| 1968年韓国生まれ。国立順天大学機械工学科卒。95年に永山機械交易設立。東京韓学PTA総会長。
|
国内外に免税店などを展開 永山の張永軾社長 東京・秋葉原本店や地方空港に免税店12店舗などを運営し、ブランド品から日用雑貨にいたるまで2万アイテムの商品を取り扱う。韓国と中国の現地法人をはじめ、全世界にビジネスネットワークを有する。社員は約150人、昨年の売上額は100億円超。 「社内には日本、韓国、中国、フィリピン、フランス、インドの6カ国の社員が働く。国籍や人種、学歴に関係なく、集団が共通の夢に向けてグローバルマーケティングをめざしている」 韓国で大学卒業後、日本の先進技術を学ぼうと、93年に留学。「焼肉店で鉄板洗いや新聞配達などのアルバイトをしたが、大変だと思ったことはない」 規制の壁に風穴 95年に永山機械交易を設立、電化製品の輸出入に従事した。「リヤカーをレンタルして冷蔵庫2台を積んでは運んだ」という。 2001年にソウル支店を開設。03年、電気街秋葉原に免税店を出店したのが「人生のターニングポイント」になった。在日同胞による免税店の運営は珍しい。「壁は常につきまとう。いかにして風穴を開けるか、チャレンジ精神が大切」と強調する。 06年に永山(エイサン)に社名変更し、札幌や大阪、境港のほか、茨城、広島、米子、高松、岡山の各空港に免税店を相次いで出店した。 「路線の少ない茨城空港への出店を疑問視する人が多かったが、今では『韓流』2号店もあり、大賑わいだ」。このほか、日本政府や大都市の入札資格を取得し、電子製品などを納入する。 事業の柱は、百貨店や地方自治体に納入する法人向け販売と、海外輸出入、免税店経営、ネット販売の4つ。 「官公庁や日本企業との取引を認められるには実績が必要で、さまざまな条件をクリアしなければならない」。粘り強さには定評がある。 免税店は多種多様な商品で人気を呼んでいる。「顧客を満足させることが大切」。みずから市場調査するとともに、持ち込まれる商品のテストも直接自分で行う。裏方の仕事もいとわない。「基本的に休日はない。趣味は仕事」と断言してはばからない。 会社の成長とともに社員数も増えた。会社の経営法について本格的に学ばねばと、早稲田大学大学院に2年間通い、MBAを取得した。 「自分の成長にとって大きな体験だった。会社の組織運営や経営、ファイナンスなどさまざまなことを学んだ。経営者が勉強しないと時代に遅れる。時間があれば、講演会場に顔を出す」 在日社会に貢献 「社会に貢献したい」との思いが強く、民団や韓商、韓国学校などの役員を務める。「日本で同胞組織の基盤作りをした諸先輩と交わりながら、その意志を継承していきたい」 昨年の東日本大震災に際しては、下関経由で韓国から食料品を運び、福島県いわき市に届けた。「人が困ったとき、国籍に関係なく、助けてあげるのは当然だ」 日本の歴史書が好きで、現在、『徳川家康』(山岡荘八著)の韓国語版『大望』18巻に取り組んでいる。「歴史とともに日本の文化、伝統も学べるから」 ◆(株)永山=東京都台東区浅草橋2―2―6(tel03・5833・3877) (2012.9.26 民団新聞) |