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「金敬得さんをしのぶ会」 涙でつづった弔辞
金敬得さんの思い出を語る最高裁元原告の鄭香均さん
遺影に最後の別れ

 「金敬得さんをしのぶ会」では10人の友人・知己が時系列で故人の在りし日を語り、遺影に最後の別れを告げた。いずれも人間味あふれるエピソードばかりで、会場の涙を誘った。弁護士登録してから亡くなるまでの20年余りは、内外人平等と多民族多文化共生の社会実現のために疾風のように駆け抜けた人生だったことがあらためて浮き彫りになった。

 司法修習生を目ざす敬得さんに苦しいなか和歌山の実家から仕送りしてきた実兄の敬和さんは、「目標を決めたらただひたすら頑張る性格」と故人のいちずな側面を語った。

 外国籍のままでの司法修習生採用実現の前に立ちはだかった、最高裁の厚い壁に挑む金さんを後押しした弁護士の原後山治さんも、一時は便法としての日本国籍取得を勧めた。だが、「強情を通して一歩も譲らなかった」「いかにすごい人であったか」と振り返った。

 朝日新聞論説主幹の若宮啓文さんは80年代初頭のソウルでの語学留学時代、「毎日のように一緒に飯を食べ、旅行も行った」間柄。金さんが記者志望だったことをとらえ「的確な問題意識、クリアな分析力、人に好かれる性格。いい新聞記者になっていただろう」と太鼓判を押した。ただし、当時、日本の大手新聞社は外国籍者を採用していなかった。金さんを司法試験受験の道に進ませたのはこのときの「就職差別」がきっかけだった。

 80年代中半、指紋押捺拒否者による裁判闘争を法理論面から支えてきた新美隆弁護士は、弁護に立った金さんが押なつを拒否した原告の生い立ちに我が身を重ね、嗚咽してしばらく声を出せなかったエピソードを披露し、「指紋裁判に魂を吹き込んでくれた」と語った。

 また、金さんとともに在日外国人の人権運動をリードしてきた龍谷大学の田中宏教授は、玄界灘を往復しながら韓国での地方選挙権実現に果たした金さんの功績を称えつつ、「足跡から出てくる多くのエネルギーを引き継いでいく」ことを約束した。

大阪でも献花

 【大阪】東京に先立ち大阪市東成区のさんくすホールで2月5日に行われた「偲ぶ会」には友人や知己50人余りが出席し遺影に献花した。この後、詩人の金時鐘さんの音頭で献杯、故人の思い出を語った。

遺稿集2冊同時に出版

 死期を目前にしていた金敬得弁護士が出版を切望していた『わが家の民族教育』が「しのぶ会」開催にあわせ、東京の新幹社(高二三代表)から出版された。

 「在日韓国・朝鮮人の民族教育の現状を知る一助となる」ことを願い、金弁護士自ら発行した『民族共生教育を目指す東京保護者会のニュース』に「わが家の民族教育」として掲載してきた連載をまとめたもの。同胞保護者らの投稿43編を収録した。連載の第1回は金弁護士自らの執筆。

 同じく『日・韓「共生社会」の展望』(田中宏共編)もこの日、同社から出版された。これは04年11月に東京とソウルで相次いで開かれた地方参政権シンポの模様を余さず収録したもの。「定住外国人の地方参政権を実現させる日・韓・在日ネットワーク」が金敬得弁護士の霊前に捧げた。

(2006.3.1 民団新聞)
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