの書面を持参して日本の年金事務所へ提出すれば、引き続き韓国の制度に加入することで日本の制度への加入が免除されます。
ただし、韓国は相手国での加入期間を通算しない「通算不可の協定」を採用しているので注意が必要です。仮に、日本での滞在が思いのほか長引く中で日本の社会保険制度に加入し厚生年金(あるいは国民年金)保険料を一定期間支払っても、その期間は韓国の年金加入期間に通算されることはないのです。その場合は、日本に3年以上在留した時に限り、在職中の日本の会社の厚生年金と健康保険制度にいったん加入し、その後ご本人が韓国へ帰国したあとで日本の年金事務所に厚生年金をかけた3年以上の期間分(期間によって金額は異なる)の保険料の一部を「脱退一時金として還付請求することができます。なお、この「脱退一時金」制度は個人加入の国民年金の場合も同様の還付制度がありますので、帰国する前に現在在職している会社所在の年金事務所か、お住いの各市区町村役場で確認してください。
なお、これまでに述べた年金にかかわる部分のみならず、社会保障協定には医療保険、雇用保険、労災保険が内容として含まれています。韓国は日本側での加入を前提に、自国での保険料の納付義務を免除しています。すなわち、医療保険、雇用保険は日本で加入し保険料を支払うことになるのです。また労働保険に関しては、会社側が国籍の有無に関係なく全面的にアルバイトも含めた強制加入ですので、会社に在職していれば自動的に労災保険の対象者になります。 |
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