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日本語で読みたい韓国の本…おすすめ50選

 日本で翻訳出版されていない韓国書籍を紹介するK‐BOOK振興会(旧K‐文学振興委員会)主催の第2回「日本語で読みたい韓国の本‐おすすめ50選」説明会が昨年12月、東京・新宿区の韓国文化院で開かれた。出版関係者、翻訳家ら150人の参加者は、文芸、人文書、実用書、漫画、料理、児童教育書など、幅広い分野の書籍に高い関心を示した。韓国書籍の情報が乏しい日本で、情報を積極的に発信する同振興会が、2000年以降に韓国で出版された書籍の中から日本で未発表の50冊を推奨本に選定した。そのうち、特におすすめの10冊については概要を、他の40冊は分野ごとに書名・著者名のみ紹介した。

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『殺人者の記憶法』
<文芸・小説>重いテーマに大衆性

 主人公は連続殺人犯だが、残酷な殺人場面などは出てこない。アルツハイマーの症状が進行しつつある主人公の独白で物語が進んでいくため、読者はだんだん思考のぼやけていく患者の内面に入り込み、崩れゆく自我を目撃しているような気にさせられる。生きるとはどういうことかという重いテーマと、ミステリーのような大衆性を併せ備えており、高齢化社会を生きる日本の読者にも無理なく受け入れられる要素を持っている。

 著者/キム・ヨンハ
 出版日/2013年7月25日
 発行元/文学トンネ



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『アトリエの猫』
<エッセイ>日本にはない味わい

 韓国では猫は不吉なイメージがあり、人気のない動物だった。しかし、最近はペットにする人が増えたり、猫カフェができたりと変わってきた。そんな韓国の若い芸術家が生み出す猫の作品は、華やかな色をバックにしたものや民画風のものなど日本にはない味わいで、日本の愛猫家も興味を持つだろう。動物と暮らすことの意味や責任、動物保護の重要性にも言及している。

 著者/コ・ギョンウォン
 出版日/2011年3月15日
 発行元/アートブックス


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『詩で味を出した幸せの韓食』
<文芸・詩>韓国料理を詩で紹介

 76種類の韓国料理を韓国詩人協会のメンバー76人が詩で紹介した作品集。詩人たちが腕によりをかけてつくった料理詩には、韓国の文化、それをつくりだした人々の息遣いが、密度濃く表現されている。どの1篇にも詩人の故郷の水の味、陽光や風の匂い、母をはじめとする親しい人々の声が盛られている。一品ごとにカラーの美しい写真が付され、目でも美味しさが楽しめるよう工夫されている。

 著者/韓国詩人協会編 出版日/2013年6月15日
 発行元/文学世界社


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『古びた日記』
<文芸・小説>「罪の意識」の真実は

 李承雨の作品は、日本ではすでに『生の裏面』『植物たちの私生活』『真昼の視線』の3冊が出版されている。李承雨作品のテーマは重いが、衝撃的なエピソードと謎が読者をひきつける。彼にとって最も重要なテーマは、自分とは何か、生きるということは何かという「実存の探求」である。

 「個人の事実を超えて人間の普遍的な真実を映し出すため、小説という虚構の形式を使用しているのです」とも述べている。『古びた日記』でも「罪の意識」をテーマに普遍的な真実を映し出している。表題作「古びた日記」は、「すばる」(2013年11月号)の「海外作家シリーズ」に掲載された。

 著者/イ・スンウ
 出版日/2008年11月28日
 発行元/チャンビ

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『五歳庵(ごさいあん)』
<児童小説>生きる勇気や希望が

 「五歳庵」は、わずか5歳の男の子が悟りを得て成仏したという伝説をもつ庵からヒントを得て創作された中編童話で、1986年の初版以来、児童文学の古典といわれるほど多くの読者に親しまれているロングセラーで、アニメも制作された。目の見えない姉と助け合いながら自然を友とし、お釈迦様や観音様を喜ばせたいと願う男の子の目に映る世界が、生き生きと美しい文章で描かれている。

 恵まれない環境で育った著者の祈りにも似た切実な思いが込められた童話は、いつの時代に読んでも心に響くものがあり、日本の子どもたちに生きる勇気や希望を与えてくれるに違いない。

 文=チョン・チェボン 絵=ソン・ジンホン
 出版日/2006年5月5日
 発行元/セトム

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『対話』
<人文>闘いを続けた回顧談

 著者は硬骨の知識人、評論家として知られていたが、2010年12月、惜しまれながら他界した。軍事政権時代に独裁政権や分断、反共体制を批判する論考を多数発表し、何度も投獄された。本書は、韓国戦争休戦(1953年)以後、4・19革命(60年)、民主化宣言(87年)に至るまで、その時代の渦中を生き抜き、闘い続けた著者の回顧談。

 著者/リ・ヨンヒ
 出版日/2005年3月10日
 発行元/ハンギル社





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『韓国人の食卓』
<人文・食>人気TVの厳選料理

 2011年1月6日に放送を開始したKBSの人気番組「韓国人の食卓」を書籍化したもの。制作チームが厳選した30種類の韓国料理を4つのテーマ(故郷の味、自然の味、時間の味、時代の味)に分類して紹介している。いくら手間がかかろうとも、歴史と伝統に基づく昔ながらの調理法を貫く人々。そんな人たちに焦点を当て、韓国の食文化の奥深さと豊かさを丁寧に描いている。韓国料理のパワーブロガーとして有名なファン・ギョイッのコラムも収録されている。

 著者/KBS『韓国人の食卓』制作チーム
 出版日/2011年11月21日
 発行元/SEEDPAPER


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『昔の人たちはどのように暮らしたのだろうか』
<児童教育>風俗画をわかり易く

 朝鮮朝時代に描かれた風俗画を児童向けに解説している。見開き半分に風俗画写真を掲載し、残り半分に解説文を入れた構成も大変見やすく、解説の重点に「絵画に描かれた人物たちがいったい何をしているのか」を据えているので、絵画の美しさ、意味と同時に、被写体になった人物たちの暮らしぶりも理解できる内容。

 絵画を通し、朝鮮朝時代から引き継いだ韓国の伝統的な庶民生活も理解できるので、日本では児童だけではなく、むしろ韓国史や「韓流時代劇」に関心のある成人読者層も楽しめる内容だ。

 著者/チョ・ウンス
 出版日/1997年7月15日
 発行元/創作と批評社

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『未生/ミセン(1〜9巻)』
<漫画>ビジネス界リアルに

 囲碁のプロ棋士を目指していた若者がプロ入段試験に失敗し、いきなり放り込まれた商社で壁にぶつかりながらも、会社に適用しようと必死に働きながら人間として成長していく過程を描いたビジネスコミック。韓国の若者が置かれた現状を淡々と描き、「未生世代」なる流行語まで生み出した本作品は、囲碁という特殊な世界で育った主人公チャン・グレを通して、今の韓国ビジネス界をリアルに描写し、幅広い層の読者から共感を得ている。世紀の囲碁対局の独特なタッチの解説は、囲碁を知らない人にも興味を持たせる。

 著者/ユン・テホ
 出版日/2012年9月15日〜2013年4月30日
 発行元/ウィズダムハウス


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『観点をデザインせよ』
<ビジネス>固定観念の打破とは

 観点デザイナーという職業を自ら確立した著者が「観点のデザイン」という表現で、固定観念を打破することの重要性を簡潔明瞭に解説している。小難しい理論展開は一切ない。想定外の物は目に映っていても認識しない人間の脳や、見方や条件がひとつ変わるだけで、精神に障害を持つ女性が親孝行者に様変わりする話など、目からウロコの分かりやすい例が満載。そもそも観点とは何なのか、観点をデザインするとはどういうことなのか、デザインすることによって何が変わるのか、明確に見えてくる。 著者/パク・ヨンフ

 出版日/2013年7月12日
 発行元/フロムブックス



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言葉の壁が育てる文化
中沢 けいさん K‐BOOK振興会会長(作家)

情報が入り易いよう

 今回、K‐文学振興委員会をK‐BOOK振興会に名称を変更しました。文学以外にも幅広いジャンルの書籍を紹介するため、内容に適合する名前に変えました。

 振興会の仕事は、基本的には韓国の書籍を出版して下さる日本の版元に情報を届けるというのが一番の目的です。地味な活動になると思いますが版権交渉の問題、翻訳の問題を含めて、店頭で皆さんに手にとっていただける出版物にするための交渉を1件ずつしていくことになると思います。

 70年代以降、外国文学の翻訳が売れなくなっています。残念ですが、外国文学の中でもアジア系の文学は翻訳されても興味、関心を持って勉強している人に限られる上、韓国文学の情報が少ない。日本の文学に関してはソウルの教保文庫などに行けば、かなり同時期的に翻訳されて本が並んでいる。ある意味、文学に関しては日本からの輸出超過状態だったので、それをもう少し、風通しをよく、情報が入りやすい道を作ろうというのが最初の動機です。

 映画や音楽に比べると、文学は言葉の壁があるということを良く言われますが、私は言葉の壁がある方がいいと思っています。つまり、言葉の壁があるところには、それだけ仕事があるということです。

 皆、話が通じたら1冊の本を2種類出さなくてすむとか、言葉の壁って裏返せば活発な経済活動を促していく競争になる。多分、ヨーロッパに言葉の壁がなかったら、ヨーロッパの文化はあんなに発展しなかったと思います。ドイツ語やフランス語、イタリア語という別々の固有の言葉があり、その中で違うものを作っていけたから、あれだけ豊かなヨーロッパの文明が栄えた。言葉の壁はちょっと不自由ですが、大きい目で見ればむしろ、いいことだと私は思っています。

 だから今、私たちも言葉を探している最中で、それぞれの国の固有の文化という言い方を避けてはいます。文化にしろ文学にしろ、固定的に固有ととらえるのではなく、相互に影響し合いながら、地理的条件や生理的条件が違うから、違うものができた、という感覚をうまく説明できればいいなと思っています。

(2014.1.1 民団新聞)
 

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