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『ブラザーフッド』が描く韓国戦争(04.6.23)
6月26日から封切りの『ブラザーフッド』

<同族相食んだ記憶>鮮烈に
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 

民族的同質性回復への道

風化させず、克服してこそ

 『太極旗を翻して』が『ブラザーフッド』に改題され、この26日から日本各地で一斉に公開される。1950年6月25日に北韓人民軍の南侵によって勃発した韓国動乱を舞台に、「極限状態のなかで翻弄される凄まじくも哀切な兄弟愛」を描いた超大作だ。韓国での観客動員が1100万人超の新記録を樹立した話題性に加え、折からの韓流ブームもあって前評判は上々のようである。

 『シュリ』『JSA』『シルミド』と続いたいわゆる南北物ヒット作は、分断状況から派生した局部的なモチーフに焦点を合わせ、そこから南北関係の不条理に敷衍(ふえん)して見せた。韓半島問題に関する知識の多い少ないによって、見る側の理解度は随分と異なったはずである。『ブラザーフッド』は逆に、3年余にわたった同族相残の国際戦争であり、分断固定化の決定的な要因となった6・25動乱という大きな歴史事実を真正面から取り上げ、一組の兄弟を軸にストーリーを組み立てた。

 その点で、これまでの南北物に比べて分かりやすく、インパクトも強いはずである。日本人はもちろん父祖の地の歴史に馴染みが薄い若い同胞たちがエンターテイメントを通して、50数年前の凄惨な出来事を身近に引き寄せ、分断という桎梏(しっこく)の意味を考えるきっかけになればと願わずにいられない。

 この作品には、一連の南北物と通底しつつ、それを超えようとするメッセージ性がある。

南北物ヒット作の系譜

 『シュリ』に続いて『ブラザーフッド』をヒットさせた姜帝圭監督は、太陽政策(包容政策)を支持する立場を明らかにしている。この政策は、侵略・挑発は許さない、吸収統一はしない、平和を固めつつ対話・交流を積み重ねて統一への道を開こうとする、本来ならバランスのとれた政策である。しかしここ数年、宥和に偏り過ぎるとの批判が高まっていた。その背景には、北韓の核開発疑惑の再浮上にともなう国際環境の急変、北韓の南北関係に臨む不誠実な態度などが重なったことに加え、若い世代の反米・親北的な傾向と連動していることへの既成世代の懸念がある。

 一連の南北物は、そうした懸念に正面から挑むものといえるかも知れない。金日成の首を獲る北派工作員としての猛訓練に耐えながら、政府の対北政策の転換によって抹殺される運命となった男たちの物語『シルミド』は、冒頭の武装共匪ソウル侵入事件(68年)のフラッシュ以外、敵愾心を集中させる対象であるべき北韓の実体は捨象したまま、やり場のない怒りを膨らませる男たちに「赤旗の歌」を歌わせた。あってはならないはずの南北兵士の交流を描いた『JSA』では、南の兵士は北の年長兵士に親愛の情を込めて「兄(ヒョン)」と呼んだ。

 『シュリ』では北韓特殊部隊隊長に、「北の人民が土を食うほど飢えているのに、ここの連中はだらしなく太ったブタのように飲み、食い、反吐をはいている」と言わせた。そして『ブラザーフッド』では、自分の将来を託す弟を守るべく韓国軍兵士として英雄的な働きをした兄が、対北協力者のレッテルを貼られた婚約者を殺され、弟まで殺されたと思い込み、憎しみの末にある行動をとる設定になっている。

「民族史上最後の戦争」に

 既成世代にとっては隔世の感があろう。現在でも韓国国軍にとっての主敵はあくまで北韓人民軍であり、北韓に連動する反国家的活動や利的行為を厳しく規制し、対南工作活動を阻止する根幹として国家保安法が存在する。それにもかかわらず、韓国の観客は南北物がもつある種のリアリティーに魂を揺さぶられたのだ。だからこそ、各作品が観客動員記録を次々に塗り替えたのである。その根っこには、長い間、敵視の対象としてのみ認知され、関係を断絶されてきた北韓の人々に対するシンパシーさえ見てとれる。

 戦争の記憶が風化するなか、韓国ではいま、民族的な同質性の回復を優先しようとする時代的な空気と、対北警戒意識の弛緩に危機感を抱き、安全保障体制を堅持しようとする意識が混在していている。一連の南北物は、こうしたせめぎ合いのなかで生み出されてきた。

 姜監督は「私たちは戦争の痛みと苦痛の実際を理解する必要がある」といい、「韓国戦争が私たち民族にとって、歴史上最後の戦争となることを痛切に祈りながら、『ブラザーフッド』の撮影をした」と語っている。

 執拗に映し出される戦闘・殺戮シーンは、誰がなんのために始めた戦争かを同時進行で問い直させ、やがて問い直す意味を失わせるほどに凄まじい。加害者と被害者が交錯し、結局は被害者しかいなかったというあまりに重い歴史事実。改めてえぐり出された〈同族相食んだ記憶〉こそ、風化させることなく克服するものであることを鮮烈に呼び覚ました。(D・J)

(2004.6.23 民団新聞)
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