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<民論団論>脱北偽装スパイ事件 在日社会にも脅威
脱北同胞を標的…「総連関係者も協力」とは

 金剛山観光に訪れた韓国人女性を一方的に射殺した事件だけでもやりきれないのに、今度は、脱北者を偽装した女スパイ事件が韓国当局によって摘発された。卑劣な北韓当局に対して憤激を通り越し、哀れみさえ覚える。

二重の罪犯す

 とくに許せないのは、日本にまでやってきて工作活動を行い、それに朝総連関係者が協力していたことだ。北韓から命がけで脱出した元在日同胞たちは、日本で社会的な弱者として細々と暮らしている。彼らの動向を調べていたのは救済・保護が目的ではない。何らかの圧力や危害を加えようとする企図は明らかだ。

 この人たちはかつて、朝総連が北韓を「地上の楽園」と偽って送り込んだ人たちではないか。北送だけでもすでに十分に犯罪行為であるのに、それに輪を加える犯罪行為と言うべきだ。民団が運営する脱北者支援センターの活動も、それによって脅威を受けかねなかったことになる。

 脱北者の中に少なからず、工作員が紛れ込んでいることはある意味で常識だった。ドイツ統一後に、東独の秘密警察の工作員が西独に数千人もおり、政府中枢にも入り込んでいたことが暴露された。偽装脱北者以外にも相当数の工作員が韓国の各界に浸透していることは疑いない。

 それは在日同胞社会にも言えることだ。朝総連は日本当局から、日本人拉致事件に関与してきたと目されている。朝総連や北韓に従属する諸団体以外にも、それらと関係があるないは別として、さまざまな工作員網があると見てさしつかえあるまい。北韓の卑劣な策動と在日同胞社会は無縁でないことを改めて痛感させられる。

 よく知られているように北海道では、強制連行・強制労働の同胞犠牲者に対する実態調査や遺骨発掘の活動が粘り強く行われてきた。そうした市民活動の中にも、北韓に従属する団体の関係者が入り込んでいる。善意の活動を、北韓・朝総連の政治的な思惑に基づいて利用しようとする姿が見てとれる。

 1960年代後半から70年代にかけ、在日同胞の2世青年学生たちが、その民族的な情熱がゆえに朝総連や北韓工作員に包摂・訓練され、大量に韓国に送り込まれた。前途有為を不遇な人生に変えた「在日工作員」は少なくない。そのような事例はもうない、と言い切れるだろうか。

疑心暗鬼生む

 日本に居住する元在日脱北者は150人を超えたとされる。この人たちの間にも今回の一件で、疑心暗鬼が強まるかもしれない。件の女スパイは、朝総連関係者ばかりか日本人と結婚した韓国人女性とも接触したとされる。彼女たちに疑念の目が向く可能性も否定できない。何よりも、北韓の動向に敏感な日本社会の在日同胞への視線をさらに悪化させかねない。

 スパイ・工作員活動なるものは、もともと労多くして功が少ないものだ。半面で、相互不信という害毒だけは確実に周囲にばらまく。同胞社会の素朴な信頼や日本人との共生関係をも傷つける北韓・朝総連の行為を、在日同胞は決して許してはならない。

北海道在住・卞東運
(雑誌「アリラン」発行人)

(2008.9.3 民団新聞)
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