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<社説>核不拡散・廃絶へ重い韓日の使命
凄惨な被爆体験原点に

 国連本部で開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会で、広島市長と長崎市長は核兵器の廃絶を訴えるとともに、オバマ米大統領をはじめ核兵器保有国首脳に広島・長崎への訪問を呼びかけた。両市長は世界約2900の都市が加盟する非政府組織「平和市長会議」の会長、副会長としての演説だった。

プラハ演説以来

 両市長はその後、米議会を訪問して下院議員らにオバマ大統領の被爆地訪問の実現に向け協力を要請したほか、クリントン国務長官を共同で招待することを検討しているとも明らかにした。プラハ演説以来、両市を中心に日本社会にはオバマ大統領が被爆地を訪れるよう期待する声が高まっている。

 オバマ大統領のプラハ演説は、目標への到達は容易でないとしながらも、「米国は核兵器のない世界へ向けて確固とした第一歩を踏み出す」ことを宣言した。日本社会がこの演説を評価したのはその力強さもさることながら、「核を使用した唯一の保有国として行動する道義的責任がある」と言及したことにある。

 国際社会は今、核兵器の拡散を防止して廃絶へと向かうことができるのか、それとも拡散防止に失敗してこれまで以上に核の脅威に脅える時代を迎えるのか、岐路に立っている。核兵器所有国であるパキスタンの政情不安とタリバーンの攻勢、核兵器と長距離弾道ミサイルの開発で連携する北韓とイランの動向、さらには国際的なテロ組織による核兵器奪取の動きなど、見過ごせない連鎖がある。

 核兵器の開発を進める北韓の直接的な脅威の下にありながら、その核兵器に独自に対応する手段を持たない韓国と日本は、自国の安全保障のために対米同盟の維持・強化と合わせ、不拡散から廃絶へと至る国際的な枠組みの強化を最重要な課題とする。国際社会の利益に合致するこの取り組みに、韓日両国はがっちりと連携して最善を尽くすべきだ。

 世界で最初に核兵器を開発し、世界で最初に用いた米国が、自らの「道義的責任」を全面に出したのは、核保有強大国のなかでも特殊な立場にあり、それがゆえに最も重い責任を有していることを明確にした。事実上の自責の念の表明が持つ意味は大きい。オバマ大統領の広島・長崎への訪問が実現すれば、そのメッセージ性はより確固としたものになろう。

韓国人慰霊碑に

 オバマ大統領らの広島訪問の際には是非、平和記念公園内にある「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」にも立ち寄ってくれるよう、関係者の配慮をくれぐれも求めたい。これは何も、日本の唯一の被爆国としての凄惨な事実を、植民地支配の歴史によって中和するためではない。北韓の核兵器を廃絶に追い込み、核廃絶を世界化していくための韓日連携強化の鎹(かすがい)にしたいためだ。

 最初の被爆地である広島で約4万人、次の被爆地である長崎で約2万人の同胞が被爆し、計6万人のうち約4万人が死亡したと推計されている。解放された故国に帰還できたのは2万数千人に過ぎない。そしてこの同胞たちは、在韓被爆者として過酷な人生を過ごさざるを得なかった。このもう一つの凄惨な事実の象徴が「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」だ。

恩讐超え結束を

 この慰霊碑は当初、平和記念公園内での建立を許されなかった。同じ被爆者でもいわれのない差別がつきまとった。在韓被爆者についても、日本政府は長い間、無援護状態のまま放置した。これらの問題をめぐって、韓日間に葛藤が続いた時期もあった。しかし今、一番に問われるべきは今後の核脅威への果敢な対応である。

 「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」の存在をクローズアップすることは、日本人には多くの韓国人が犠牲になった事実を、北韓の軍事的な脅威にさほど敏感でない韓国人には核兵器の恐怖を、それぞれ身近なものにするだろう。ともに被爆者を抱え、被爆の凄惨な歴史を共有する立場から、韓日両国が恩讐を超えて結束し、核のない世界づくりの先頭に立つ契機とすべきである。

 オバマ大統領が提唱する世界核安全保障サミットの開催地に、最初の被爆地である広島市が選ばれる可能性は小さくない。韓国政府も在日同胞もまずは、その実現に惜しみなく協力すべきだ。こうした動きそのものが、韓日両国とはそれぞれ特殊な関係にある北韓に強い圧力を加え、核の不拡散・廃絶への流れを世界の奔流にしていく力強い動力となるだろう。

(2009.5.13)
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