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韓日の狭間で生き抜く「サクラ」
沈剛万さん
感動ノンフィクションまず日本語版

ゾウに託す共生の願い
子ども向け大賞作品

 渡韓したゾウの物語を綴った在日韓国人3世の児童文学作家、沈剛万さん(47・ペンネーム金晃=京都市左京区)のノンフィクション作品「サクラ−日本から韓国へ渡ったゾウたちの物語」が3月、学習研究社から出版された。03年5月、韓国の動物園に引き取られたサクラに、在日3世として韓日の狭間で生きてきた自身の境遇を重ね合わせる。そこからサクラが「韓日共生のシンボル」になり、この物語が両国の友好発展に役立ってくれるようにと願う。韓国での出版も控えており、共感の輪は広がりそうだ。

いじめに涙 在日3世・沈剛万さん
「同じ境遇、ない世界を」

 「サクラ−日本から韓国へ渡ったゾウたちの物語」は昨年、日本児童文学者協会主催の「第1回子どもための感動ノンフィクション大賞」で最優秀作品賞を獲得した作品だ。サクラはメスのアジアゾウ。兵庫県宝塚市の宝塚ファミリーランドの人気者で、宝塚大劇場の舞台に立ったこともある。

 03年4月、ファミリーランドが閉園し、サクラは引き取りに手をあげていた施設の一つ、韓国の「ソウル大公園」の動物園で飼われることになった。新しい環境にも適応し、たくましく生きている。「ソウル大公園」が行った人気投票では、3位につけるほどの人気者だ。日本と同様、韓国でも愛されながら暮らしている。

 これまで多くの動物を題材に人間と動物の共生、生き物がつなぐ韓日などをテーマに作品を発表してきた沈剛万さん。小学校2年生から日本の学校に編入した沈さんは、同級生の格好のまとになり、連日のようにいじめを受けた。

 さらに当時の教師は沈さん1人に鳥小屋の飼育係を命じた。このときの動物との初めての触れ合いが、のちの作家としての方向性を決めることになる。

 その後、沈さんへのいじめを止めさせたのが韓国から編入してきた「金晃」さんだ。2人は急速に仲良くなったが、沈さんが中学から朝鮮学校に進学すると告げたことから「金晃」さんとの仲が険悪になった。その後、「金晃」さん一家は帰国。以来、音信不通のままだ。

ペンネームに秘めた思い

 ペンネームを「金晃」にしたのは、「小学校のとき、金晃さんに助けてもらった思いを今も持ち続けているから。いつか自分が立派になったとき、また会ってみたいという願いを込めて使っている」と胸の内を語る。

 大学卒業後、家業のクリーニング店を継いだ。本当は動物園の飼育係や、獣医師になる夢を持っていたが、「韓日の狭間でいろいろな苦労をした」と多くを語らない。児童文学を目指した根底には小学校でのいじめ体験があったからだ。「子どもと動物に国境はない。ただ、この2つのために頑張っているだけ」

 沈さんがサクラの存在を知ったのは、03年3月19日の新聞記事だった。この間、韓国で取材をするために韓国籍に切り替えた。04年7月、北韓と韓国のトラとの間に生まれた「統一トラ」、豊山犬の取材で、「ソウル大公園」の動物園に向かった。同時にサクラの様子も確認しようとしたが、取材がうまくいかずに帰日した。

 サクラの前に渡韓した2頭のゾウは不幸な運命をたどっていた。「日本から韓国に行ったサクラが私たち在日と同じ境遇に思えた。サクラが苦労していないか、愛されているのかと心配になり、その過程をまとめようと思った」

 05年1月、再び韓国へ。取材を進めながら韓日の知人を介して、膨大な資料を探し出してもらった。同年10月には元飼育係の江草史朗さんとの対面がかなった。コンテスト締め切りの2週間前だった。徹夜しながらひたすら原稿を書き続けた。このとき励ましになったのは妻の「韓国の金晃さんに会う夢をあきらめないで」という言葉だった。

 「日本で優れたものを書けば、韓国の子どもたちに届く。韓国で優れたものを出せば、日本でも発売される。日本で生きものを守った経験は韓国の教訓になる。韓国の生きものを守ることは日本の生きものを守ることになる。両国の生きもののために書いていきたい」。沈さんの眼差しにぶれはない。

(2007.4.25 民団新聞)
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