地方本部 HP 記事検索
特集 | 社会・地域 | 同胞生活 | 本国関係 | スポーツ | 韓国エンタメ | 文化・芸能 | 生活相談Q&A | 本部・支部
Home > ニュース > 参政権
<第59回定期中央委>2005年度総括報告(案)
扶桑社発行の歴史教科書を採択した栃木・大田原市教委への抗議
(上)ソウルでの「在日100年写真展」、(下)オープンした歴史資料館
多様な課題に貴重な成果
『総体的な状況』節目の年に困難相次ぐ


 2005年は、光復(解放)60周年、韓日国交正常化40周年、そして在日同胞が生成する契機となった乙巳条約から100年目という節目の年でした。韓・日両国政府は、国交正常化40周年を記念する「韓日友情の年」として位置づけました。本団は世界万国博覧会が愛知県で開催されることから、韓日間のより一層の交流と共生社会実現の絶好の機会として受けとめ、期待をもって臨みました。

 しかし、年初めから独島領有権問題や歴史教科書問題、そして靖国神社問題が再燃したばかりか、私たちの願いである韓半島の平和と安定に影を落としている北韓の核開発問題の平和的解決をめざす第5回「6者協議」も先行きの見えない状況でした。

 このように、内外ともに困難さが山積みの情勢でしたが、「時代を逆行させてはならない」との各級組織幹部の決意のもと、一致団結した取り組みによって、それぞれ貴重な成果をあげることができました。

■□
【祖国統一と在日和合】 全国24地方で80件を推進

 2000年の南北共同宣言から5周年でもあった昨年、北韓の核開発をめぐる「6者協議」が1年2カ月振りに再開され、共同声明が採択されるという前進がありました。

 しかし、段階的廃棄と援助の同時並行を求める北韓と無条件核廃棄を求める米国との隔たりは大きく、協議終了直後から再び対立しました。さらに、日本社会にあって最大の関心事となっている拉致問題は、日本人だけでなく複数の国に及んでいる疑惑が浮上し、昨年末の国連総会では拉致問題を含む北韓の人権問題に対する非難決議まで採択されました。

 本団は、東北アジアの平和と安定に韓半島の非核化は不可欠であるとの立場から「6者協議」による平和的な解決を願いつつ、在日同胞社会の和合にむけて積極的に取り組んで来ました。

 まず大統領の諮問機関である「民主平和統一諮問会議」12期目にあたり、日本地域協議会は機能と効率を高めるために、4協議会に改編、出帆しました。大統領官邸と結んだ世界初の国際画像会議という12期出帆式において、本団がこの間進めてきたIT技術を活用し、成功的開催に寄与しました。

 さらに日本地域協議会は日本・韓国・在日の学識者を一堂に集め「東アジアの平和と安定をめざすシンポジウム」を大阪で開催、識者の貴重な提言と在日同胞諮問委員の真摯な姿勢、民団と表裏一体となった活動を通じて協議会の位置を高めることができました。

 非政治的・人道的次元で推進してきた在日同胞社会の交流と和合事業は15年目を迎えました。光復60周年の年に当たり「真の解放は祖国の平和統一と在日同胞社会の和合が成就したその日」という姿勢のもと、総連との共同祝祭を模索しました。

 中央本部次元での祝祭は実現に至りませんでしたが、京都、山口、大阪がさまざまな課題を乗り越えて合同祝祭を実現させたほか、全国24地方80件のさまざまな和合事業が実現しました。

 また、光復60周年を記念したソウル祝祭には、南側準備委員会の招待を受け、本団代表20人と海外韓人会の代表、総70人余が参加しました。韓半島の平和と安定に向けた本団と韓人会の毅然とした姿勢を南・北・海外の準備委員会、ならびに本国国民に向けて発信できたことは、今後の参与方法の模索にとってよき事例となると確信するものです。

■□
【福祉事業と生活権拡充】 高齢者救済へ着実な歩み

 「老人ホーム」の建設に向けて具体的に取り組んだ一年でした。地名度と便宜性などを考慮した郊外型施設の熱海市と東日本地域の同胞多住地における都市型施設に絞り、自治体交渉や土地調査を進めてきました。

 しかし、施設整備助成金制度の変更と介護保険制度の改定によって、自治体は整備計画を見直さざるを得ず、計画を明示する自治体が少なくなっている状況でした。静岡県知事の「広域圏施設」認可取得をめざす交渉には、本旨に賛意を示してくれた本国政府要路からの支援もありましたが、このような事情から一旦、保留せざるを得ませんでした。

 都市型施設については東京都足立区から好意的な反応と施設地購入について唯一補助金を見込めるだけに適切な土地の収用に努力してきました。認可申請までしましたが、地域住民の同意、資金調達に関する認識の相違など、足立区の要請を受け、次年度に備えることになりました。

 また、「ウリ支部ウリチャラン運動」の一環として、会館の有効活用の一つの方法として福祉事業の展開を訴えてきましたが、徐々に定着しつつあります。昨年は2支部で新設され、現在5地方本部(東京・愛知・大阪・兵庫・滋賀)12支部で取り組まれております。専門知識を持つ同胞有志のボランティアの協力や自治体の支援などを得て、地域同胞社会の活性化に繋がっております。このような福祉事業を通じて同胞の絆を新たにする契機となればと思います。さらに波及することが期待されます。

 生活権拡充運動として推進してきた高齢者・障害者無年金問題は、自治体合併により高齢者・障害者給付金を支給する自治体が増えてきました。本団は継続して、韓日近代史の生き証人であり、もっともつらい時代を生き抜き、差別状態におかれている1世高齢者に対する救済措置を求めてきましたが、昨年4月1日から実施された無年金障害者救済法も、1世世代を除外したままです。

 このような状況の中で、日本の市民団体の協力を得ながら成果をあげた兵庫県本部、総連との共同要望で実現した京都府本部の成功事例を今後の参考にしたいものです。この問題は私たちが地域住民としての要望の声をあげれば、地方自治体は受け入れてくれるでしょう。すべての1世世代へ給付が一日も早く実現できるよう、決意をあらたにしたいと思います。

■□
【地方参政権の獲得運動】 本国の先行ふまえて拍車

 「韓日友情の年」を地方参政権獲得の好機と受けとめ、本団の一致団結した姿勢を内外に表明するとともに、日本に定住する外国人全体の声を集約する「市民ネット」との連帯を図りつつ取り組みました。

 第86周年三・一節では、全国の地方本部で「地方参政権容認最高裁判所判断10周年」集会を持ち、決意新たに要望活動を展開する一方、市民ネットと共催して国会開会中に院内集会を持ち要望活動を展開しました。

 参政権運動を大きく前進させたのが、韓国国会において6月30日、19歳以上の永住外国人に対する地方選挙権付与法案が通過したことです。永住外国人を地域住民として受け入れるアジアで最初の国になりました。

 1999年、金大中前大統領に正式に要望して以来、あらゆる機会を活用して粘り強く要望してきた本団の大きな成果であります。一部議員らが主張してきた相互主義を掲げた地方参政権反対論の根拠を崩すとともに、本運動を支持する良識的な人々の志気を高め、運動に弾みがついた点を高く評価したいと思います。

 その影響の一つは、5回目の法案提出をした公明党の姿勢であり、ソウルで開催された韓日・日韓議員連盟第31次総会において出された共同声明であります。

 さらに、地方議会意見書採択にも好影響を及ぼし、再編前の自治体では4議会が、合併した自治体では14議会が意見書を採択しました。九州地方では、中央が地方幹部とともに公館の協力を得て積極的に活動を展開しました。住民投票権をみますと、昨年26自治体が増え200自治体(1都1道2府37県:26市1特別区141町32村)となりました。

 昨年末には、国際人権デーにあわせて大阪で「地方参政権早期実現日韓・在日シンポジウム」を開催し、決意を新たにする契機となりました。本団の幹部は勿論、さまざまな市民運動体が参加した中で、韓国からは法案成立を主導した議員と日本で真摯に取り組む国会議員の参加のもと、現況と課題、そしてその意義を確認しあいました。 このようなシンポジウムが各地で開催される必要性と、あわせて参政権獲得のために忍耐強く取り組む姿勢を共有することができました。同様の市民シンポは昨年、兵庫県、岡山県、鳥取県で意欲的に開催されており、地域社会からの支持の輪を広げる契機となっています。

■□
【歴史認識と教科書問題】 歪曲阻止へ挙団的な活動

 「歴史教科書問題」は日本人の歴史認識というだけでなく、国際的な関心事に飛火しています。

 本団は、民族感情に流されないように留意しながら、「望ましい歴史認識に立脚した歴史教科書採択要望運動」を展開し、0・406%の採択率に抑える一翼を担いました。中央本部から傘下団体までが一体となった挙団的な運動として、日本全国の教育委員会に訴えました。

 在日同胞と日本人の専門家(大学教授)、そして市民運動体の幹部が中心となって執筆したパンフレット『今知ってほしいこと(日本語)』」と漫画「進もう未来へ!いっしょに世界へ!」の配布活動は、問題意識の浸透に大きな助けとなりました。

 韓・中・日3国が共同編集した「未来をひらく歴史』の購読運動では、本国の各教育庁と著名な経済人団体の物心両面の支援もあり、本運動推進に大きな助けとなりました。

 このたびの成果は何よりも良識ある日本の教育関係者の歴史認識と市民団体、そして保護者の問題意識と努力によるものであり、本国の関係各部処と市民団体の支援と協力によるものです。

 また、教育委員会を直接訪ねた地方本部・支部・傘下団体の幹部の献身的な努力であります。特に、青年会のメディア戦略は国際的に問題を拡大させる大きな助けとなりました。同様に婦人会の研修会と要望活動は、関係者の心を動かしました。

 一方、「在日韓人歴史資料館」は、在日同胞の出発の契機とした乙巳条約(勒約)100年目の昨年11月に開設しました。全組織幹部の参与という趣旨で始めた開設募金も目標額を達成しました。今後さらに中身の濃い資料館となるよう取り組みます。

 長い間宿願であった「在日コリアンの歴史教科書」も発刊することができました。初めての試みで難しい点がたくさんありましたが、歴史観や客観的な視点、さらに資料収集と分析など、今後補完していけば、望ましい教材となると思われます。次世代の民族的アイデンティティーを育む上で積極的に活用していかなくてはなりません。

■□
【組織改革と活性化事業】 開かれた民団へ規約改正

 21世紀初頭の同胞社会を展望し、全在日同胞を束ねる指導母体としての民団のあり方をめざして組織改革の継続と組織活性化に努めてきました。

 まず、昨年、臨時中央大会を開催、「在外国民団体」を基本として韓半島に根を持つ同胞たちが幅広く参与できる「民族団体」へ移行する規約改正がなされ、日々同胞と接している支部の活性化をめざして「選挙人制度」の導入と時代の変化に迅速な対応をめざす中央委員会の強化が図られました。

 このように、「開かれた民団」をめざす努力は機関紙、ホームページをはじめ、18地方本部の幹部研修会においても周知徹底されました

 「望ましい歴史認識に基づいた教科書の採択を求める運動」は研修とともに、支部・本部・中央幹部による共同要望活動が20地方、61の教育委員会に向けて展開されました。各地方本部においても全採択区教育委員会に対する積極的な要望活動が展開されました。このような実践活動を通じて、幹部相互間の連帯意識を高める契機となったと思います。

 この間、推進してきました「IT全国化」は着実に進んできました。全国ネットワーク化を目標とした「団員登録ネット」の保安システム(VPN)が完成し、2006年度からの「電子民団」化への基盤が構築され、団員に向けたさまざまなサービスの迅速配布と処理も可能となるでしょう。幹部相互間は勿論、団員との迅速な情報交換と共有を通じて、組織活性化の良い契機となるでしょう。民団ホームページはハングル版、英語版も導入され、現在は地方版の入力も可能になるなど刷新されました。民団ホームページへの訪問者は一日平均5300人、昨年6月から今年1月末まで累計16万2500人に達しています。

 また、一昨年から視聴覚を活用した研修システムを導入しておりますが、より見やすい内容へと改善を進める一方、昨年から動映像化を試み、ホームページへ導入しました。このような取り組みは京都、神奈川などの本部でも始まっており、動映像を通じた組織活性化の端緒が開かれたと評価できます。

■□
【万博後援と各種の事業】 韓日友好に存在感を示す

 昨年3月25日から9月25日まで愛知で開催された世界万国博覧会に対して、本団は開催地の民団愛知県本部に事務局を置き、1万人の参観団募集事業をはじめ、さまざまな支援事業を展開してきました。

 5月11日の「韓国ナショナルデー」に合わせ、全国組織幹部拡大幹部会議や海外韓民族代表者協議会の運営委員会を開催するなど、雰囲気の高揚に努めました。当日の参観目標は大幅に超えて全国から3千人の同胞が駆けつけました。

 さらに、韓国館は当初目標の150万人を大幅に超え、350万人が来館するなど、最優秀館として評価を得ました。韓日間の架け橋的な使命を担って努力をしてきた私たちの大きな喜びでもあります。

 一方、在日同胞経済界は長期にわたる不況により引き続き困難な中にあります。同胞経済の血脈である信用組合は、本国政府からの支援金をもとに、あらゆる努力を傾注しております。

 該当地域の信用組合を中心に、民団、韓商、韓信協が三位一体となって努力する一方、基盤強化のための合併が徐々に進展しており、今後とも持続的な努力が必要であります。

 毎年秋恒例の「10月のマダン」は、全国32地方34カ所で同胞の絆を厚くする多彩な企画で開催されました。日本の市民祭りとの共催が増加し、参加者も飛躍的に増大していることは、私たちの存在が地域社会に広範囲に受け入れられていることを意味しています。また、在日文化の継承と発展、そして共生するマダンとして発展・拡大していることは大きな励みであります。

 その他にも、総連同胞の母国訪問団事業も30周年を迎えました。参加者は延べ5万人にのぼり、この間、韓国に対する総連傘下同胞の誤ったイメージを払拭する契機となったばかりか、離散家族の再会も数多く実現させました。「望郷の丘」も設立から30周年を迎え、大々的な「望郷祭」を挙行する中で遺骨奉還を行いました。

 このように、21世紀の明るい在日同胞社会を展望し、歴史的な節目の年にあたって膨大な諸般事業を成果的に推進できたことは、各級組織幹部の労苦の賜物であり改めて感謝する次第です。

 今年は創団60周年を期して、積み残されている課題を実現し、さらに「開かれた民団」、そして発展する民団をめざす決意を新たにし、総括報告といたします。

(2006.2.15 民団新聞)
最も多く読まれているニュース
差別禁止条例制定をめざす…在日...
 在日韓国人法曹フォーラム(李宇海会長)は7日、都内のホテルで第6回定時会員総会を開いた。会員21人の出席で成立。17年度の報告があ...
偏見と蔑視に抗って…高麗博物館...
 韓日交流史をテーマとする高麗博物館(東京・新宿区大久保)で企画展「在日韓国・朝鮮人の戦後」が始まった。厳しい偏見と蔑視に負けず、今...
韓商連統合2年、安定軌道に…新...
金光一氏は名誉会長に 一般社団法人在日韓国商工会議所(金光一会長)の第56期定期総会が13日、都内で開かれた。定数156人全員(委任...
その他の参政権ニュース
韓日友好どう進める…日本与...
 今年は「韓日共同宣言」から20周年の節目の年に当たる。昨年秋には、韓日の民間組織が共同申請していた朝鮮通信使がユネスコの世界記...
<寄稿>平和の象徴朝鮮通信...
韓日国交正常化50周年記念共同でユネスコ遺産登録を善隣をより確かに…多彩なイベントで盛り上げよう 明けましておめで...
申請を1人でも多く…大統領...
在日の意思反映へ…団員ら、決意集会で確認 12月19日の第18代大統領選挙に向けた在外選挙人登録申請および国外不在...

MINDAN All Rights Reserved.