| 店内の一角に設けられた「ちょっとしたカフェ」。伝統茶やマッコリ、韓国餅を味わえる | | 豊富な蔵書が自慢の高麗書林 |
出版不況で本が売れないという。これは韓国書籍専門店でも同じだ。客単価、売り上げアップへ、店内にカフェを併設したりインターネットを活用するなど、脱「普通の本屋」をめざして奮闘している。 ■□ カフェを併設…チェッコリ 東京・千代田区神田神保町「本の街」に「本で出会える韓国の場」をうたうブックカフェ「チェッコリ」が7日、オープンした。15坪ほどのスペースは小さいながらも「まるごと韓国」だ。陳列棚に置いてある書籍は、原書を中心に約3500冊。ジャンルは人文系、文芸書、児童書、語学、マンガまで幅広い。日本語の翻訳本もある。 読書を楽しむために用意された25脚の椅子は、すべて伝統楽器のチャンゴ型。韓紙とおぼしきアクリル素材の窓を通してテーブルに差し込む外光は柔らかで、落ち着ける。伝統茶と菓子、マッコリ、韓国餅も味わえるので、長時間いても苦にはならない。 韓国関連コンテンツの専門出版社、株式会社クオン(金承福代表取締役)が、中央区月島から神田神保町に移転したのを機に、来店客がくつろげるようにと設けた。マーケティング部スタッフの鈴木文さんは「新しい韓国の姿を本で共有してもらいたい」と話す。 千代田区神田神保町1‐7‐3 三光堂ビル3階。TEL03・5244・5425。 ■□ ネットに活路…高麗書林 高麗書林も同じ千代田区内。老舗の韓国書籍専門店だ。すべての分野の韓国書籍・雑誌など出版物の案内を定期的に製作・発送し、全国の国・公立大学図書館、地方自治体運営の公共図書館、研究機関、個人研究者に好評を博している。 一方、「韓流」をきっかけに韓国を知り始めたという若い世代にはそれほど知られていないのが悩み。現社長の朴炳憲さんには「悔しい思いもある」という。「いつまでも看板にばかりこだわってはいられない」と、94年からは個人をターゲットにネット販売に着手。新規客を少しずつ増やしてきている。 創業は62年9月。朴光洙さん(現会長)が韓日善隣友好関係の発展を願い、先輩から借りた3万円を元手に韓国から原書を輸入・販売したのが始まりだ。当初は「韓国文化センター」の設立を夢見たが果たせず、わずか3坪のスペースを間借りして出版社を興した。 当時、韓国関係の書物は入手が困難なときだった。朴会長は風呂敷に包んで大学や研究機関、図書館を回り、販路を確立していった。 70年代前半には一念発起、ソウルの出版社から原版を買い取り、当時としては珍しい韓日辞典と日韓辞典を処女出版。計16万部を売った。95年には東亜日報社と朝日新聞社を主催者とし、「日韓交流‐過去を踏まえて未来への提言」と題した総額1000万円の懸賞論文を募集したことも。 朴会長は「大学など公共機関の予算削減が影響して売り上げは減っているが、自分が生きている間はどんなことをしても続けていく」という。 千代田区三崎町3‐4‐8 ヤマダビル2階 komabook@komabook.co.jp (2015.7.29 民団新聞) |